2019年の硬貨と紙幣の日本の風景

2019.12.24 [火]

お金とは何か#18
2019年の硬貨と紙幣の日本の風景

2019年の硬貨と紙幣の日本の風景

僕はスーパーマーケットが好きで見かけるとなるべく入って見学しています。
スーパーマーケットは生活に密着している分だけ、今現在のお金の生の使われ方がわかります。この記事の目的に一番あったスーパーマーケットの機能は間違いなくレジです。

私が見てきたスーパーマーケットのレジは現時点で次の3種類です。

1.有人でレジ
その人がバーコードを呼んで、現金の支払いとおつりの支払いをしてくれるもの。

2.有人でセルフレジ
店員さんがバーコードを呼んでくれた、お金の支払いとおつりはセルフレジでやるもの。そのレジにクレジットカード支払いもある。

3.無人でセルフレジ
自分でバーコードで読み取られせて、セルフレジで支払いとおつりをもらうもの。

セルフレジは増え続けているので、1.はどんどん減っています。怖い話ですが、2019年時点で1.の旧来の有人レジを続けているスーパーマーケットは必要な投資ができない経営状態になっている場合も多いらしく、そのまま閉店になったところも見かけました。

既に現時点で、硬貨と紙幣を数えてお買い物をするという機会は急速に減りつつあるのです。

私はこれをむきになって続けています。なくなりつつある贅沢なおままごと遊びを名残惜しむかのように。

そんな私ですら、セルフレジのある所では、現金支払いの場合は、財布の中の硬貨をあるだけ全部数えもせずにセルフレジに投入口に投げ込んでいます。それで足りないと紙幣を入れる。そうすると、硬貨の枚数を最小化する組み合わせで、おつりを出してくれる。余分な硬貨を減らせます。

そう、贅沢なおままごとのような紙幣と硬貨のやり取りでのお買い物を名残惜しんでいるという僕ですら、無駄に硬貨を持って財布が重く膨らんでポケットを重くするのを面倒に感じているのです。

しかも、紙幣と硬貨を数えすらしない、セルフレジが数え間違いなんかしないで正確に数えてくれる!

そして、さらに言えば、人に数えてもらえることもなくなってきた紙幣と硬貨の価値は、わざわざ、紙と金属の塊をつかって、金額というデジタルデータの媒介物になっているだけであることを、セルフレジがまざまざと教えてくれているのです!

しかも、ちょうどこの記事を書こうとしたタイミングでセルフレジで僕がお金をいれたら、警告音がでました。たちまち、スーパーの若い女性店員さんがきて、セルフレジを鍵を使って開けて、中に紙幣と貨幣が種類別に整然と並んでいるところまで見ることができました。

その女性店員さんが点検してくれて、僕へのおつりが足りなかったわけではないことがデータからもわかることを説明してくれました。

完全にATMを管理している銀行員みたいに見えて、スーパーの店員さんがメインの仕事ですよね?と訊いてしまいました。

これがセルフレジすらいつまでもは続けられないであろう一因になると思います。セルフレジの購入費用も維持管理もかなりのコストがかかっているのでしょう。全部電子的にやり取りできれば利便性が上がり、店側のコストも大幅に削減できることでしょう。

キャッシュレス化が遅れているといわれてきた日本ですら、2019年紙幣と硬貨の使用は風前の灯のような状況になっているようにスーパーマーケットのレジを見ているだけでも思うのです。

超強力国策としてのキャッシュレス化

実は、既に安倍内閣が2年前に閣議決定した『未来投資戦略2017』の中でキャッシュレス化は国策として2027年までに40%を目指すとされています。投資の最重要の格言に『国策に売りなし』という言葉があります。未来は不確かなことが多いですが、国策ほど予想しやすくと投資の方向性を見出せるものはないからです。キャッシュレス化は日本国が確実に進めると宣言したのです。

さらに、この令和元年になった後に、以下も閣議決定されています。

成長戦略実行計画 令和元年6月21日

とても重要なのでこの記事に関係する部分を以下に抜粋します。

—-成長戦略実行計画抜粋—-

(決済分野)
現行法の業態別の縦割り構造が、事業者のビジネスモデルやサービスの自由な選択への弊害となっているとの指摘のある「決済」分野について横断化を図る。

これにより、これまでの銀行送金や従来型の比較的高額なクレジットカード決済とともに、

①プリペイド(前払い)・ポストペイ(後払い)を組み合わせたシームレスな支払い(注1)や、
②銀行業と現行の資金移動業の間に新たな類型を設け、銀行送金以外でも幅広い金額の送金(注2)を可能とし、新規事業者の参入と様々なサービス間の競争を通じた、柔軟で利便性の高いキャッシュレスペイメント手段を実現する。
その際、例えば、割賦販売法の与信審査における性能規定の導入など、フィンテック企業をはじめとした決済事業者の円滑な事業展開を可能とする仕組みを導入する。

これらについては、2020年の通常国会に必要な法案の提出を図る。

(注1)プリペイド・ポストペイを組み合わせたシームレスな支払い:少額・低リスクな決済について、従来型の比較的高額な決済の場合とは異なる制度へと見直すことにより、プリペイド・ポストペイ等を通じたシームレスな支払いサービスの提供を円滑化する。

(注2)銀行送金以外の幅広い金額の送金:100万円までの送金が可能な現行の資金移動業に加え、銀行業と現行の資金移動業の間に新たな類型を設け、銀行業より簡易な規制の下での100万超の送金を可能とする制度の整備を図る。

(横断的な法制)
「決済」、「資金供与」、「資産運用」、「リスク移転」といった各機能に対応するサービスについて横断的に提供することを可能とする横断的な金融サービス仲介法制の実現に向けた検討を進める。

これにより、スマートフォン等を活用した、個々の利用者のニーズに即した利便性の高いワンストップのチャネルの提供を可能とし、利用者が自らニーズに合った金融サービスの選択をより容易とするとともに、金融サービスの質をめぐる競争の促進を図る。これについては、本年中を目途に基本的な考え方を取りまとめる。———————————————

プリペイだけでなくポストペイまで含めたキャッシュレス化を進めること

異業種の参入による競争を促すこと

これらの国策を大チャンスとみなして多くの会社がペイメントサービスに出血大サービスの特典を用意したユーザー獲得まで目指してラッシュをしてきたのです。

これらの計画が実行されていくのですから、これからの10年間は単に紙幣と硬貨のなくなるキャッシュレス化というものでなく、デジタルデータの有効活用によるサービスビジネスが繰り広げられて、誰も見たことのない社会になっていきます。

現時点にいる私たちにはそれが、本当のこのなのかな?と思ってしまうのも無理はありません。あまりに変化が早いので。

でもこれを考えてみて下さい。

iPhoneの発売日は2007年6月29日のことでした。それまでスマホはなかったのです。

世界はすっかりスマホばかり見ている人で溢れ、発停途上国も先進国も情報アクセスはスマホと通じて格差がなくなりました。

金融サービスにはまだ格差があります。

そのスマホの誕生からちょうど12年後、干支で言うと一回りして日本も成長戦略実行計画 令和元年6月21日を打ち出したのです。

国策に売りなし。日本の国策はApple以上に日本人の生活を変える可能性を十分に持っています!

良い投資先を見出したい人はこの閣議決定された成長戦略実行計画は貴重な資料となります。

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