ソーシャルレンディングとは

2019.03.17 [日]

ソーシャルレンディングとは|特徴、メリット、デメリット、投資のコツについて

ここ数年、日本でも話題になっているソーシャルレンディング。ソーシャルレディングは、今話題のフィンテックを活用した新しい形の金融サービスです。

ソーシャルレンディングの基本やメリット、デメリット、注意点などをご紹介します。


ソーシャルレンディングとは

ソーシャルレンディングは、資金を集めたい人(企業)と、お金を貸すことで投資をしたい人を、インターネット上で結びつけるプラットフォームのことです。

日本では2008年に最初のソーシャルレンディング事業者としてmaneoが誕生し、2014年ごろから爆発的にその数が増え、2019年2月現在で20以上の事業者があります。

ソーシャルレンディング事業者は資産運用をしたい個人からお金を集め、資金を集めたい企業に融資を行います。この際、企業への融資によって得られる金利の一部を手数料として事業者が徴収し、残り部分を個人の投資家に支払うシステムです。

日本のソーシャルレンディングの平均利回りは7%後半から8%と言われており、ミドルリスク・ミドルリターンの投資方法として投資家からも注目を集め始めています。

 

ソーシャルレンディングのメリット

ソーシャルレンディングをより理解するために、特徴と併せて幾つかのメリットをご紹介します。

手間がかからない、難しい知識不要

ソーシャルレンディングは、投資の難しい知識や手間がほとんど不要です。

また、投資の期間が決まっているため、一度資金を投資したのちは、満期になるまでやることはありません。株やFXのように値動きを確認する必要がないのも、忙しい人にとっては大きなメリットでしょう。

仕組み上、初心者であっても、経験者であっても利回りの違いが出ない投資方法のため、初心者の方に特にオススメです。併せて、投資中級以上で別にメインの投資先がある人にも、手間がかからないソーシャルレンディングは分散投資の一つとしても向いています。

利回りが良い

先ほど、手間がかからない点をメリットとしてご紹介しましたが、手間がかからない投資の多くは利回りが低くなりがちです。しかし、ソーシャルレンディングは、利回りの平均が7〜8%と、利回りが良い点が大きな特徴の一つです。

例えば、手間があまりかからない投資の一つとして、国債が挙げられます。日本の国債は、安定投資として人気が高いものの利回りは1%以下、利回りが良いと言われているアメリカの国債ですら、だいたい年2%の利回りです。

それから、プロに運用を任せる、インデックスファンドの平均利回りは平均4〜6%となっています。

これらの投資と比べると、ソーシャルレンディングの利回りがいかに良いかわかります。

短期の案件が多く、元本の回収が早い

ソーシャルレンディングは一つの案件の運用期間があらかじめ決まっており、その期間は数か月から1年となっていることがほとんどです。

運用期間が長すぎると、資金がロックされてしまう期間が長く、不便に感じることもあります。また、短い期間であれば、気軽に投資を始めることもできます。

資金がロックされる期間が短い点も一つのメリットと言えるでしょう。

少額投資から始めることが可能

ソーシャルレンディングは、事業者によってまちまちですが、最低金額1万円ほどから投資を始めることができます。

ソーシャルレンディングの仕組みに不安がある人や、まずは試しで運用をしてみたい人にとっても始めやすい金額です。

始めは少額から、慣れてきたら数十万円単位〜で投資をしていくと良いのではないでしょうか

 

ソーシャルレンディングのデメリット

先ほどはメリットをご紹介しましたが、ここからは、ソーシャルレンディングのデメリットと言われている点についてもご紹介します。

貸し倒れリスクがある

ソーシャルレンディングは、企業へ融資をして利益を出すシステムになっています。万が一企業が業績不振で返済が難しくなってしまった場合、貸し倒れが起こってしまう可能性が0ではありません。

また、期間内に企業が返済できなかった場合(返済遅延)には、投資家の手元にお金が戻ってくるタイミングが、後ろ倒しになる可能性もあるため、注意が必要です。

投資期間中は資金がロックされる

ソーシャルレンディングは、先にご紹介した通り、案件の投資期間があらかじめ決まっています。投資期間中は短期間といえども、投資した資金はロックされ、引き出すことができません。

株式投資やFXなどは自分のタイミングで決済をして、資金を手元に戻すことができます。

ソーシャルレンディングは、仕組み上決まった期間内は資金が戻ってこない点が、他の投資と比べても一つのデメリットと言えるでしょう。

事業者の実績がまだあまりない

ソーシャルレンディングの仕組み自体が新しいサービスのため、運用をしている事業者もベンチャー企業が多く、事業者自体の実績がまだあまり積み上がっていません。もちろんうまくいっている企業もありますが、経営が安定しているとは言えない企業もあるかもしれません。

事業者が倒産してしまった場合、最悪の場合預けている資金が返ってこない可能性も0ではありません。そのため、投資家は、ソーシャルレンディング事業者の倒産リスクについても考えておかなければなりません。

短期での大きなリターン、一攫千金は難しい

ソーシャルレンディングは、案件ごとにあらかじめ想定利回りが決められていることが多く、レバレッジをかけて運用をすることもできません。

そのため、短期での大きなリターンや一攫千金を狙うことは難しい投資商品です。幾つかの案件への投資を繰り返しながら、コツコツ利益を積み上げていくスタイルで運用をしていきましょう。

 

ソーシャルレンディング投資の注意点

ソーシャルレンディングで投資をする際に、注意しておきたい点が2点あります。

利回りが高い商品は担保があるかどうか確認

ソーシャルレンディングの案件は、担保が設定されているものと、ないものがあります。担保は、貸付を受けた企業が、万が一資金の返済ができなくなった際に、お金の代わりに回収できる資産として、不動産などが設定されます。

担保が設定されていることにより、企業が返済不能となっても、投資家の資金への影響を最小にすることができます。

利回りが良い商品ほど、リスクが大きい傾向があります。担保や保証が設定されている案件かどうかを確認しましょう。

海外の事業者を使う場合には、為替に注意

海外のソーシャルレンディングサービスの方が、日本の案件よりも利回りが良い場合があります。しかし、海外のソーシャルレンディングサイトを利用する場合には、日本円を外貨に交換しなければいけないため、為替の変動によるリスクに注意しなければなりません。

為替リスクを融資先が負ってくれる場合なら安心ですが、投資家自ら為替リスクを被らないといけない場合もあります。

投資家が為替のレート変動によるリスクを負う案件の場合には、為替の変動を考えても、十分な利益が期待できる案件かどうかをしっかり検討してから投資を決めましょう。

また為替ヘッジ(為替リスクの軽減措置)がある事業者もありますので、為替ヘッジをかけておくことも一つの方法です。

 

ソーシャルレンディング投資のコツ

ソーシャルレンディング投資を行う場合には、分散投資を行うことと、事業者選びがとても大切です。

分散投資をしよう

ソーシャルレンディングは、投資なので当たり前ですがリスクがあります。そのリスクを軽減させるためには、分散投資をすることが大切です。万が一、一つの案件が、債務不履行となってしまっても、資金の投資先を分散させておけば、全体のリスクを抑えることが可能です。

ソーシャルレンディングは、1万円〜投資をすることができます。可能であれば、様々なソーシャルレンディング事業者で、複数の案件に投資することがお勧めです。

事業者選びにこだわる

ソーシャルレンディングの事業者の中には、残念ながらここ数年で金融庁から処分を受けてしまった企業もあります。まだ歴史が浅い業界のため、事業者選びは難しいのですが、信頼できる事業者を見極めて投資を行いたいものです。

投資家目線で、信頼度が高い企業を選ぶには、上場企業を選ぶこと、また情報開示が多い企業であれば安全と言われています。

企業は上場をする際に、厳しい基準をクリアしています。必ずしも上場企業が良いとは言い切れませんが、上場企業や上場企業の子会社などを選べばコンプライアンス意識も高く、あらゆる管理もしっかりしているため、高い確率で怪しい業者を避けることができるでしょう。

また、頻繁にセミナーを行っている、HPや事業者ブログで積極的に情報開示を行っている企業も投資家からみて安心できる可能性が高いと言えそうです。

 

日本国内におけるソーシャルレンディング事業者一覧と比較

 ここでは、日本の代表的なソーシャルレンディング事業者をいくつかご紹介します。以下の一覧表では、サービスの開始時期、特徴、期待出来る利回りを比較できるようになっています。

 

ソーシャルレンディング事業者 サービス開始 特徴など 期待利回り
SBIソーシャルレンディング 2011/3               SBIグループということで信頼度が高い。利回りが高い案件も多い 6.5~9.0%
OwnersBook(オーナーズブック) 2014/9 不動産特化型。2017年にマザーズ上場。情報が多くわかりやすい点が特徴 4.0~5.0%
Funds(ファンズ) 2019/1 大手企業への融資専門なので、安心感ある。株主もみずほGなど大手金融機関のため安定性に定評。 1.5~6.0%

 

 Crowd Bank(クラウドバンク) 2013/12 バリエーションに富んだ案件の多さが魅力。証券会社が運営。 6.0~7.0%
maneo(マネオ) 2008/10 日本最初の事業者。金融庁の行政処分を受けたため、管理に力を入れ信頼回復を狙っている。 5.0~9.0%
さくらソーシャルレンディング 2016/12 地方創生を掲げ、地方案件に特化。投資に社会意義を求める投資家の支持を集めて成長中 6.5~7.0%
LCレンディング

 

2015/7 JASDAQ上場のロジコムGの子会社で、親会社の連帯補償がついている案件が多い点が特徴 5.3~7.0%
LENDEX(レンデックス) 2017/7 国内不動産ファンドが中心。大手不動産東急リバプルの査定システムを使用している 7.0~9.0%

※2019年2月現在のデータです。より詳しいデータを知りたい場合は、各事業者の公式HPをご確認ください。

 サービス開始時期を見ると、maneoを除き、2010年代からスタートした新興企業がほとんどです。事業者ごとに扱っているファンドにも特徴があり、不動産がメインの事業者や地方の活性化をテーマにしているものまであります。

  

まとめ

ソーシャルレンディングの基本情報からメリットデメリット、注意点などをご紹介しました。

ソーシャルレンディングは、日本ではまだ歴史も浅く、制度が整っていない部分もあります。しかし、海外市場の盛り上がりや成功事例を踏まえ、ここ数年で新しい事業者がいくつも立ち上がったり、国内の大手金融機関も続々と参入しています。

フィンテックが活用された新しい形の投資手段として、ソーシャルレンディング市場は、ますます拡大していくと考えられています。

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