「IoT」というワードを目にすることが増えましたね。「IoT」は「モノのインターネット」と言われることが多いですが、実際どのようなサービスを指すのでしょう。また、IoTで社会はどのように変化していくのでしょうか。IoTの事例やアイデアからみる今後の展望をご紹介します。
IoTに期待されていること
1.インターネットと接続したモノをリアルタイムで確認できる
IoT家電ならスマホの操作で電源のON/OFFを確認することができます。
2.遠隔から操作できる
Amazon Echo Spotというスマートスピーカーはカメラがついており、スマートフォンの操作で遠隔地から家の中を確認することが可能です。
IoTのメリットは、場所を問わずモノを確認・操作できることです。
今まで手作業で行わなければならなかった作業を、IoT技術を用いることで場所を選ばず行うことが可能となります。この技術を応用すれば、危険な場所での作業を遠隔地から操作する機械で行うようにしたり、自宅から出ることが難しい人の仕事の幅を広げられたりと、私たちの生活をより豊かなものへ変化させることが期待できます。
チャンスは身近にある?IoTの利用例・アイデア
IoTの概念やメリットを理解したところで、実際の利用例を確認しましょう。
意識していないだけで、実は身の回りにIoT製品が潜んでいるかもしれません。
ライフスタイルの変化
自宅のエアコンをインターネットに接続した場合を考えてみます。
エアコンはスマートフォンと連動させることで、GPS機能を利用して使用者の居場所に応じて電源の切り替えができます。
電源を切り忘れたまま外出しても、自宅から離れるとエアコンに情報が伝達され自動で電源が切れます。逆に帰宅するときは、自宅から一定距離内に入ると自動で電源が入り、帰宅時には快適な室温になっています。
他にも冷蔵庫がインターネットに繋がった場合、冷蔵庫の中身を自動で認識し、今ある食材で調理可能なレシピの提案、毎日消費するものに関しては一定量無くなると自動で発注を行ってくれる、などの機能を提供できるかもしれません。
スマートメーター
スマートメーターとは、電力使用量を常に計測し続ける計測機のことです。電力使用量は従来、検針員による目視確認で行われてきました。
しかし、目視確認だと月に1回しか確認ができず、各世帯の1ヶ月の電力使用量の合計しか分かりません。
スマートメーターの場合は常時遠隔操作で各世帯の電気使用量を計測しています。そのため、「どの時間帯に」「どれだけの電気量が」使用されているかまでを把握できるようになりました。
今後はスマートメーターから得られた情報を分析して、過度な電力供給を避けた省エネな社会を実現することが可能となります。
消費の変化
IoTによって私たちの消費が2種類に分けられるようになります。
1つ目の「必要な消費」は洗剤や毎日の食材など、定期的に補充しているモノを指します。
2つ目の消費は「娯楽の消費」です。たまに楽しむ高級な柔軟剤や産地限定の調味料など個人の嗜好品を指します。
「娯楽の消費」に関しては、今まで通り個人が「いつ」「どこで」購入するかを決めるでしょう。しかし「必要な消費」はIoTの時代では個人が行う必要がなくなるかもしれません。
Amazonが実施しているサービスの1つに「Amazon Dash Button」というものがあります。
これは、専用の端末を押すだけで商品の購入ができるAmazonプライム会員限定サービスです。
また、2016年には更に進化したDash Replenishment Service(DRS)というサービスが提供されています。こちらは、ボタンを押す必要もなく、商品の残り量をセンサーで把握し一定量を下回ると自動で注文されます。
「必要な消費」は作業になりがちですが、IoTの時代には決まりきった作業は機械が代わりに行ってくれるのです。
パーソナルモビリティの時代へ
Googleの自動運転が世間を騒がせましたが、IoTが進んだ未来では人が運転から解放される時代がやってきます。
自動運転が普及すると今まで運転が苦手だった人、そもそも免許を持っていなかった人なども車を利用できるようになるため、人の移動に変化が起きると考えられます。
また、車がインターネットと繋がることによって人が運転から解放されるだけでなく「運転の仕方」「車の位置」などの情報を正確に取得することが可能となります。
「運転の仕方」が分かればドライバーの運転技術を正確に検査でき、危険な運転をするドライバーに対しては何らかの処罰を与えることもできます。
また「車の位置」に関する情報を蓄積していくことで「飛び出しの多い道路」「事故の起きやすい場所」などを特定することが可能になります。
このように、車がインターネットと繋がることで私たちの「移動」がより快適、安全に進化していくことが期待できます。
ヘルスケア分野におけるIoT
「ウェアラブル端末」という製品をご存知でしょうか?「ウェアラブル」とは「身に付けることが可能」という意味です。
「ウェアラブル端末」とは「身に付けることで身体情報を取得する端末のこと」を指します。
代表的な例としてApple Watchが挙げられます。Apple WatchとはApple社が製造している時計型のウェアラブル端末です。睡眠時間や心拍数、消費カロリーなどの情報を自動で計測することが可能となっています。
また、メガネメーカーのJINSはメガネ型のウェアラブル端末である「JINS MEME」という端末を発売しています。3つのセンサーで着けている人の状態を判断し、眠気や集中状態、姿勢といった自身の状態を知ることができます。
今後「健康管理」を行う際には、「ウェアラブル端末」で自身の情報を取得するのがスタンダードになってくるかもしれません。
IoTの今後の展望
IoTの活用例を理解したところで、今後IoTがどのように展開していくのかについて考えてみましょう。インターネットの世界は国内だけでなく、世界との競争です。果たして、現在の日本はどのような立ち位置なのでしょうか?
プログラミング教育から見る世界競争
文部科学省が「プログラミング教育の必修化」を発表しました。これによって2020年からプログラミング教育が義務化されます。
義務教育に導入するほどプログラミング能力は必須のものなのでしょうか。
他国をみると、イスラエルは2000年から高等教育においてプログラミングの必修科を行っています。
電子国籍などを取り入れており、IT大国として有名なエストニアでは、2012年から小学校でのプログラミング教育の義務化を行いました。
このように、世界中で国民のプログラミング能力の向上が重視されています。情報や機械に溢れた現代にとって、「プログラミング能力」は「読み書き算盤」と同等の価値があると判断されているということが分かります。
労働人口不足の解消となるか
少子高齢化、東京への一極集中が進んでおり、各地で労働人口が不足しています。そこで、この労働力の不足に対してIoTで対応できるか考えてみましょう。
日本では荷物の配送量が増加している中で、運送業者の人手不足が問題となっています。しかし、自動運転が普及すれば「荷物を運ぶ人」と「荷物を配る人」の分業が行われるため不足している労働力を機械で代替することが可能です。
また、一口に労働人口の不足といっても、決められた場所でフルタイムで働ける人が不足しているだけで、短時間や自宅でできる作業なら働きたいと思っている人も一定数いるでしょう。そういった潜在的な労働者を、IoT技術で活用することができるのです。
工場を例にすると、それまで工場の中で手作業で行っていたものを遠隔操作でできるようにすれば、通勤できない人でも作業が可能となります。
まとめ
IoTのおもしろ事例や、アイデアからみる今後の展望をご紹介しました。
IoTの技術は私たちへ「モノを操作、確認する場所」の選択肢を与えてくれます。
この技術によってライフスタイルに余暇時間が増えたり、移動手段が更に快適になったり、更には自身の健康管理まで行えるようになります。また、日本において労働人口不足が深刻な問題になっている中、IoTはその解消手段として強力な技術です。
生活を豊かにするだけでなく、社会問題も解決できるのか、IoT 技術の今後に注目です。