ねんきん定期便(年金定期便)とは?見方やチェックポイントについて教えます

2019.04.08 [月]

ねんきん定期便(年金定期便)とは?見方やチェックポイントについて教えます

ねんきん定期便は、年金制度に加入している人に、毎年誕生月に届く通知書です。

しかし、ねんきん定期便の内容についてよく確認せずに捨ててしまっている人もいるのではないでしょうか。

ねんきん定期便とは何かを、わかりやすく説明します。

 

ねんきん定期便(年金定期便)とは?

 日本には公的年金制度というものがあります。原則、20歳から60歳までの全ての人が年金に加入し、毎月保険料を支払います。

20歳から60歳までの間で、10年間以上きちんと年金を納めれば、65歳になったときに老齢年金を受給する側になることができます。

公的年金では、この老齢年金に加え、遺族年金、障害年金の3つのリスクに備えることができます。

 ねんきん定期便とは、この公的年金の保険料の払い込みの実績、将来自分が受け取れる年金の見込額などが記載されている大切な通知のことです。

国民年金や厚生年金に加入している人であれば、毎月誕生月にねんきん定期便が届きます。

ねんきん定期便は、現役世代、特に若い世代の年金への理解を深めることを目的として、2009年に当時の社会保険庁の管轄で発送を開始しました。社会保険庁の廃止に伴い現在は日本年金機構の管轄となっています。 

 

50歳未満の人に届くねんきん定期便

ねんきん定期便は、年齢によって一部の内容が異なります。

50歳未満の人は、「年金の見込額」部分に、これまで支払った保険料の実績から、65歳以降に受け取れる年金額の想定が記載されています。これから満期の60歳までに支払う予定分の年金額は含まれません。

そのため、年齢が若く年金の支払い期間が短い人は、ねんきん定期便に記載される、「年金の見込額」は低くなります。この後、保険料を払い続けていくと、受け取れる年金額は年々上がっていく仕組みです。 

 

50歳以上の人に届くねんきん定期便

一方で、年金支払い期間が残り10年となった50歳以上の人は、「年金の見込額」の内容が異なります。

50歳未満の人は、これまで払い込んだ保険料の実績から「年金の見込額」が記載されていました。

50歳以上のねんきん定期便では、満期の60歳まで年金支払いを続けた場合の年金見込額が記載されます。つまり、残り数年分も今と同じ水準の保険料を支払った場合、65歳以降に受け取ることができるであろう年金額が記載されています。

そのため、50歳以上に送られるねんきん定期便の見込額は、実際に受け取れる年金額と近い額を確認することができます。

また、ねんきん定期便では、50歳未満、50歳以上のどちらの内容でも以下の年金が記載されていません。

以下の内容についても受給資格がある人は、ねんきん定期便に記載されいている年金見込額よりも多く年金が受給ができます。

<ねんきん定期便に記載されていない内容>

加給年金、振替加算、厚生年金基金の代行部分、60歳以上に収める予定の年金部分など

 

ねんきん定期便の裏面

ねんきん定期便の裏面には、以下の内容が確認できます。これらは50歳未満、以上どちらのねんきん定期便でもほとんど同じように確認ができます。

アクセスキー

自分の年金の支払い額や受け取りの見込額を確認したい場合、ねんきん定期便だけではなく、「ねんきんネット」を利用すれば、インターネット上からいつでも状況を確認することができます。

このアクセスキーは、ねんきんネットに初回登録しユーザーIDを取得する際に使用する17桁の数字です。通常は申請後、登録完了まで時間がかかりますが、このアクセスキーと基礎年金番号があれば、ねんきんネットへの登録が即座に完了します。

ねんきんネットは無料で利用ができ、スマホやPCからいつでも利用ができます。データのダウンロード機能もあり、年金情報をデータで管理する際には便利です。

年金は支払い、そして受け取りを含めると一生関わるものですので、いつでもデータで確認できるねんきんネットに登録しておくと便利です。

これまでの保険料納付額(累計額)

これまで、自分が被保険者として年金保険料を累計でいくら納付したか確認ができます。

この欄に関しては、50歳未満の人のねんきん定期便では表面に記載されているので、裏面にはありません。50歳以上の人の裏面にのみ記載があります。

ねんきん定期便の作成日

ねんきん定期便が、いつ時点のデータで作成されているかが記載されています。

ねんきん定期便は、毎年誕生月に送付されますが、作成はその2ヶ月前です。

6月が誕生日の人は、このねんきん定期便の作成日は4月時点になっているはずです。

なお、1月生まれの人の場合だけは、年末年始を挟むことから、作成が3ヶ月前になっています。

直近1年間の納付実績

直近1年間の納付実績も確認ができます。内容は、国民年金か厚生年金かの加入区分、月ごとの具体的な保険料納付額などです。 

 

ねんきん定期便で確認したいチェックポイントについて

自分の支払っている年金の状況について、理解しておくことは大切です。

ねんきん定期便で最低限チェックしておきたいポイントと、その詳細を確認しましょう。

<年金の見込額>

まずは受け取れる年金の見込額を、チェックしておきましょう。

50歳以上の方は、近い将来に受け取ることができる年金が、比較的正しい額でわかるようになっています。50歳未満の方も、今の時点でいくらなのか知っておきたいところです。

受け取れる退職金の想定額、退職時期をいつにするのかなどと併せて、年金金額を知ることは、老後の資金計画を立てるための必須情報です。

<受給開始年齢について>

受給開始年齢は、現在の年金制度では、年齢や性別によって人それぞれになります。ねんきん定期便で、個別の受給開始年齢を確認をしておきましょう。

以前は一律60歳から受給ができていた年金ですが、少子高齢化によって、受給年齢が段階的に引き上げになっています。その影響で、生年月日と年齢で受給開始年齢が異なっているのです。

なお、現在50歳未満の方は、今の高齢者よりさらに受給開始年齢が後ろ倒しになる可能性もあるようですので、年金関連情報を都度確認しておきたいところです。

<年金加入期間をチェック>

将来、年金制度が変われば、受給金額や支給開始年齢には変化があるかもしれません。

しかし、年金加入期間は変わらない事実ですので、ここに誤りがないか確認をしておきましょう。もし、支払ったはずなのに未納になっている期間があれば、日本年金機構に確認をしましょう。

また、年金制度は、加入期間によって将来の受給額や待遇が異なります。

チェックしたい加入期間のポイントは10年、25年、厚生年金の場合はさらに20年と44年です。それぞれの詳細を以下に記載しています。

・10年以上加入しているか
年金は20歳から60歳の40年の間で、最低10年以上納付していなければ65歳の受給年齢になっても受け取ることができません。

そのため、まずは全体で10年の支払いをしているか確認をしましょう。

もし国民年金の未納分がある場合には、過去の分を5年まで遡って支払うことができます。支払い免除の手続きを行った場合には、さらに過去10年分の後納が可能です。

・25年以上加入しているか
また、被保険者となる人が25年以上年金を納めていれば、家族は遺族年金をもらうことができるようになります。

遺族年金は、家計を支えていた人が亡くなった場合、遺族が受け取ることができる公的年金です。

なお、遺族厚生年金の場合には、納付期間25年に満たずして受け取ることができる、みなし加入措置があります。

・厚生年金は20年支払っていれば、加給年金の対象に
厚生年金の納付期間が20年以上となっており、65歳(年金の支給開始)となった時点で、年下の配偶者や18歳未満の子供がいれば、加給年金が加算されます。

なお、配偶者が年上の場合や、子供が18歳以上、配偶者や子供の年収が850万を超える場合は加給年金の受給資格がありません。

加給年金の加算のためには、65歳になったタイミングで年金事務所への届け出が必要ですので、該当する場合には忘れずに行いましょう。

・厚生年金44年以上の長期加入者には特例がある
同一の厚生年金または共済組合での加入期間が44年以上の人を長期加入者と呼び、特例があります。

この特例は、同一の年金であることが条件ですので、厚生年金と共済組合であわせて44年では適用になりません。44年以上加入していても、会社員として働いたのち、公務員に転職した人は適用になりません。

この厚生年金特例措置が該当すると、簡単に言えば、年間78万円〜117万円追加で年金がもらえることになります。計算式は年齢などによって異なります。

44年の長期加入者になるためには、中学卒業または高校卒業と共に会社員または公務員として継続して働いていれてば、該当する可能性があります。

とても優遇された特例ですので、該当の可能性がある人は、加入期間をねんきん定期便で確認してみましょう。

 

まとめ

今回は、ねんきん定期便の内容についてご紹介しました。

少子高齢化で、自分たちの老後に年金をもらえるのか不安だという人もいるでしょう。

老後の不安を少しでも減らすためには、年金の仕組みについて理解し、不足分があるならばどうやって不足分を補うのか、具体的に人生の資金計画を立てていく必要があります。

年に一度のねんきん定期便を活用して、年金に向き合い、資金計画を立てる良い機会にしましょう。

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