ソーシャルレンディング最大手「maneo」を集団訴訟へ

2019.05.01 [水]

ソーシャルレンディング最大手「maneo」を集団訴訟へ

インターネット経由で融資を仲介するソーシャルレンディングの仕組みを使って集めた資金を目的外に流用したなどとして、投資家54人と法人3社が業界最大手「maneoマーケット」などを相手取り、計約11億円の損害賠償を求める訴訟を8日に東京地裁に提起しました。

 

maneoとは?

maneoとは、maneoマーケット株式会社が運営しているソーシャルレンディングサービスです。

maneoマーケット株式会社は2007年8月30日に設立され、大手銀行系のベンチャーキャピタルやGMOグループ、VOYAGEグループからの出資を受けています。

2016年10月からは、GMOクリック証券の商品としても取り扱われており、GMOクリック証券を経由して口座開設をする事もできます。またmaneoは、他のソーシャルレンディング事業者にプラットフォームを提供しており、約10社の事業者がmaneoのプラットフォームを利用して、ソーシャルレンディングのサービスを提供しています。

 

maneoの特徴

ソーシャルレンディング事業者としての実績

maneoのソーシャルレンディングサービスは2008年10月から開始されており、10年以上運営されてきたという実績があります。

登録ユーザー数は8万5000人を超えており、成立させたローンの総額は約1600億円にも上ります。銀行系ベンチャーキャピタルなどの大手資本の出資も早い時期から受けており、国内でも老舗のソーシャルレンディング事業者となります。

平均利回りは6.9パーセント

maneoが提供しているローンファンドの平均利回りは6.9パーセントとなります。

これはソーシャルレンディング事業者全体で見ると若干低い水準になりますが、新規参入事業者が高利回りのファンドを数多く揃えており、ソーシャルレンディング業界の平均水準を上げている事が原因と考えられます。

もちろん、国内の銀行金利や国債利回りなどと比べると遥かに高い利回りを実現しており、ミドルリスクミドルリターンの金融商品としては十分な水準であるという事ができるでしょう。

またmaneoが募集しているローンファンドの中には、最大期待利回りが10パーセントに近いものもあります。

会員ステータスによって得られる特典がある

maneoでは、投資金額に応じて5つの会員ステータスを定めています。

maneoでは各会員ステータスに応じた特典として、会員限定のローンファンドを多数取り扱っています。会員ステータスのランクが上がれば上がる程、魅力的な投資案件に投資をする機会が増える仕組みとなっています。

過去に行政処分を受けた事も

maneoは、過去に行政処分を受けた事があります。

2018年7月に関東財務局により、グリーンインフラレンディングの取得勧誘行為に対して、虚偽の表示と管理上の問題を指摘され業務改善命令を受けました。

現在、問題が浮上したグリーンインフラレンディングの募集は停止されています。また、maneoは行政処分を受けた事について厳粛に受け止めて、抜本的な内部管理体制の見直しに取り組み、再発防止に全力を上げる所存であると表明しています。

 

今回の集団訴訟の経緯

原告の代理人の鈴木英司弁護士によると、請求額は同種訴訟で過去最高とのことです。

訴えられたのは、maneo社と、同社を通じて個人投資家らから資金を集めた「グリーンインフラレンディング」(GIL、東京)や再生可能エネルギー開発会社「JCサービス」(大阪市)などの計4社と、GILとJC社の代表取締役を務める男性。

訴状などによると、国内での太陽光発電や海外での水力発電など自然エネルギー分野への融資目的でグリーン社はmaneo社を通じて出資者を募りました。ところが実際には集めた資金をグループ会社に貸し付け、事前の説明と異なる目的外の事業に流用していました。

グループ会社は同じ口座で自己資金と投資家から集めた資金を管理しており、出資者への利息配当や償還が滞っているとのことです。

原告はmaneo社やグリーン社が虚偽の表示で資金を募り、資金管理にも問題があった結果、損害が発生したと主張している。

金融庁は昨年7月、GILへの融資に関し資金調達の際に虚偽の説明をしたなどとして、金融商品取引法に基づきmaneo社に業務改善命令を出しており、maneo社は今年3月4日に融資仲介先の選定や管理について基準を設けるなど運営体制を見直したことを公表していたばかりで起きた出来事となります。

 

まとめ

maneoは2008年10月から10年以上に渡って運営されている老舗のソーシャルレンディング事業者であり、業界で抜群の実績を誇っていましたが、トラブルが起きています。

ソーシャルレンディングでは投資家は事業内容などを参考に投資先を選択でき、手軽さから市場規模が拡大していますが、分配金の不払いなどのトラブルも相次いでいるため注意が必要です。

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