2020年代に求められる金融サービスとは。スマホ1台でお金を動かす次世代アプリ「Zeux」

2019.12.03 [火]

2020年代に求められる金融サービスとは。スマホ1台でお金を動かす次世代アプリ「Zeux」

電子マネー・電子決済サービスが登場してしばらく経つが、最近はスマホ決済アプリが一気に普及した。各社が数々のキャンペーンを展開してしのぎを削っている。財布を持たず、スマホ1台で外出できる時代が到来しつつあるのだ。
ロンドンの「Zeux」はブロックチェーンを基盤とする金融エコシステム事業を展開するフィンテック企業で、法定通貨と仮想通貨の両方に対応したデジタルバンキングサービスを開発。世界初の暗号モバイル決済アプリケーションにより、スマホ1台でさまざまな金融サービスを利用できる。今回、AIre VOICE編集長の大坂氏が同社のCEOであるFrank Zhou(フランク ジョウ)氏と対談。前編では、これからユーザーに必要とされる金融サービスについて伺った。

一括集約型のサービスが求められる時代

大坂:今までのご経歴を教えてください。

Frank:私は中国で生まれ育ち、2008年にイギリスのオックスフォード大学に入学しました。卒業後は貿易会社や銀行で働き、2017年に会社を設立してからブロックチェーン業界に関わっています。

2020年代に求められる金融サービスとは。スマホ1台でお金を動かす次世代アプリ「Zeux」

大坂:Zeuxについて詳しく教えてください。

Frank:Zeuxは大規模なプラットフォームを備えたデジタルバンキングサービスを提供するアプリです。iOSとAndroidの両方を展開していて、円やドルなど従来の通貨だけでなく仮想通貨にも対応しています。当然、日常生活の支払いに使えますが、特徴的なのはリターン、報酬があることです。最近は一般的な金融機関にお金を預けてもほとんど利息がつきませんから、報酬はZeuxを利用する大きなメリットだと言えるでしょう。

大坂:どれくらいの報酬が得られるのですか。

Frank:ユーザーが仮想通貨を預け入れると、1年に約6%のリターンを受け取れます。いつでも預け入れができるので、気軽に利用できますよ。

大坂:そこが優位性ですね。貯蓄のリターンも素晴らしいですが、投資ではどんなメリットが得られるのでしょうか。

Frank:市場の投資商品を比較し、最も利益が期待できる投資商品を選べます。自分のお金を最適な場所に投資することで、最高の収益を得られるでしょう。

大坂:なぜブロックチェーンを利用したのですか。

Frank:ブロックチェーンを使ったのは、より簡単に効果的で透明性のあるサービスにするためです。エコシステムなど新しいフィンテックの会社がだんだん増えてきましたが、サービスを通じて金融市場をさらに開かれたものにしたいのです。ヨーロッパやアメリカの金融市場はとても強固な制度が出来上がっており、ややクローズドな状態ですので。

大坂:具体的にはどういった機能にブロックチェーン技術を使っているのでしょう?

Frank:ブロックチェーンにより、持っている現金と各銀行の残高をZeuxで一括管理し、銀行から動いたお金の流れを追跡できるようになりました。貯蓄されていたお金が何に使われたか把握しやすくなるということです。

2020年代に求められる金融サービスとは。スマホ1台でお金を動かす次世代アプリ「Zeux」

大坂:決済や投資、融資や海外送金などを行う会社と関わっていく必要がありますね。

Frank:ええ。中国ではアリペイのように複数のサービスを提供するスタイルが人気なので、西欧諸国でも需要があるだろうと考え、預金から投資、支払いまで複数の金融サービスを利用できる形態にしました。

大坂:素晴らしい。支払い機能についても教えてください。

Frank:クレジットカードを持っていなくても、スマホさえあればZeuxを利用してだれにでも送金できます。使う情報は携帯電話番号だけで、瞬時に支払いが完了します。世界のどこにいても利用できるのも大きな魅力です。

仮想通貨企業ではないことが強みになった

大坂:ユーザーがどのように利用しているのか、実例を教えていただけますか。

Frank:アップルペイなどで利用されており、ユーザーはスターバックスなどの店舗でスマホ支払いができますが、仮想通貨はまだ使えない点が課題です。将来的にはマクドナルドでもスターバックスでもどの店でも仮想通貨を支払いに使えるようにして、ユーザーにより多くの選択肢を与えたいと思っています。

大坂:アップルペイと取引を始めたきっかけについて聞かせてもらえますか?

Frank:まだ仮想通貨に関するサービスを開始していなかったからです。アップルペイは仮想通貨に対してあまり前向きではなく、仮想通貨企業との接点を持っていませんでした。でも私たちは仮想通貨企業ではなくフィンテック企業として発足したので、スムーズに信頼関係を築けたました。

大坂:仮想通貨をメインビジネスとして掲げている企業は敬遠されていたのですね。世界的に、仮想通貨企業に対するイメージはあまり良くない傾向があります。日本でもいまだにネガティブな印象が強く残っていますよ。

2020年代に求められる金融サービスとは。スマホ1台でお金を動かす次世代アプリ「Zeux」

Frank:そうですよね。これまで仮想通貨を扱う人達は多くのトラブルも起こしていたので、信頼されにくい状態でした。仮想通貨を企業のメイン看板として掲げていなかったことがプラスに働きましたね。

大坂:フィンテック企業のほうが信頼されやすかったのですね。

Frank:少数精鋭のチーム構成も信頼を獲得できた理由のひとつです。ロンドン、ウクライナ、上海に15名の社員がいまして、それぞれがマーケティングやフィンテックなど各分野に平均10年従事していた経験を持つプロフェッショナルなんです。CFOはさまざまな企業で取締役やCFO、CEOを務めてきた経験があり、異なる金融機関との関係作りを進め、会社の運営を円滑にしています。CTOは16年間スタートアップ企業で働いて、会社を設立した経験があります。マーケティング部長は多くのマーケティングエージェンシーで約14年間働いていました。そして、8年間フィンテックやコンプライアンスに関する仕事をしていた女性がコンプライアンスチームを率いています。

大坂:人数が少なくても、精通した知識などのスキルがあればじゅうぶんに企業としての信頼を勝ち取れる時代ですね。

(後編へ続く)

AIre VOICEではブロックチェーンの最新ニュースはもちろん、さまざまなバックグラウンドを持った方へのインタビュー・コラムを掲載しています。ぜひご覧ください。

ライター/秋カヲリ 翻訳/佐々木希 編集/YOSCA 撮影/倉持涼

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