Libraリザーブとは

2019.12.11 [水]

お金とは何か#14
Libraリザーブとは

Libraリザーブとは

Libraに安定性と流動性を提供するための仕組みです。

『お金とは何か』の連載の中で、貨幣の3大機能を実行するために、安定性が基礎になることを解説してきました。調べれば調べるほど安定性が重要なことがわかりました。

価値の尺度となるためには、伸び縮みしない定規のような安定性が必要です。

価値の保存のためには、缶詰のように長期間たっても腐らないような安定した価値が必要です。

価値の交換のためにも、尺度と保存の機能がそもそも必要で、安定性が必要です。

さて、ビットコインやイーサリアムの価値はとても不安定です。通貨として使うのはかなり難しそうです。ここまで不安定な理由の一つは裏付けとなる資産がないことです。

ただ、現在世界で一番使われている通貨である米ドルも、比較的安定した通貨である日本円も金と交換できる兌換紙幣だったのは大昔のことで、今は交換できないので、政府が保証して、実際に広く使われているということから貨幣の3大機能を持っているに過ぎないともいえます。現代の法定通貨は裏付けとなる資産が何に当たるのかわかりにくい状況にあります。

自国の通貨の国債は、自国通貨を発行すれば返還できますがそれを続けたら通貨の価値は希薄化しますから、自国の国債を価値の裏付けとするのはわかりにくい仕組みとも思われます。

それでも、安定しているのは、今現在それが広く使われていて、実際に一番使われている価値の尺度になってしまっているから、価値の尺度であるということなのです。

Libraは最初から裏付け資産を用意することで、安定性も信頼性も持てる設計となっています。

そのための方法がLibraリザーブ(Libra 準備資産)です。

Libraで作られたコインはLibraリザーブで集められた準備金を裏付け資産とすることで、発行当初からその価値を保全できることを目指しています。

また、最初から流動性を配慮しています。いつでも必要量の価値の交換ができるような配慮もホワイトペーパーにみられます。簡単ではありませんが十分な流動性の確保は重要な機能です。

ある投資家が、銀行に行って3千万円現金でくれるように要求したところ、困った顔された上にかなりの時間を要して、やっとお札でもらえたそうです。今やお札で払う流動性を銀行はそんなに用意していないと言うことでしょう。Libraの場合も、完全に裏付け資産と連動するように設計されると言うことは、決済する金額分に応じた裏付け資産が必要となりそれが売買しやすいモノである必要があります。

そのため、Libraリザーブが予定している資産は、主要通貨とその国債を想定しています。
その割合はホワイトぺーパーには書いてありませんが、以下の記事が出てきています。

—-コインテレグラフ 2019年9月21日より—-
フェイスブックの仮想通貨リブラに連動する通貨バスケットの割合が明らかになった。ドイツのデア・シュピーゲルが20日に報じた。リブラの通貨バスケットの具体的な割合が報じられたのは初めてだ。

ドイツ連邦議会の左翼党に属するファビオ・デ・マシ議員の要請に答えてフェイスブックが開示した。

記事によると、通貨バスケットの割合は、50%が米ドル、18%がユーロ、14%が円、11%がポンド、7%がシンガポール・ドルになる。それぞれ現金と国債で構成される。

リブラは、価値の安定を図るために、法定通貨のバスケットで価値を担保する。———————————–

これから以下のことがわかります。

  • シンガポールドルは米ドルに連動する通貨なので57%は米ドルと連動する価値となるであろうこと
  • ユーロ、円、ポンドを入れることで 米ドル以上に安定した通貨になる可能性が高いこと
  • 中国人民元が入ってないこと

Libraは既に、世界の政治を巻き込んだ大きな関心事になっています。それは国家権力と通貨は一体であることと、Libraはそれを大きく変化させる潜在能力をもっているからです。

世界第2位の経済力を現時点で持つ中国の通貨人民元がこの中に入ってないことは、政治的は思惑があるからかもしれません。

また通貨がより使われるために安定性と流動性が重要である等の観点からみると、米ドル以上に安定した通貨になりうる設計になっていることも既存の法定通貨を発行している権力側からすると心穏やかに見ていることは難しい存在なハズです。
米ドルより安定して流動性が高くなれるかもしれないと言うことは、将来、米ドルでなくてLibraで払って下さいという取引が増えることすら想像させるからです。

とはいえ、米ドルを発行する側の立場で言えば、Libraの準備資産の50%を米ドルにしてもらえるのは総合的には悪くないという判断をするかもしれません。Libraでの取引が増加していった場合、それに比例してLibraの準備資産も増加させることになるでしょうから、米ドルへの需要も増加することになります。この割合のまま進むとユーロ圏はかなり不満が出てくるはずです。

中国は独自にLibraの中国版のようなものを発行する必要が出てくるでしょうし、報道を見ていてもそれは着々と準備されているようです。

Libraリザーブの資金の作り方

Libraリザーブの考え方は、最初から安定性と信頼性を作れるので素晴らしいのですが、最初の資産をどうやって作るのでしょう?

それはこのLibraプロジェクト参加企業や個人に、この裏付け資産となることを予定している通貨を提供してもらった量に応じてLibraを発行して、それを譲渡することで成し遂げる予定になっています。
それはホワイトペーパーに詳しく方法も書かれていました。

まとめ

Libraリザーブとは Libraを十分な安定性と流動性をもった通貨として機能させるための裏付け資産準備制度のことである。

2019年9月20時点でのコインテレグラフの報道によると通貨バスケットの割合は、50%が米ドル、18%がユーロ、14%が円、11%がポンド、7%がシンガポール・ドルになる。

これにより、米ドル以上の安定性を持つ可能性が高い。そのため米ドル以上の通貨信頼性を持つ可能性がある設計ともいえる。

中国人民元は入ってないため中国は独自に似た通貨を計画中。

この準備資産を提供してくれた企業や個人にLibraを与えることで、準備資産を集めていく計画である。

次回もLibraについて書いていきます。

この記事をシェア