ニュースでも度々報じられることがあるので、IoTという言葉は一度は聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
しかしながら、
「そもそもIoTって?」
「IoTって難しそう」
など、聞いたことあるもののあまり理解していないという方も多いのではないでしょうか。
近い将来IOTは今まで以上に普及し、人々の生活に溶け込むことになるでしょう。
一見難しそうですが、意味、仕組み、利用シーンが分かれば理解しやすいかと思います。
本稿では、IOTとはどのようなものなのか、そして基本的な仕組みや利用事例について説明します。
1.IoTの意味と実現できることについて
IoTとはどのような意味で、IoTが普及することでどのような世界になるのでしょうか。
①IOTとは
IoTはInternet of Thingsの略でモノのインターネットなどと訳されます。
IoT市場は2020年には約365兆円市場になるとされており、今後急成長していく分野として注目されています。
第四次産業革命という言葉を聞いたことはないでしょうか。
第四次産業革命とは2012年から、ドイツが『インダストリー4.0』というのを日本語で訳されたものが第四次産業革命になり、第四次産業革命の核となる分野がIOTです。
②IoTによって実現可能なこと
IOTでは、モノがインターネットに繋がることで、例えば、外出中に部屋を暖めておきたかったら、エアコンを遠隔操作することで家に帰ってきたときには部屋を暖かくしておくなどということが可能になります。
前述したエアコンなどの電気機器を遠隔操作するだけではなく、その他にも自動車やドローン、介護ロボット、植物を育てるプランターやペットに自動的に餌をあげるIoTなど、多種多様にあります。
また、現在IoTには大きく3つのことができるとされています。
・遠隔操作
・遠く離れた場所の情報をしる遠隔監視
・機械どうしで通信を行うM2M
ただIOT化することに対してのセキュリティー問題や技術的などのことを除けば、将来IoT化できるものというのは、今後果てしなく広くなっていくことが予測できます。
2.IoTの基本的な仕組み
次にIoTの仕組みについて説明していきます。
①情報の収集
全てのIoT機器にはデバイス(スマートフォンやPCなど)にはセンサーというものがつけられており、このセンサーを使って様々な情報を収取しています。このセンサーは人に身に着けられるものにも装着可能で、最も有名なものではApple Watchがあります。他にも、自動車のシートベルトにセンサーをつけることで、運転中の血圧状態などを調べることができるセンサーもあります。
②集めた情報を集積
デバイスによって集められた情報をデーターベースに集積していきます。日本でも自動運転が開発されていますが、アメリカなどの欧米に比べるとどうしても後れをとっているのが実情です。日本の自動車会社は欧米の企業と比べると、情報の量が圧倒的に少ないといわれています。
③集めた情報をビックデーターで分析
集積された大量の情報を解析しないといけません。この作業によってどこが良かったのか、またはどこに悪い所があったのかなど分析します。
自動運転で例えるならば、横断歩道を渡っている人がいたら止まらなければならないなど運転をするのに必要な知識をAIに覚えさせないといけません。
3.IoTが実用されている例について
ここではすで実用化されているIoTの実例を分野別に紹介していきます。
①自動車分野
自動車ではこれまではカーナビゲーション・システムがネット経由の車内情報を一手に担っていましたが、日産やテスラ・モーターズなどが続々と自動運転車を開発してコンピューター化が進んでいます。
・クロネコヤマトの「ロボヤマネコ」
再配達ゼロを目指してつくっているのが、クロネコヤマトの「ロボヤマネコ」です。IT大手のDeNAと組んで現在、神奈川県藤沢市で実証実験中です。
スマートフォンで好きな時間に呼び出し、自分の都合の良い場所で荷物を受け取ることができるサービスとなっています。ドライバーが運転席に座ったまま(自動運転レベル3)ですが一部封鎖したエリアでは運転席にドライバーがいない状態(自動運転レベル4)で自動走行しているようです。
・Googleの「Waymo」
Googleが開発しているWaymo(ウェイモ)は、ハンドルもペダルもない車です。
2017年4月に実証実験を開始し、アメリカの一部の州では一般の行動を走る許可も下りています。
さらに2018年12月5日には世界初自動運転商業タクシーとしてスタートもしています。現在はWaymoスタッフが一人運転席に同情しているので、完全な自動運転ではないようです。
②医療、介護
日本の医療費は毎年1兆円増加しているとされ、政府はすこしでもコスト削減を呼び掛けています。
IoTはすでに医療の分野でも様々なところに普及しているので、事例を見ていきましょう。
・オプティム「スマートホームメディカルサービス・在宅医療安心パック」
自宅にAIカメラを設置することで、対象者が長時間動かなくなったりするのを防ぐことができるサービスです。
さらにタブレットを使っての『お声がけ機能』や対象者が装着しているスマートウォッチ上のナースコールが押されると病院に通知され、タブレットを強制的に起動させる『ナースコール機能』や健康状態を把握することができる『バイタルデーター収集機能』があります。
・ドコモヘルスケア・オムロン「ムーブバンド3」
手首につけるだけで毎日の歩数や睡眠状態、消費カロリーが分かるようになっています。
計測したデーターは無料で転送され自動でグラフ化します。重量が約17で連続動作時間も約5日と非常に電池のもちが良いのも特徴の一つです。
③農業
農業でもIoT化が進んでおり、人材不足の農業分野の救世主になる可能性があるとし、農業のIoT化への期待が高まっています。
・トヨタ「豊作計画」
自動車業界大手のトヨタが手掛けているのは、主に大規模米生産農業法人の稲作を支援するものです。これまで自動車産業で行ってきたノウハウを農業へ応用しています。
豊作計画を導入した企業は、紙で管理をしていた台帳や作業日報のデジタル化などで10%以上の削減に成功しています。
④製造業
製造業でのIoT化は工場の見える化やデーター化を行うことで、効率化を率先しコスト削減の手助けになります。
・FUJITSU、INESA「工場全体のみえる化」
富士通独自の技術であるインテリジェント・ネットワークを使用し製造、設備、品質などと同時に生産ラインの状況などを監視できるようになり、工場全体が一括で管理できるようになりました。
⑤家電、ホームオートメーション
前述したスマートフォンで外出先から家電をコントロールするというものや、家全体をIoT化するホームオートメーションです。
・au「au HOME」
外出先からの家電の操作はもちろん、電気使用量やカメラを通じての子供との会話やペットの確認を行えます。さらにスマートスピーカーを使用するし声で操作をすることが可能になります。
・シャープ 「ヘルシオAX-XW300」
使いたい食材や作りたい料理、または夕飯に何を作るか迷っているときでも、ヘルシオに話しかけることでメニューを提案してくれるというものです。さらいスマートフォンと連携することで、おすすめメニューの閲覧や料理検索をすることもできるようになっています。
4.IoTの適用場所とインターネット接続について
非常に便利なIoTですが仕様するには、適用場所による制限やネットワーク接続に関して説明していきます。
①IOTの適用場所について
IoTのメリットとして場所を選ばないというところがあります。
例えば対象者もしくは対象物が離れた場所だったとしても、センサーをつけていれば監視をすることが可能です。
②IOT無線の種類
IoTを使用するにはセンサーから多くのデーターを収集しないといけません。
従って無線ネットワーク接続に対し低コストであること、長期間使用できる通信技術が必要とされています。
現在低コストで長期間使用できる技術というものがLPWA(Law Power Wide Area)日本語では低電力広域ネットワークと訳されるものです。
LPWAの通信速度は3Gなどのネットワークに比べると遅くなってしまいます。ですが一般的な電池で数年から数十年使用できることや、通信可能な領域も数キロから数十キロと比較的広いのが特徴とされています。
活用事例としてNTTドコモの長野県大町市の市内の水源3ヵ所と配水池11ヵ所を結ぶネットワークをLPWA方式で施設の監視と稼働状況を監視するシステムを実施しています。他にも日立システムズの新潟県新潟市のマンホール防犯、安全ソリューションの実証実験などがあります。
まとめ
IoTというと自動車の自動運転や電化製品を遠隔で操ったりすることができるもの、という印象があります。同時にIoT化できる分野は非常に多いことが分かってもらえたのではないでしょうか。
近い将来現在では考えられないような分野でもIoT化によって、大きく発展する分野も現れてくるに違いありません。