大手ソーシャルレンディングサービスを選ぶ理由

2019.04.02 [火]

利払い延滞の被害にあわないために。大手ソーシャルレンディングサービスを選ぶ理由

日本には20社を超えるソーシャルレンディングサービスがありますが、これまでにいくつかの事業者が行政処分を受けています。ファンド選び以上に、安心して利用できる事業者を選ぶことは重要ですよね。

そこで、大手のソーシャルレンディングサービスを選ぶメリットや選ぶ際のポイントを紹介します。

 

大手のソーシャルレンディングサービスを選ぶメリット

倒産の心配が少ない

ソーシャルレンディングの事業者はベンチャー企業などの新興企業が多いので、運営している事業者自体が倒産してしまうことも考えられます。

しかし、ソーシャルレンディング事業者自体が上場企業である場合や、上場企業の100%子会社である場合は倒産のリスクは低くなります。

管理体制の充実

ソーシャルレンディングサービスでは、行政処分が下された事業者がいくつかあります。

2018年7月、maneoに対し虚偽の表示などがあったとして業務改善命令が出されました。

そして同年12月にはトラストレンディングに対し、ファンドに虚偽の表示があったとして業務停止命令が下され、2019年1月にはファンドに虚偽の記載があり被害を被ったとして投資家らがラッキーバンクインベストメント社を訴える事態になりました。

大手だから絶対にこのような事態にはならないとは言えませんが、社内の管理体制はベンチャー企業に比べると充実しているので行政処分を受ける可能性は低くなります。

対応がしっかりしている

ソーシャルレンディングは企業への融資なので、デフォルト(貸し倒れ)や返済遅延のリスクが必ずあります。その際にどのような対応をしてくれるのかは大事なポイントです。

グリーンインフラレンディングでは、返済遅延が22件発生し、その金額は約134億円と規模が大きいのですが、投資家への返済はほとんどされていません。

一方大手のSBIソーシャルレンディングでは、約30億円の返済遅延が発生した際、投資家に素早く報告を行い、その後も逐一報告するなど誠実な姿勢を見せました。

そして遅延発生から約4カ月で約9割の貸付額を投資家に償還しています。

遅延が起こった際に貸付金を回収できない事業者が多い中、元本割れしましたがしっかりした対応を見せたSBIソーシャルレンディングを評価する声もあります。

事業者が上場企業である場合や、大手グループに属する会社であればコンプライアンスが浸透しているので、しっかりとした対応を期待できます。

 

大手のソーシャルレンディングサービスを選ぶときのポイント

資本金額

資本金額を信用できるかどうかの判断材料の1つにする場合も多いため、一般的に資本金額が多くなれば、会社の信用度が上がると言われています。

また資本金額が多ければ財務基盤が強化されるので、企業の安定性につながります。

そのため資本金額は、大手のソーシャルレンディング事業者を選ぶ参考になります。

ソーシャルレンディングサービスのホームページには、運営会社について記載されているページがあるのでそこから資本金額を確認できます。

運営会社の財務状況

ソーシャルレンディングサービスの運営会社が上場企業であれば、決算情報を公開する義務があります。

決算情報から売上高や利益剰余金を確認すると、その会社が業績を上げているのかが確認できます。

利益剰余金とはこれまで企業が生み出した利益を積み立てたお金のことで、順調に増えていると経営が上手くいっていることになります。

また、事業者が非上場企業であっても、貸借対照表を公開している事業者は増えているので参考にできます。

SBIソーシャルレンディングは上場企業の子会社が運営しており、運営会社は非上場企業ですが、貸借対照表を公開しているので利益剰余金の推移を見ることが可能です。

大手のソーシャルレンディングサービスであっても、経営が上手くいっているとは限りません。

事業者を選ぶ際は、これまでの業績も判断材料の1つにしましょう。

総額ローン成約額

ソーシャルレンディングサービスではそれぞれホームページで、総額ローン成約額を公開しています。

総額ローン成約額は、今までどれだけ案件を成立させてきたかを示す金額で、累積資金調達額や応募総額、累積投資実行額などと意味は同じです。

総額ローン成約額が多いソーシャルレンディングサービスは、それだけ投資する投資家が多いということなので、担保付きや高利回りの案件など好条件の案件が多いともいえます。

また、ファンドは最低成立金額に達しないと運用が始まらないので、成約率が低い事業者は選ばない方が無難です。

 

大手運営のソーシャルレンディングサービス比較

事業者が上場企業であるソーシャルレンディングサービス2つと、事業者の親会社が上場企業であるソーシャルレンディングサービスを3つ紹介します。

Owners Book(オーナーズブック)

Owners Bookの運営会社であるロードスターキャピタル株式会社は東証上場企業です。

ロードスターキャピタル株式会社は2012年3月に設立された会社で、2013年12月期の総資産額は5.98億円、経常利益は1.27億円、その後も毎年右肩上がりの成長を続け、2017年12月期の総資産額は219.79億円、経常利益は11.89億円と順調に業績を上げています。

Owners Book は1万円から始められる不動産特化のソーシャルレンディングサービスで、予定利回りは4.2~5%の案件が多いのですが、予定以上の価格で不動産が売却できた場合は予定利回りを上回ることもあります。

Owners Bookの経営陣は経験豊富な不動産のプロフェッショナルであり、すべての案件を不動産投資の専門家が精査しているため、信頼性の高さにつながっています。

ソーシャルレンディングサービスでは珍しい会員限定のSNS機能があり、投資家同士で情報交換することも可能です。

TATERU Funding (タテルファンディング)

TATERU Fundingは東証一部上場企業である株式会社TATERUが運営しているソーシャルレンディングサービスです。

2019年3月17日時点で累計募集金額は38億円を達成、分配金総額は5,519万円を突破、会員登録者数は82,477人です。

1口1万円からの少額投資が可能で、予定分配率4.5%で3~4カ月の短期投資が多いです。

TATERU Funding は2018年8月21日に詳細が決定した4ファンド第44号~第47号TATERU APファンドを最後に、新規ファンドの募集を停止しています。

2018年8月31日に、TATERU Fundingを運営する株式会社TATERUの従業員が顧客の預金残高データを改ざんし、実際より多く見せて金融機関に提出し、融資審査を通りやすくしていた事実が認められたとTATERU社が発表したためです。

以降、広告掲載の自粛を行っており、2019年3月17日時点では新規ファンドの募集は行っていません。

SBIソーシャルレンディング

SBIソーシャルレンディングは、SBI証券などの大手金融グループに属する会社が運営しており、2011年3月にソーシャルレンディング事業に参入した老舗の事業者です。

サービス開始当初は個人向け融資を行っていましたが高いデフォルト率により頓挫し、企業向け融資モデルに切り替わりました。

2019年2月時点の融資残高(融資中の元本残高)は319億円で、投資家登録完了数は31,893人です。

融資額の累計は2019年2月時点で、880億円を突破しています。

SBIソーシャルレンディングでは、オーダーメイド型ローンファンド、不動産担保ローン事業者ファンド、カンボジア技能実習生支援ローンファンドがあり、融資残高は2019年2月の時点でオーダーメイド型ローンファンドが3/4以上を占めています。

オーダーメイド型ローンファンドは不定期に募集されるファンドで、利回りが高い案件が多い傾向にあります。

SBIソーシャルレンディングの予定年利は3~10%とソーシャルレンディングの中では低めですが、信頼性の高さから投資家には人気があります。

運用期間は10~36カ月の案件が多く、利益は毎月分配されます。

LCレンディング

LCレンディングを運営する株式会社LCレンディングはジャスダック上場企業であるLCホールディングス株式会社の100%子会社です。

LCグループに在籍する多くの不動産金融のプロフェッショナルが安全性や収益性などを考慮した案件だけを提供しています。

成立ローン総額は2019年3月17日時点で、274億792万円です。

運用利回りは4~10%、運用期間は短期から長期まで様々です。

投資可能金額は2万円から可能で、担保付きの不動産案件が人気を集めています。

J.LENDING(ジェイ・レンディング)

ジャスダック上場企業であるJALCOホールディングス株式会社の子会社であるジャルコ株式会社が運営しています。

2015年11月にソーシャルレンディング事業に参入した比較的新しい事業者で、パチンコホール向けの融資を行っています。

最低投資金額は50万円からと、他のソーシャルレンディングサービスと比べると高額です。

運用期間は6~24カ月の案件が中心です。

想定運用利回り3~8%で、配当は毎月分配されます。

J.LENDING は2018年9月のファンド募集が終了して以降、2019年3月17日時点では新規ファンドの募集はしていません。

 

まとめ

大手運営のソーシャルレンディングサービスを選ぶメリットは倒産の心配が少なく、社内の管理体制が整っている事で不正が起きにくく、デフォルト・遅延が起きた際にしっかりした対応を期待できることです。

大手運営のソーシャルレンディングサービスには、事業者自体が上場企業であるOwners BookとTATERU Funding、親会社が上場企業であるSBIソーシャルレンディングとLCレンディング、そしてJ.LENDINGがあります。

事業者を選ぶ際は、運営会社の資本金額や財務状況、総額ローン成約額などを考慮すると良いでしょう。

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