「よい仮想通貨」を見抜く3つのポイントとは? 遺伝子検査×ブロックチェーンの新ビジネス

2019.10.08 [火]

「よい仮想通貨」を見抜く3つのポイントとは? 遺伝子検査×ブロックチェーンの新ビジネス

「遺伝子検査キット」をご存知だろうか。専用のキットを使って遺伝子を検査することで、将来どんな病気になるリスクを抱えているかなどが予測できるというものだ。このような最先端のヘルスケア事業とブロックチェーン事業を組み合わせ、検査によって得られるデータを大いに活用しているのが韓国のAlphacon社である。
今回、同社のCEO/Co-FounderであるSukHO Ryu(ユ ソクホ)氏とAIre VOICE編集長大坂氏、IFA社の阿部氏が対談。ヘルスケア分野におけるブロックチェーン技術の可能性や、今後の展望について伺った。

ヘルスケア事業とメインネットビジネスを並行して展開

大坂:まず、Alphaconの事業内容について教えてください。

SukHO Ryu:遺伝子検査キットなどのヘルスケア事業と、ブロックチェーンによるメインネットビジネスを展開しています。 まずヘルスケアについてご説明すると、お客様が遺伝子検査キットのパッケージを買い、自分の唾液を採取して検査場に送る。その後2〜3週間経つと「糖尿病になりそうだ」「カルシウムが不足しているよ」など検査結果が確認できるようになります。その結果に合わせ、アプリでお客様ごとにおすすめのサプリをご提案するのです。

「よい仮想通貨」を見抜く3つのポイントとは? 遺伝子検査×ブロックチェーンの新ビジネス

阿部:遺伝子検査キットもサプリも全て内製化しているということですか?

SukHO Ryu:そうです。とはいえ、まだまだ遺伝子検査は認知度が低いため利用者は1万人ほど。より安くて手軽な髪の毛の採取による検査は10万人ほどに利用されており、その分のデータを蓄積しています。

阿部:なぜヘルスケア事業を始めようと思ったのでしょうか?

SukHO Ryu:ヘルスケア事業を始めたのは、「病気の95%は予防できる」というデータがあったからです。韓国では日本の健康保険制度と同じように、病院にかかると大半の医療費が国の負担となり、予防の場合は100%個人負担となっています。韓国の年間の病院にかかる費用は6兆円。それを95%減少させるところまではいかなくとも、私たちで役に立つことがあればと事業を立ち上げました。
できるだけ普及させたいということもあり、他社では15,000円くらいする遺伝子検査キットを弊社では5,000円程度で提供しています。

大坂:そこから、なぜブロックチェーン関連事業を展開していこうと思われたのでしょう?

SukHO Ryu:ヘルスケア事業でデータを収集しようと思うと、あまりに時間がかかりすぎる。そこでその事業を展開していく間収益を得るための手段としてたどり着いたのが、メインネットビジネスであり、ブロックチェーンによるAlpha Coin(Alphacon社のプラットフォーム内で流通している仮想通貨)です。

「よい仮想通貨」を見抜く3つのポイントとは? 遺伝子検査×ブロックチェーンの新ビジネス

Alpha Coinの価値を上げるため、病院で使えるようにマーケティング

阿部:Alpha Coinをどういう風に使っておられるのでしょうか?

SukHO Ryu:前提としてメインネットをするためのコインビジネスなので、市場で流通してもらわないと価値が上がりません。そこで、病院で使えるようにしたんです。

たとえば、病院で歯のインプラントをすると高いですよね。そこで「Alpha Coinを買って支払うと半額になる」というマーケティングをしたんです。それが噂を呼んであちこちの病院で利用されるようになり、Alpha Coinの存在が知られるようになりました。

大坂:なるほど。では、収集したデータをブロックチェーン化させるとのことですが、それをどのようにして利益に結びつけているのでしょう?

SukHO Ryu:検査のデータを製薬会社や研究所に売り込むんです。もちろん、お客様の個人データなので同意を得て、ですね。そして研究所から得た利益をAlpha Coinでお客様とシェアします。コインの価値が上がれば、その分儲けになるんですよ。

まだAlpha Coin作りたての頃、最初に検査を受けた方に無償で5万ポイントお渡ししたんです。当時は1ポイント=0.1円だったんですが、今1ポイント=1円になっているので、10倍の5万円相当になっていますね。

「よい仮想通貨」を見抜く3つのポイントとは? 遺伝子検査×ブロックチェーンの新ビジネス

阿部:Alpha Coinはサプリの購入などに使えるんでしょうか?

SukHO Ryu:そういう風に作られたアプリもあります。でも、もっと拡大していきたい。そのために、よりショッピングで使えるよう進めています。データを収集し、その見返りとしてAlpha Coinを渡し、さらにそれを使ってサプリを購入してもらい、収益を得る。Alpha Coinがどこに行っても使えるような、エコシステムを作り上げるのが目標です。保有データを生かし、政府からも多少支援を受けられればと考えています。

大坂:Alpha Coinを中心として、ひとつのプラットフォームを作っているということですね。

SukHO Ryu:はい。そのひとつがゴルフ事業で、Alpha Coinを使って投資し、 ICOで得た資金を展開したいビジネスに費やします。

今後はグローバル展開したい

阿部:今後、ビジネスを日本で展開していく予定はありますか?

SukHO Ryu:日本の市場については見通しがつかないんですが、今の事業を国内だけでやろうとは考えていません。全世界で使ってもらいたく、日本もターゲットです。現状、市場に合わせて韓国人向けにカスタマイズされているので、韓国と日本で若干形が変わると思いますけどね。

大坂:その場合、日本企業と組むことをお考えでしょうか?

SukHO Ryu:日本のジョイントベンチャーと提携していけたらと考えています。今韓国で展開している商品を日本で売るのではなく、日本の遺伝子検査機関でサプリメントを作ってOEM形式で進めていきたいです。良いパートナーが見つかればパートナーシップを結んでプラットフォームビジネスを提供したいですね。

SukHO Ryu:2018年には仮想通貨バブルがありました。同様の現象が、10年、20年前のインターネットバブルでも起こりました。崩壊後に大手企業として名を上げたのがGoogleとAmazonです。まったく同じことがコインビジネスでも見られると思います。バブルが弾けて「コインビジネスのGoogleやAmazon」が必ず出てくる。Alpha Coinもそのひとつになります。

阿部:最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

SukHO Ryu:優れた仮想通貨をどうやって見抜くか。チェックするポイントは3つです。まず、ビットコインのように、あちこちで使われているか。次に、メインネットを持っているか。最後に、どんな人物がコインビジネスをやっているか。全世界で通用するかに目を向ければ、良い通貨を見分けられます。

AIre VOICEではブロックチェーンの最新ニュースはもちろん、さまざまなバックグラウンドを持った方へのインタビュー・コラムを掲載しています。ぜひご覧ください。

「よい仮想通貨」を見抜く3つのポイントとは? 遺伝子検査×ブロックチェーンの新ビジネス

ライター/小泉ちはる 編集/YOSCA 撮影/倉持涼

この記事をシェア