過去最大のインターネット革命で「Web5.0」到来。ビジネスチャンスをつかむなら今

2019.09.30 [月]

過去最大のインターネット革命で「Web5.0」到来。ビジネスチャンスをつかむなら今

ブロックチェーンが過去最大のインターネット革命を起こす―。そう述べるHuobi大学学長のYu Jianing(ユー ジャニン)氏は、中国通信産業協会のブロックチェーン委員会の副主任委員、「2018年中国ブロックチェーン産業白書」編集委員会主任も務めるブロックチェーンのスペシャリストである。
産業用ブロックチェーンにより到来する「Web5.0」はバリューネットワークの時代だ。金融革命が起き、モノのネットワーク(IoT)に次いで“価値のネットワーク”が誕生する。そして、そこには大きなビジネスチャンスが潜んでいるのだ。Yu Jianing氏が、インターネットが今なぜ行き詰まっているのか、ブロックチェーンによって社会がどう変わるのかについて語った。

行き詰まったネット業界に潜むビジネスチャンス

ブロックチェーンビジネスに長年携わってきたYu Jianing氏は、ブロックチェーンがインターネットに革命を起こし、Web5.0の時代に突入すると断言する。

Yu Jianing:インターネットは、今までWeb1.0から4.0まで4回のアップグレードを重ねてきました。1回目はメールなど文字のネットワークができて情報の拡散力を上げ、2回目にマルチメディアやSNSなどユーザーがコンテンツを作るプラットホームができました。3回目でモバイル端末の登場により移動ネットワークが実現し、ライフスタイルが大きく変わりました。4回目が現在、IoT工業ネットワークの確立により、商品など“モノのインターネット”が構築され産業ラインが改善されています。

過去最大のインターネット革命で「Web5.0」到来。ビジネスチャンスをつかむなら今

これから起きるのが産業用ブロックチェーンによる5回目のアップグレード、バリューネットワークの誕生だ。価値のネットワークである。金融革命が起きたりプラットフォーム経済が機能したりと、今までのアップグレードよりもさらに大きな変化をもたらすと予想されている。

Yu Jianing:変化が大きい分、起業のチャンスもたくさんあるのではないでしょうか。成功する会社は革命が起きるタイミングでマーケットに参入する先見の明があります。今こそブロックチェーンビジネスに参入すべき時です。これから第二次企業ブームが起きるでしょう。

なぜ起業ブームになるかと言うと、ブロックチェーンが複雑化したインターネットサービスを効率化するからだ。メールが主流だったころはだれでもメールツールだけでメッセージのやりとりができたが、現在は国ごとに主要なメッセージアプリが異なり、中国だとウィーチャット、日本だとライン、 韓国だとカカオというように、グローバルなコミュニケーションを成立させるには複数のアプリをダウンロードしなければならない。互換性がなく、自由度が低くなっているのだ。

過去最大のインターネット革命で「Web5.0」到来。ビジネスチャンスをつかむなら今

Yu Jianing:大きな会社がクローズドなサービスを作り、小さな枠でユーザーを囲い込むビジネスモデルが台頭していますが、それではインターネットのオープンな仕組みを損なってしまいます。ユーザーも不便に感じますし、今後はプライバシー保護を重視して企業がユーザー情報を独占しにくくなりますから、クローズドなサービスは求められなくなるでしょう。今、インターネットは行き詰まっているのです。だからチャンスがあります。

技術の進歩により資産の管理権が企業に奪われた

AIなど新技術の急速な発展に伴って、大手企業がより一層の成長を遂げ、中央集権化が進み富や権力が集中している。特に金融業界において顕著な傾向がある。

Yu Jianing:ブロックチェーンは公平性を維持できる唯一の仕組みで、権利を均等に分配できます。ブロックチェーンによりオープンなコミュニティ制のエコシステムが誕生すれば、インターネット産業は高い自由度を取り戻すでしょう。

中央集権型のシステムは、運営側に対する信用が利用の前提にある。金融システムの運用者は、金額の数字入力をいくらでも変更して改ざんできる状態だ。Yu Jianing氏は「小さなプラットフォームでは取引の記録が改ざんされたり取り消されたりすることはよくある」と述べる。

Yu Jianing:今は資産を自由に扱えない時代です。かつては法定通貨や金を個人が手元で直接管理していましたが、今は銀行など企業に預け入れてデジタル化し、管理を委ねることがほとんどで、富を自分でコントロールできません。技術が発展して資産が電子化されることによって、すべての人が資産のコントロール力を失いつつあるのです。

ただ、こうした金融サービスはリスクと同じくらいニーズもある。昔のように現金や金の延べ棒を自宅で管理したいと考える人はほぼいないだろう。個人がコントロール力を維持しながら効率良く資産管理するなら、やはりブロックチェーンの活用が望ましい。

Yu Jianing:ブロックチェーンで実現できるデジタルアセットが有用でしょう。ウォレット内にあれば他の人がそれを剥奪することはなく、一番安いコストで海外へ支払うこともできます。多くの準備や申請が必要な上場には間接コストが加算され、特に外国で上場するには莫大なコストがかかります。ブロックチェーン上に情報や資産が記録されるようになれば、こうした間接コストが削減できます。

過去最大のインターネット革命で「Web5.0」到来。ビジネスチャンスをつかむなら今

金融業界が非効率な理由

Yu Jianing:グローバル化が進んで海外とも簡単にコミュニケーションできるようになりましたが、国際送金はいまだに効率が悪いです。中国からアメリカに送金するのに2日間の時間と90~900ドルの手数料がかかります。送金の過程にはたくさんの段階があり、どの段階で躓いてもエラーになって返金されてしまう脆弱性も弱点です。

金融サービスは電子化されている部分もあれば人の目でチェックする部分もあり、口座AからBに送金するだけでも仲介会社を跨ぐなど複雑な工数を踏むシステムになっているのだ。

Yu Jianing:ブロックチェーンを活用すれば、A から B まで直線距離で送金できます。ビットコインがその代表例で、初めて国を跨いだ「世界銀行」といえるでしょう。仲介代理店は必要はなく、ユーザー自身が世界銀行の支店として機能するのです。無駄なコストが削減され、かなり効率化されます。

Huobi社のスローガンは「金融をもっと効率的に、富をもっと自由に」だ。ブロックチェーンがそれを実現する手段となる。

Yu Jianing:将来、ブロックチェーンに関する法律と規制が成熟して、業界内の無法地帯はなくなります。ブロックチェーンはデータの産業化とプライバシー保護のバランスを取り、価値共有のための新しいプラットフォームを確立します。大手企業が独占する産業の古い体制から抜け出す起爆剤となるでしょう。私たちも金融業の効率を根本から上げ、経済を活性化させることを目指します。

AIre VOICEではブロックチェーンの最新ニュースはもちろん、さまざまなバックグラウンドを持った方へのインタビュー・コラムを掲載しています。ぜひご覧ください。

ライター/萩原かおり 編集/YOSCA 撮影/倉持涼

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