「KuCoin」がわずか2年間で世界最大級の取引所に成長した理由

2019.12.06 [金]

「KuCoin」がわずか2年間で世界最大級の取引所に成長した理由

シンガポールを拠点にする仮想通貨取引所「KuCoin」は、2017年9月の設立からわずか2年間で登録ユーザー数500万人を超え、世界最大級の取引所に成長した。今まで実施したすべてのIEOを成功させた実績を持ち、取引手数料も0.1%と破格だ。
KuCoinのジョニー氏に、成功の秘訣とこれからの戦略を伺った。

「KuCoin」がわずか2年間で世界最大級の取引所に成長した理由

KuCoinについて簡単にご紹介いただけますでしょうか?

2017年8月に設立した仮想通貨取引所です。中国政府が仮想通貨(暗号資産)に対する方針「ICO 融資リスク予防に関する公告」を発表した頃に立ち上げ、最初からグローバルマーケットを狙いました。2017年の年末に起きた仮想通貨市況の暴騰に伴って多くのユーザーを獲得し、2018年には300万人を超え、現在の登録ユーザー数は500万人以上。100以上の国や地域に分布しており、その分布率は世界最大級です。

―どの国のユーザーが多いですか

ユーザーはアメリカ、ヨーロッパ、アジアに3分の1ずつ分布しています。アジアだと日本と韓国が多く、その次に東南アジアが続きます。日本のユーザー数がトップ3に入っていた時期もありました。

KuCoinわずか2年間海外の取引所として名を馳せ、ブランディングに成功した理由を教えてください。

3つあります。まずサービス面。ユーザー体験やアセットの安全性、管理の利便性を重要視し、取引所で初めて365日24時間体制のオンラインカスタマーサービスを提供しました。次にセキュリティ。会社設立以来、一度も顧客資産を流失したことがありません。最後にプロジェクト面です。「よい投資をしたい」というユーザーニーズに応えるにはプロジェクトの選定が重要。KuCoinの創業メンバーは技術者出身者が多く、プロジェクトの選定基準が厳しいのが特徴です。結果として、これまでのIEOはすべて成功しています。

チームの質は非常に重要だと言えます。CEOは元々アリババファイナンス業務のシニアエンジニアですし、社長はShandaグループやハイエンドの教育業界、ゲーム業界、セキュリティ業界を経験してきたシニアエンジニアです。オフィスはシンガポール、中国、フィリピン、ブルガリア、タイの5か国にあり、300名以上の従業員がいます。テクノロジー部門に100名以上のエンジニア、カスタマーサービス部門に約100名のスタッフがいて、残りの従業員は経営者やオペレーターなどです。

「KuCoin」がわずか2年間で世界最大級の取引所に成長した理由

取引所はますます増えていくと思います。どのような取引所が生き残るでしょうか。

技術主導のブロックチェーン業界で生き残るのは技術力が高い企業だけでしょう。高い技術力は必ずバリューと結びつきます。ユーザーは技術力に優れたプロジェクトに投資することで、利益という形でバリューを得られます。

優れたソースコードを社内開発することも大切です。開発のハードルは高く、どの取引所でもできるわけではありません。ほとんどの取引所はホワイトラベル(ある企業が独自で開発した製品やサービスを他の会社が自分のブランドとして販売できる権利) によってプラットフォームを作っています。ただホワイトラベルを利用する場合はセキュリティ強化や機能追加が困難なため、KuCoinは一切ホワイトラベルを使用していません。

KuCoinが持つプラットフォームで行なっている現物、先物、マイニングプーリングなど全業務のプログラムのソースコードは自分たちで開発しています。KuCoinが開発したソースコードはトップシークレットでありバリューなので、他社に売る予定はありません。 

これからスタートする場合、どのように取り組んでいくのがよいでしょうか。

2017年末から2018年初にかけて、仮想通貨市場の暴騰に伴い取引所の数が急速に増えましたが、その後は市況が一転して大暴落し、多くの取引所がなくなりました。2019年は緩やかに上昇していますが、生き残っている取引所は技術力も安全性も口コミも申し分ない取引所ばかりです。

これから設立する後進の取引所は、ユーザー及びプロジェクト、投資資金を得なければならず、セキュリティ面やテクノロジー面での困難が多くあります。これからのグローバル展開は大変難しいため、たとえ取引所を運営するにしても一部の国や地域に限って業務展開するのが無難ではないでしょうか。

「KuCoin」がわずか2年間で世界最大級の取引所に成長した理由

―最後に、KuCoinの展望を教えてください。

KuCoinはこれから技術力を向上させ、効率よく多くの取引ができるよう注力します。グローバルマーケットを狙い、よいプロジェクトを持つチームや運営が得意なチームと提携していきたいです。国によってニーズが違うのでローカライゼーションも検討し、現地ユーザーにもっと満足してもらえるよう努めます。現物、先物、マイニングプーリング、パブリックチェーン、教育を含め、KuCoinのラインナップを増やしていきたいです。

―貴重なお話をありがとうございました

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ライター/秋カヲリ 編集/YOSCA

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