インターネットビジネスは急速に発展したものの、決済時はリアルな法定通貨での手続きが必要だった。従来は銀行と連携したサービスを利用しなければならなかったが、ブロックチェーンにより、インターネット空間の中で価値を創出し、バーチャルな暗号通貨での取引が可能になる。
Le Xuan Khanh(リー スアン カィン)氏は、仮想通貨取引ができるブロックチェーンゲーム「Token Play(トークンプレイ)」の生みの親だ。IFA社の阿部氏が対談し、ブロックチェーンゲームがユーザーに与える新しい価値や、ブロックチェーンが決済サービスをどう変えるかについて語った。
ゲームと取引所を一体化するメリットとは
Le Xuan Khanh:私が立ち上げたToken Play(トークンプレイ)はゲームのプラットフォームで、仮想通貨の取引もできるのが特徴です。通常はゲーム会社と取引所は別々に存在していますが、私たちは業界内では後進の会社なのでゲームと取引所を一体化して差別化を図り、強みとしたのです。
阿部:ゲームと取引所を一体化するメリットは何でしょうか。
Le Xuan Khanh:トレーダーは取引所の動きを見つつ、時間があるときにゲームを楽しめます。このゲームは単純に遊ぶだけでなく、トークン化することによって資産運用につなげられるのが魅力です。つまり楽しみながら資産運用を行えて、時間のロスも生まれないということです。
阿部:それはおもしろいですね。日本だとモバイルオンラインゲームを開発している「gumi」のグループ会社がブロックチェーン技術を取り入れたゲーム「マイクリプトヒーローズ」を開発しました。自分のキャラが財産になり、ゲームをしながら自分の資産が増えていく仕組みになっています。ゲームの中のアイテムが資産になり、お金を稼げる仕組みが多くの支持を集めました。ユーザー数が3万人、DAUが5,000人ほどで、ブロックチェーンゲームとして世界一位のユーザー数、トランザクション数を誇ります。それだけブロックチェーンゲームが注目され始めているんですよね。
Le Xuan Khanh:ブロックチェーンによって、ゲームの中でお金を稼げるようになりました。ゲームが得意な人はブロックチェーンゲームを仕事にすることが増えるでしょう。私たちのコミュニティは6万人以上のユーザーがいて、リアルユーザー数は7,000人ほど。順調に成長しています。
阿部:ゲームの内容はどんなものですか?
Le Xuan Khanh:昔からあるシンプルなゲーム内容です。地下にロープを投げて物を取るゲームですとか、魚を撃つシューティングゲームですとか、見ればすぐにわかるようなもの。プレイヤーであるユーザーがお金を使ってトークンを購入し、ゲームでいい成績を残すとポイントが上がっていく仕組みです。ゲームをやめるタイミングで現金に交換できます。
阿部:日本で流行っているポケモンGOやパズドラなども、ゲーム自体は非常にシンプルです。ビデオゲームのように凝ったゲーム、たとえばRPGなどよりも、だれでも簡単に遊べるゲームのほうが人気が出るかもしれませんね。
ブロックチェーンデータベースで決済サービスを革新
阿部:取引所はベトナムには作らなかったのですか?
Le Xuan Khanh:ええ、ベトナムはまだ法律や規制など環境が整っていませんし、セキュリティがじゅうぶんではないので、安全のためシンガポールに会社を作りました。
阿部:なるほど。ベトナムと反対に日本は規制が厳しく、取引所設立のハードルが非常に高いです。ライセンス取得に難を感じて日本への進出をあきらめる企業も多い。シンガポールはどうでしょうか?
Le Xuan Khanh:まだ厳しくはないですね、比較的簡単に取引所を作れます。ただ、シンガポール政府も今後はルールを厳しくして、管理する方針のようです。詐欺を防止するためですね。
阿部:世界的に同じような流れが生まれていますね。ちなみに、ユーザーはベトナム人が多いのですか?
Le Xuan Khanh:ほとんどベトナム人ですが、中国人も参加していますよ。
阿部:最後に、今後のビジョンを教えてください。
Le Xuan Khanh:ブロックチェーンのデータベースを普及させていきたいです。私が金融コンサルタントとセールスリーダーを担当しているSNA Vietnam社はブロックチェーンデータベースの開発を行っています。今はまだ実装が難しいのですが、5年後には普及するでしょう。ブロックチェーン技術を土台にゲームを開発し、新しいゲームの価値を生み出したいです。
阿部:ゲーム以外でも、ブロックチェーンを活用する予定はありますか。
Le Xuan Khanh:決済時の信用照会に利用したいと考えています。今は、何かしらの商品を買うときに現金の持ち合わせがなければクレジットカードを使いますよね。クレジットカードは審査に時間がかかるのが難点です。我々が持っているデータベースを活用すれば、1分以内でその人の信用照会が完了し、審査がスムーズに行えます。これを事業にして、ユーザーの生活を便利にする新しいサービスを提供していきたいです。
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ライター/秋カヲリ 編集/YOSCA 撮影/倉持涼