ファミリーマートと提携した台湾最大の取引所「BitoPro」。コンビニでビットコイン購入

2019.11.14 [木]

ファミリーマートと提携した台湾最大の取引所「BitoPro」。コンビニでビットコイン購入

暗号通貨ソリューションを提供する台湾のBitoPro社は、台湾のシェア8割を占める取引所を運営している。2018年3月にリリースされた取引所「BitoPro」は瞬く間に台湾最大の取引所に成長した。台湾のファミリーマート約3000店舗でビットコインの現金購入を可能にし、生活者が身近な場で仮想通貨サービスを利用できる環境を整えた。台湾の王者となったBitoProの強みについて、同社CEOのTitan Cheng(タイタン・チェン)氏にIFA社の阿部氏が伺った。

ファミポートでビットコインを購入できる

Titan Cheng:私はもともとエンジニア系の出身で、セキュリティ系のビジネスを創業しました。現在は台湾の仮想通貨取引所BitoProを運営しており、前身のBitoEXという仮想通貨販売所は台湾1位の取引量です。

阿部:BitoEX とBitoProの違いについて詳しく教えていただけますか。

Titan Cheng:BitoEXは台湾の人がウォレットのようにいつでもコインを買える取引所です。ファミリーマートと提携して、ファミポートでビットコインが買えるようにしました。その後に誕生したBitoProは、取引発注をマッチングする取引所です。売りたい人と買いたい人をつなぐ場として機能しています。

ファミリーマートと提携した台湾最大の取引所「BitoPro」。コンビニでビットコイン購入

阿部:売りたい人と買いたい人を直接マッチングさせると。ファミリマートと提携したということは、台湾ではビットコインが浸透しているのでしょうか。

Titan Cheng:いえ、ファミリーマートでも最初はそれほど利用されませんでした。提携するにあたっても、ファミリーマート側がビットコインに対して警戒心を持っており、丁寧に説明して悪いイメージを払しょくする必要がありました。

阿部:やはり社会に浸透するのはもう少し先になりそうですね。現在のユーザー数はどれくらいですか?

Titan Cheng:ウォレットは約5年、取引所は約4年運営していますが、ユーザーは全体で約40万人います。台湾ドルで入金するため、法定通貨で取引するとなると当然台湾人が多くなり、ほとんどが台湾人です。

阿部:日本のユーザーも増えてますか?

Titan Cheng:多少いますね。東京にもオフィスがあり、ライセンスの取得を待っている段階です。以前、弊社の取引所がICOをサポートするIEOを日本で実施したところ、いい成果が出ました。将来的には日本のクリプト界への参入も視野に入れています。

阿部:取引所が集めたコインの受け皿になってくれると。投資家は安心できますね。

ファミリーマートと提携した台湾最大の取引所「BitoPro」。コンビニでビットコイン購入

中小企業も簡単にSTOで資金調達できる時代に

阿部:BitoPro の強みは、取引所がICOをサポートしてくれるIEOでしょう。どういうICOプロジェクトだったらサポート可能か、審査の基準を教えてください。

Titan Cheng:まずプロジェクト側が必要な義務、責任を果たしているかをチェックしています。この最低限のチェックは外部の機構に依頼していて、社内に監査機関は設けていません。外部の機構からチームのバックグラウンドなどを調査したレポートが届いたら、社内でICOプロジェクトが実現可能か判断します。もちろん実現不可能だと判断したら審査は通りません。台湾マーケットのシェア9割を占める取引所として、厳しく審査しています。

阿部:信用にかかわりますからね。日本もライセンス審査が厳しいのですが、その点はどう思われますか?

Titan Cheng:法律が厳しいのはいいことだと思っています。台湾はあまり法律が厳しくなかったのですが、最近は徐々に厳しくしています。証券、債券、不動産投資信託などをトークン化して資金調達を行うSTOは新しい手法ですが、おそらく台湾は日本やアメリカの法律を参考にして法規制を設けると思います。

阿部:日本も来年の4月に法律が変わるので、法律の変化があるかもしれません。セキュリティトークンを用いるSTOは、各国の法律の違いや詐欺プロジェクトの防止が期待できる投資方法として注目されていますね。

Titan Cheng:中小企業の輸出輸入を担当している会社と銀行4社と提携し、台湾のすべての中小企業の輸出輸入の記録をブロックチェーンに載せることに成功しました。それをベースに、中小企業がSTOできる時代が来るのではないかと思っています。中小企業が銀行でローンを組む際、銀行は中小企業のバランスシートしかチェックせず、輸出輸入の記録はわかりません。バランスシートはいくらでも改ざんできてしまいます。輸出輸入の記録をブロックチェーンに載せてすべて透明化することによって、中小企業も簡単にSTOできるようになるかもしれません。

ファミリーマートと提携した台湾最大の取引所「BitoPro」。コンビニでビットコイン購入

阿部:それはすごい。銀行ともすでに提携しているのですね。

Titan Cheng:同じシステムを活用して、外国人労働者が自国へ10分以内で送金できるシステムも開発しています。台湾は東南アジアなど外国人労働者が多く、高いニーズがあるんです。この送金システムは1年で8000万ドルの送金ができます。コンビニで外国人労働者の方が入金したらシステムに通知が届き、さらに現地の銀行に通知が届き、着金するという流れです。

阿部:既存の金融システムだと海外への送金は時間がかかりますので、日本でもニーズがありそうです。最後に、これからブロックチェーンを知りたい人に向けてメッセージをいただけますか?

Titan Cheng:勉強するにしても、先にビットコインやイーサリアムなどを所有してから理解したほうがいいと思います。考える前に、まずはトライしてみる。そのほうが理解しやすく、興味もわきやすいでしょう。

阿部:日本人は慎重な傾向があり、先に入念に調べてから行動に移すことが多いのですが、ブロックチェーンや仮想通貨においては「まずはやってみる」という意識を持つことが大事ですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

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ライター/萩原かおり 編集/YOSCA 撮影/倉持涼

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