AIに奪われない仕事やスキル、新たに生まれる仕事。これからの時代を生き抜くヒント

2019.04.10 [水]

AIに奪われない仕事やスキル、新たに生まれる仕事。これからの時代を生き抜くヒント

数年前、将棋や囲碁の世界で、AI(人工知能)ロボットが人間のプロに勝利をした、というニュースが驚きと共に駆け巡りました。しかし、ここ最近AIはさらに進歩しており幅広い分野のビジネスでAIの活用が検討されています。

この記事では、AIに代替されやすい職業、AIに代替されづらい職業、さらに身につけておきたいスキルや、新たに生まれる仕事を解説します。

 

AIに仕事が奪われるってほんと?

AI(人工知能)の開発が進めば、一部の人間の仕事が機械に奪われてしまう、と耳にすることもあります。どういった理由から、AIに仕事が奪われると言われているのでしょうか。

オックスフォード大学の研究チームが発表した論文

オックスフォード大学でAI(人工知能)の研究を行うチームが2013年に雇用の未来についての論文を発表しました。

この論文では、今後10年〜20年の間に約47%の仕事が機械化されるという研究結果が示されています。これは、今ある仕事においてコンピューターやAIによって自動化できるものが約半数を占めているということを指します。

日本でも同じことが言えるとされ、2015年に野村総合研究所が発表したデータでは、日本人の労働人口の約半分49%は、技術的にAIやロボットが代替できる仕事をしているという結果が出ています。

実際に職場に導入され始めているAI

AIが仕事をし始めるのは先の未来だと思う方もいるかもしれません。しかし、すでに日本の企業でも一部の企業がAIを導入している、または検討し始めています。

総務省が公表している情報通信白書では、AIをすでに導入している、または導入開始を検討している企業の割合は約10%となっています。このデータは2016年度のものですので、現在はさらに伸びていると想定されます。

日本よりもAI技術が進んでいるアメリカに視点を移すと、アメリカではすでに30%以上の企業がAIを導入、または検討しています。

 

AIに代替されやすい仕事とその特徴

AIに代替されやすい仕事は具体的にどんな仕事でしょうか。これまでに発表されている、AIに代替されやすい仕事とその特徴は以下です。

乗り物の運転士、ドライバーなど

現在、自動車業界では、自動運転の技術を搭載した車の開発を急いでいます。2020年代前半には、限定したエリアで完全に無人で自動運転を行う車が登場するとみられています。すでに飛行機は、離陸・着陸のタイミング以外は自動運転となっていますが、今後は地上を走る車でも一部、または全ての過程で自動運転となると予想されます。

自動運転技術が普及すると、各乗り物の運転士の仕事は不要になります。

タクシーやバス、長距離トラックなどの車のドライバーだけではなく、電車や新幹線などの運転士など、乗り物を操縦する仕事は、かなり高い確率でAIやロボットに仕事を代替されてしまうと言われています。

ルーティーン業務が中心となる職業

単純作業を繰り返し、かつ正確に行わなければならない仕事は、機械が最も得意とする領域です。そのため、事務職や秘書、保険の契約事務、ローンの審査担当、銀行の内勤業務など、事務や処理などを行う仕事は、AIにとってかわられる可能性が非常に高いです。

さらに、事務ではありませんが、スーパーのレジ係などもルーティーン業務として機械でも行うことが可能とされています。

すでに、企業によっては事務のポジションを削減したり、無人のレジを配置したりするスーパーも見かけます。これらの仕事は10年〜20年のうちに激減すると言われています。

防犯や警備に関する仕事・警備員

イベント開業やデパートなど人が集まる場所には警備員がいます。警備は人が集まる場所を守るだけではなく、財産や要人の安全を守るために昼夜問わず必要なものです。

警備業界は、すでにセンサーやロボットによる警備システムを展開し、徐々に機械化を進めています。

しかし、今後さらなる効率化を目指して、警備員(人)を減らし、AI技術によって、機械で代替する割合を増やしていくことが予想されています。

すでに、国内でも警備大手ALSOKやセコムでは、AIによる警備システムの研究・開発に力を入れています。

今後は高度な知能を持つ防犯カメラが登場し、リアルタイムの警備を行うだけではなく、犯罪が起こる兆候を予測することもできるようになると言われています。

人の職業としての警備員は、危険も伴います。数十年後には、警備会社の人材採用は技術者のみとなってしまう可能性が高いのです。

販売員や商品のセールスマン

小売店の販売員や、商品のセールスマンも機械によって代替される時代が来ると言われています。

現在でも買い物をインターネットで済ませる人は多く存在しますが、今後はオンラインで買い物をする層がさらに増え、店頭での販売が不要になると見込まれているからです。

店舗を構えるには家賃などの固定費もかかりますし、販売員を雇う場合には給与を払わなくてはなりません。商品をオンラインで販売する場合には、企業は店舗の家賃や人件費を節約し、コストダウンをすることができるようになります。

オンライン通販の領域でも、AIが広がっていくのは避けられないと言われており、職業としての販売員や商品のセールスマンは不要になると予想されています。

 

AIに代替されづらい仕事とその特徴

一方で、専門性が高い仕事や、ルーティーンにできない仕事、アーティスト性やクリエイティビティが求められる仕事はAIでの代替が難しいと予想されています。

アーティスト、ミュージシャン、テレビタレントなど

アーティストやミュージシャン、それからタレントなどの仕事は、クリエイティブ性や独自性、人の心を動かすスキルが必要です。これらは、AIにはできない仕事と言われています。

例えば、作曲自体はAIが行うことはできますが、多くの人の心を動かすことは人間でないとできません。これらの仕事は、人間が行うから意味があるもので、AIに置き換わることは考えにくいといえます。

保育士、児童相談員など子供と接する仕事

保育士などの子供と接する仕事は、高いコミュニケーション能力や、臨機応変さ、周りをよく見ることができるスキルが求められます。それぞれの子供の特徴を抑えて行動を予測する事や、保護者とうまくコミュニケーションが取れる能力も必要です。

これらの特徴はAIが苦手とするものが多く、子供と接する仕事はAIが普及した社会であっても、人間が行う仕事として残ると言われています。

また子供に関わる職業は、愛情を持って子供に接することも求められます。これも、感情を持たないAIには難しいでしょう。

美容師、スタイリスト、ネイリストなどセンスが求められる仕事

美容師やスタイリストなど、センスを求められる仕事もAIでの代替は今のところ難しいと言われている分野です。

これらの仕事はセンスや技術を持って、人を魅力的に見せるスキルが問われますが、一人ひとりの魅力を引き出すというのは、極めて個別性が高いタスクです。AIは臨機応変や個別性が高いタスクは苦手としています。そのためこう言った分野の仕事はAI に置き換わる可能性は低いでしょう。

 

AIに仕事を奪われないために身に着けておくといいスキル

それでは、AIに仕事を奪われないためにはどんなスキルを身につけておけば良いのでしょうか。

対人能力、コミュニケーションスキル

一つは、対人能力、コミュニケーションスキルなどです。先ほどご紹介したAIに代替されない職業にも共通する能力ですが、これらはAIが苦手とするスキルです。

近年は会話ができるAIロボットが登場していますが、会話はまだたどたどしく、場の空気を読むことや、相手の気持ちを想像することはできません。

相手との関係を築くために必要な深いコミュニケーションスキル、対人スキルは人間ならではのもので、これらが強く求められる職業は無くなりません。コミュニケーション能力は磨いておくべきスキルの一つでしょう。

創造性、クリエイティブ能力

先ほどご紹介したように、クリエイティブなセンスや独創性・創造性をAIは持ち合わせていません。こういったスキルは人間に依存し、AIが普及した世界でも仕事として求められるでしょう。

さらに、仕事やビジネスを生み出す側の人々も、仕事がなくなることはありませんよね。そう言った意味での創造性も、身につけておくと困らないスキルの一つと言えるでしょう。

 

AIの普及で新たに生まれる仕事

AIによって必要がなくなる仕事や職業に注目してしまいがちですが、AIが普及することで新たに生まれる仕事もあります。ここでは、AI によって新たに生まれるスキルをご紹介します。

AIの活用方法を設計する仕事、AIを提案する仕事

今後AIは分野を問わず、様々な場面に活用されていくと見られています。その際、AIの活用方法を設計や提案を行うコンサルタントは、新しい職業として高い需要が見込まれています。

また、AIはまだ自分自身を売り込むことができません。AIによるサービスを理解し、提案や営業を行う職業も必要になるでしょう。

お年寄りの歩き仲間や話し相手が職業に

またアメリカの大手IT企業コグニザント社によれば、AIの普及した社会では、Walker/Talker(歩き仲間、話し相手)が、職業としての需要が増えると言われています。AIを含めた最新技術を活用し、医療分野でも進歩が進んでいます。そのため、特に先進国では人々の寿命が延び、高齢者が増えることが確実視されています。

こういった社会では、お年寄りの同伴や話し合い相手が職業として生まれると予想されています。

人間と機械のチームをマネジメントする仕事

AIがビジネスに活用されればされるほど、人間と機械がチームを組んで、スムーズに仕事をしていくためにどうすれば良いかを考える必要が出てきます。

そのため、人間とAIのチームをマネジメント、管理できるポジションが必要になります。人間の得意とするところ、AIの得意とするところを見極めて、生産性を高めるためのチームを作ることができるマネージャーが職業として求められます。

 

まとめ

今後数十年のうちに、AIによって多くの人の働き方が変わると言われています。自分の今の仕事が、AIに置き換わってしまうかもしれません。

しかし、必要以上に悲観するのではなく、新しいことに挑戦する機会だと思うと楽しめるのではないでしょうか。

未来に向けて需要があるスキルを伸ばす機会にし、自分が本当にやりたかったクリエイティブなことにチャレンジするチャンスと捉えたほうが前向きです。

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