2019.12.26 [木]

スターバックスやコカ・コーラと提携、利益5倍に。サブスクリプションサービス「Wisepass」の強みとは

月額制でビール飲み放題などのサービスが受けられるWisepassはベトナムで人気のサブスクリプションサービスだ。新しいサービスが絶え間なく提供されるアプリは、ユーザーの日常に新しい楽しみを届ける。アメリカンエクスプレスやスターバックス、コカ・コーラといった大企業が次々に提携し、ユーザー獲得単価はわずか1ドルに。利益はたった1年で5倍に跳ね上がった。
同社CEO・共同創設者のLam Tran(ラム トラン)氏とIFA社の阿部氏が対談し、大企業がWisepassと提携する理由や、ユーザー獲得単価を下げてユーザー数を増やす秘訣などを伺った。

大企業が次々にWisepassと提携する理由

阿部:UIはどんな工夫をしていますか?

Lam Tran:とてもシンプルなUIにして、アプリを開いてスキャンをしたらすぐにバーを見つけられるようにしました。以前、利用スポットが増えるとユーザーがすべての店舗を把握しにくくなると考えて、流行っている場所やまだ行ったことがない場所などをフィルタリングできるようにしたのですが、これが失敗でした。実際には「ただウォッカが飲みたい」といったユーザーが多く、フィルタリングのニーズはあまり高くなかった。だから今はシンプルなUIにしているんです。

阿部:あえて機能を少なくしてシンプルにしたほうが、ユーザーの満足度が高かったと。こうしたニーズは、ユーザーの声を聞かないとわからないですね。
主なユーザーはベトナムの人々ですか?

Lam Tran:はい。タイとフィリピンにも拡大していて、2年以内にマレーシア、インドネシア、シンガポール、香港、台湾にも進出したいです。その後は日本と韓国への進出も考えていますよ。

阿部:現在のユーザー数は?

Lam Tran:500人ほどですが、半年後にはグラブと提携して何百万人ものユーザーを獲得する見込みです。ユーザーを増やすにはユーザー獲得のコストを下げることが重要ですね。2年前は1人あたり150ドルでしたが、お酒以外のアイテムや提携先を増やしたことで1ドルまで下がりました。

阿部:グローバル企業との提携はかなりプラスに働きますね。

Lam Tran:ええ。グラブやアメリカンエクスプレス、シティバンクなど他の企業のポイントを使えるようにしたら、ユーザー数がぐっと増えました。グロバル展開の後押しになっています。

阿部:コカ・コーラとも提携なさっていますよね。

Lam Tran:ええ、コカ・コーラは約200万のアクティブユーザーを保有し、大量のキャンペーンを行っていますから、恩恵は大きいです。8月にはシンハービールとの提携もスタートし、8ドル払えば毎日シンハービールを飲めるプランを用意しました。圧倒的にコストパフォーマンスが高いんです。シンハーはハイネケンと競っていて、価格帯をリーズナブルにしているんですね。

阿部:8ドル!かなり安いですね。

Lam Tran:この価格については共同創始者とかなり議論しました。これまでは月額300ドルで提供したところを8ドルで提供するわけですから、単価は従来の3%近くに下がります。相当の量を売らなければ売り上げを伸ばせませんが、シンハービールはマスマーケットですし、8ドルなら多少収入が下がった月でも飲み続けるだろうと考えて設定しました。

阿部:スターバックスにコカ・コーラ、シンハービールといった大企業が次々にWisepassと提携する理由は何でしょうか。

Lam Tran:Wisepassはメーカーにお酒を売るプラットフォームを提供できるからです。メーカーは物流管理を担当する形でお互いに補い合い、それぞれの利益を生み出しています。

阿部:なるほど。日本のビール会社はテレビCMなどの広告に大金をかけていますから、日本でWisepassが利用できるようになったら、ビール会社は広告費を大幅にカットできて喜ぶでしょうね。Wisepassはアジア中心に展開していますが、ヨーロッパやアメリカなどに展開する予定はありますか?

スターバックスやコカ・コーラと提携、利益5倍に。サブスクリプションサービス「Wisepass」の強みとは

Lam Tran:2年以内に6か国、ゆくゆくは10か国以上に進出する予定です。グローバル展開の課題はコストです。都市部でのサービス展開にはお金がかかるので、その国の人気企業と提携してお金をかけずに知名度を高め、海外展開を進めていきたいと考えています。

Wisepassは21世紀のガイドブック

阿部:ビジネスを軌道に乗せるには、アーリーアダプターの獲得も重要ですよね。

Lam Tran:そのとおりです。いいプロダクトを開発してアーリーアダプターを獲得できれば、ほかのユーザーは後からついてくる。いいプロダクトとは、何をするのか、なぜするのかといった企業の考えを反映している唯一無二のものです。他企業を後追いしただけのコピープロダクトは評価されません。世界にまだ存在していないビジネスを生み出してパイオニアになるのはとても困難なことですが、時間をかけて成功させれば揺るがぬ地位を確立できます。

私たちのビジネスは、その街の見どころなどが書いてあるガイドブックのようなものです。ガイドブックは正しい情報やおすすめ情報などの集合体です。そんなコンテンツが詰まったガイドブックを21世紀の手法で提供しているのです。

阿部:というと?

Lam Tran:私たちのプラットフォームを利用すると「何でも、いつでも、どこでも」手に入るようになります。これは情報が書いてあるだけのガイドブックではできないことです。Aエリアにいて、あまり遠くへ行きたくないときにアプリを開けば近くのバーやレストラン、映画館などがチェックでき、施設をクリックすればワンステップで予約ができます。あとは自分がそこに向かうだけ。1990年代だったら、行く前に地図などで調べて電話予約しなければなりませんでした。今はグーグルなどインターネットで調べられますが、キーワードを入力して検索しなければなりませんよね。

阿部:検索の手間すらスキップできるということですね。

Lam Tran:ええ、私たちは情報やサービスを極限までシンプルにして提供したいのです。そのためにたくさんのデータを活用し、ユーザーのニーズに応えるトランザクションアプリを提供して、すばらしく楽しい時間を提供することを目指しています。利益は2017年から2018年にかけて前年比5倍にまで上がりました。商品数も年末には1か月2万件に届く見込みです。Wisepass は5年先、10年先、20年先によりよい生活を送るための手助けになるでしょう。

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ライター/秋カヲリ 翻訳/佐々木希 編集/YOSCA 撮影/倉持涼

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