公的年金の税金はかかるケースとかからないケースがある?

2019.03.28 [木]

公的年金の税金はかかるケースとかからないケースがある?

会社で給与をもらいながら働いている人も、自営業者やフリーランスの方が得る所得にも総じて所得税が課せられています。

勤め人の場合、給与から自動的に所得税が引かれていることがほとんであるため、自分がどれくらいの税金を納めているか、もしくはどういったことに税金が課せられているかについて理解する機会がないかもしれません。

そこで疑問が浮かぶのは、「公的年金」に税金はかかるのかということです。

確かに月々受給という形でお金を得ているわけですが、これに対して税金がかかるのかどうかについては知らない人も多いのではないでしょうか。

今回は公的年金の税金に関する知識について詳しくまとめていきます。

 

1.公的年金は税金がかかるってほんと?

公的年金に税金がかかるかどうかを知る前に「収入」と「所得」についての違いを知っていますか。

意外に混同している人も多いかもしれませんが、この部分について基本的なことを理解しておかなければ公的年金の税金に関しても混乱してしまうかもしれません。

まず、「収入」とは支給されるお金全体を指します。一方で、「所得」は収入から必要経費を差し引いた金額を指します。

そして、所得税は「所得」金額に応じて税率が決められるものです。

この経費については、色々なものが含まれますが、事業を行う上で必要な費用や、所得控除などが含まれます。

そして、公的年金に関しても同様の扱いを受けます。支給額全体については「収入」と見なされます。そして、そこから各種控除などの経費を差し引いた額が「所得」となり、この所得に応じた税金を支払っていく形になります。

なので、最初の疑問として浮かび上がってきた「公的年金に税金がかかるのか」についてですが、給与所得と同様に税金は課されていきます。

公的年金だからといって、税金に関しては例外とはならないというわけです。

 

2.公的年金の所得税が免除されるケース

公的年金には所得税がかかることは明らかになりました。ただし、所得税は所得額に応じて税金が決定されるものでもあります。

そのため、所得額が一定額以下だった場合、所得税が免除される形となります。

ちなみに公的年金のうち、障害年金と遺族年金に関しては非課税となるので、ここでは老齢年金と厚生年金について考えていきます。

公的年金の場合、支給額に対して、公的年金等控除が適用されます。所得税は、収入に対して、一定金額を差し引いたものに対して所得税が計算されます。この差し引かれる分のことを控除と呼ぶのですが、「公的年金等控除」は数ある控除のひとつとして理解しておきましょう。

また、そのほかには基礎控除などといったものがあり、これらの控除額が公的年金の支給額を上回った場合、その差額分に対して所得税が発生します。

逆に、各種控除分が公的年金の支給額を上回った場合、所得税が課せられる所得がないので、税金が免除されるという形になります。

なので、公的年金に関する所得税を考える時には、公的年金の支給額および、各種控除の金額を明確にしておく必要があります。

①公的年金等控除を受けるために必要なこと

公的年金等控除に関しては、自動的に受けられるという制度ではありません。それだけではなく、基礎控除や配偶者控除を受けるためには手続きが必要となります。

その内容は「扶養親族等申告書」という書類を提出することで可能です。

これは日本年金機構から送られてくる書類となっており、この申告書を提出しないと各種控除を受けることができなくなってしまいます。

なので、各種控除を受けて所得税を減らすためにも、「扶養親族等申告書」の提出を忘れずに行っておきましょう。

 

3.公的年金の税金の計算方法

公的年金の税金の仕組みについては理解できたと思います。次は、具体的な税金の計算方法についてまとめていきます。

税率に関しては、一般的な所得税と同様の基準が当てはまります。所得税の税率については国税庁に記載されている情報を参考にするといいでしょう。

「国税庁 所得税の税率」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

 

問題は公的年金が支給されているのか、各種控除はどれくらいになっているのかです。

例えば、公的年金控除に関しては、年齢や収入額に応じて定められています。

公的年金控除額については以下を参考にしてください。

65歳未満 65歳以上 公的年金等控除額
70万円〜130万円未満 70万円〜130万円未満 年金収入−70万円

(65歳以上:年金収入ー120万円)

130万円〜410万円未満 130万円〜410万円未満 年金収入×0.75−375000円
410万円〜770万円未満 410万円〜770万円未満 年金収入×0.85−785000円
770万円〜 770万円〜 年金収入×0.95-1555000円

この計算方法によって公的年金等控除額を算出することができます。

また、これに加えて、受給者に一律で適用される基礎控除38万円や配偶者控除、所得控除などを収入から差し引いた金額に対して所得税が適用されることになります。

複雑な算出方法ではありますが、一般的な基準としては65歳未満場合108万円以上、65歳上で158万円以上の収入がある場合、所得税が課せられることになります。

 

4.公的年金の確定申告について

企業などで働く人であれば、貰っている給与額から源泉徴収を受けた所得税などに対して、年末調整を行いますよね。

これによって、所得税の過不足を計算し直し、還付などを受けることができます。

自営業者やフリーランスの場合は、企業が年末調整を行ってくれるわけではないので、個々人で毎年確定申告が必要となります。

また、給与所得者であっても、確定申告が必要なケースがあります。下記に該当する方は確定申告するようにしましょう。

・年収が2000万円以上ある方
・給与の他に20万円以上の所得がある方
・2箇所以上の給与をもらっている方

上記以外にも、年の途中で退職した方やアルバイト先で源泉徴収されている方は、確定申告を本来する必要がない方ですが、生命保険や社会保険が還付されたり、所得税が還付されるケースがありますので、年末調整をするようにしましょう。

公的年金に関しては、受給時に源泉徴収分が差し引かれた金額が支給されます。しかし、年末調整を誰かが行ってくれるわけではないので、原則として確定申告を行う必要があります。

しかし、最近では公的年金を受給している高齢者に対して、確定申告を行わせる負担などを考慮して「確定申告不要制度」が平成23年から始まっています。

そのため、多くの高齢者の場合、確定申告が免除されています。

では、確定申告が免除される条件とはどのようなものなのか詳しくみていきましょう。

①確定申告不要制度について

確定申告が免除されるには2つの条件を満たしていることが必要となります。

その2つの条件は以下のようになっています。

・公的年金等の受給額が400万円以下である
公的年金等には、国民年金、厚生年金、共済年金、企業年金などが含まれます。これらの受給金額の合計が400万円を下回っていることが条件となります。

・公的年金等の雑所得以外の所得が20万円以下
公的年金を貰いながら働いたり、賃貸経営などで家賃収入がある場合も想定されます。これらの公的年金等以外の所得金額が20万円以下であることが条件となります。

確定申告が免除されるためには以上の2つを満たしておく必要があります。

公的年金等の受給額が400万円以下という条件はわかりやすいですが、公的年金以外の所得についてはさまざまなパターンが想定されます。

例えば、年金を貰いながら働いている人や家賃収入などがある人、そういった人の場合は確定申告が必要となっていきます。

確定申告を行うことで場合によっては還付を受けることができるので、対象となっている人は忘れずにやっておきましょう。

自分の状況をよく把握して、確定申告の要不要について確認しておくといいでしょう。

 

まとめ

公的年金にかかる税金や確定申告についてまとめていきました。

公的年金とはいっても受給額によっては所得税が課せられる可能性があるので、これらの制度についてはよく理解しておくと良いでしょう。

また、確定申告の必要か、必要でないかについても確認が必要です。長年勤め人だった人にとっては、確定申告は慣れない作業になることが想定されます。

老後なんらかの収入を得ていくことを検討している人は、確定申告の具体的な方法についてもチェックしておくといいでしょう。

最近では、確定申告に必要な給与計算ができるフリーソフトなども充実しているので、そういったものを利用してみるもの有効かもしれません。

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