外貨建て個人年金保険に潜むリスクとメリット

2019.06.08 [土]

外貨建て個人年金保険に潜むリスクとメリット

公的年金だけで老後を快適に暮らしていくことができなくなりつつある今、「早いうちから老後資金を貯蓄していこう」という人が増えています。

老後資金の確保の仕方には「銀行預金」「iDeco(個人型確定拠出年金)」「積み立てNISA」「資産運用」などがあります。

「銀行預金」ではほとんど利子がつかず、物価上昇による生活費の増加のほうが上回り「思ったよりも老後生活が資金的に楽にならない状況」になります。

そんな中で資産運用をして生活資金の捻出をする1つとして「外貨建て個人年金保険」というものがあります。

「外貨建て年金保険」とは円で預けた金額を外貨に変えて「資産運用(積立)」していくものです。こちらの保険料は生命保険料控除の対象となり節税できます。

金利に最低保証がありますが、為替レートの変動によって元本割れする場合があります。

満了時の積立金(年金)の支払いは「円」で行われます。金利の変動に対応して積立利率もゆるやかに連動します。

 

外貨建て保険の種類

一括支払いタイプ

日本円で年金原資を外貨で一括して払います。そのためその時の為替レートで固定されます。

この固定された為替レートより受け取る時のレートが円高になっていた場合、受け取る円は少なくなります。

ハイリスク、ハイリターンの保険になります。

積立支払タイプ

積立タイプは毎月の為替レートで外貨に交換されるため、当然ながら為替レートが固定されません。

これにより「ドルコスト平均法」の効果が得ることができるため、為替リスクを軽減することができます。

 

外貨建て個人年金保険のメリット・デメリット

外貨建て個人年金保険の大きな特徴は「為替の影響を受ける」ことです。これがメリットになることもありますし、デメリットになることもあります。

<メリット>

メリット① 円よりも利率が高い「外貨」を運用できます
現在銀行預金をしても利息がほとんどつきません。しかし外貨は1%~3%ほどつきますので、円よりも利息を多くもらうことができます。

メリット② 「円安」の場合、より多く資産が増えます
満期の時に「円安」になっていた場合、予想していた資産よりも多く増えている可能性があります。まさに「思いもよらないプラス収入」になります。

メリット③ 通貨レベルで資産を分散できます
もし将来仮に日本円がハイパーインフレで紙くず同然になったとしても、外貨には影響しないため、あなたの持っていた外貨が生活の助けになる可能性があります。通貨レベルで資産を分散してリスクを軽減することができます。

メリット④ 年金を「外貨」で受け取れます
通常は満期になったら年金を「円」に替えてあなたに入ってきますが、そのタイミングで円高になっている場合があります。しかし「外貨」で年金を受け取る設定をしておくことにより、あなたの好きなタイミングで「円」に替えることができます。

<デメリット>

デメリット① 保険を継続している間、為替手数料がずっと取られます
外貨で運営をしている性質上、「為替手数料」がかかるためその手数料が毎月とられます。少額ですが運用中ずっと取られる手数料ですので、心理的に負担があります。

デメリット② 年金を受け取る時に「円高」になっていると元本割れを起こします
外貨としては増えていたとしてもそれを円に替えた時に「円高」になっていると、購入時の為替レート次第では元本割れを起こします。これが「外貨建て個人年金保険」の大きなデメリットともいえるでしょう。

デメリット③ 途中解約できない場合がある
保険を契約する時に「5年・10年」と期間を決めますが、その期間の途中で解約できません。そのため「絶好の為替レートのタイミング」が来ていたとしても、解約できないため見送らなければいけません。

また「望まない為替レートのタイミング」で満期を迎えた場合でも、年金の支払は行われてしまいます。

デメリット④ 将来の為替予測ができない
誰にも「5年後、10年後」の為替予測ができないため、「年金がいくら入ってくるか」の予測が立てづらいです。予測が立てづらいということは、あなたの老後の資金運用の予測も立てづらいということになります。

デメリット⑤ 外貨から円に替える時に手数料がかかります
銀行で外貨から円に替える時に「手数料」がかかるので、それも考慮して資産運用しないと最終的に手に入る資産に差が生じてしまいます。

仮に1万ドル分を円に替えたとすると、別途1万円の手数料が差し引かれます。

 

外貨建て個人年金保険への加入はアリ?

何度も言うように「外貨建て個人年金保険」には「為替レート」の影響をすごく受ける特徴があります。

そのため「将来手にできる資産がどのくらいになるか予測できない」ので、それを許容できないのであれば、入るべきではないと思います。

一方、「為替レートの影響」を許容できるのであれば入ってもいいと思います。

日本円だけの資産運用では日本円に万が一のことが起こった場合にリスクが大きくなりますが、外貨は影響を受けません。

資産運用資金に余裕がある人はリスク分散の1つとして加入を検討しても良いのかもしれません。

 

まとめ

投資で必ず守るべき鉄則は「自分の理解できないものには投資をしない」ことです。

「ゲームのルールを知らない人が、ゲームのルールを知っている人」に勝つことができません。

勝つことができない=投資で損をしてしまう(ルールを知っている人にうまくやられてしまう)ということです。

あなたの大事な老後資金を理解のできないものに投資して、資産を無くしてしまうようなことがないように慎重に考えてやるようにしましょう。

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