ポイントの7割は未消化。ポイントサービスを優良顧客育成につなげる顧客管理システム「ポイントツリー」

2019.09.06 [金]

ポイントの7割は未消化。ポイントサービスを優良顧客育成につなげる顧客管理システム「ポイントツリー」

ポイントサービスは有用なマーケティング施策だが、単なる販促に留まり、有効な顧客施策につなげられない企業が多い。「ポイントの70%は未消化のまま活用されていない」と語るのは、台湾Pointree社CEOのEric Chan(エリック チャン)氏だ。
同社は顧客管理システム「ポイントツリー」を1,400店舗に提供している。カードやクーポン、ポイント支払いを一元管理できるのが強みだ。どうやって店舗の優良顧客を育成すればいいのか、ポイントサービスの正しい使い方をAIre VOICE編集長の大坂氏が伺った。

30万人が利用する顧客管理システム

Eric Chan:大学時代にゲームキャラの育成を代行するサービスを立ち上げた経験があり、とても楽しかったので「自分でプロダクトを立ち上げたい」と思って卒業後にPointreeを創業しました。社員は現在12名で、エンジニアは5名います。

大坂:「ポイントツリー」のサービス内容を詳しく教えてください。

Eric Chan:簡単な操作でクーポン、会員カード、マルチポイント支払いなどを一元管理・運用できる顧客管理システムです。コレクションカードやメンバーシップカード、さらには広告プッシュも組み合わせて利用できます。送客にも貢献し、新規顧客獲得とリピーター獲得の両方に活用できるのがメリットです。現在1,400店舗と契約しています。

ポイントの7割は未消化。ポイントサービスを優良顧客育成につなげる顧客管理システム「ポイントツリー」

大坂:LINEポイントも支払いに利用できるとのことですが、台湾で LINE を使っているユーザーは多いのですか?

Eric Chan:多いですね、台湾のLINE ユーザーは2,300万人います。LINE の子会社から提携の話をいただき実現しました。LINEポイントは1ポイントあたり現金1香港ドルに相当し、ユーザーを引き込むポイントになります。

大坂:ブロックチェーンはどういった点に活用していますか?

Eric Chan:ポイントをブロックチェーンに乗せて、運用が活性化するようにしています。チェーンにはイーサリアムを使っていて、台湾だけで1,400社と取引があり、ユーザーは30万人程です。

大坂:それを社員12人で回しているんですか。30万人ものユーザーを抱えているとセキュリティ面で苦労しそうですが。

Eric Chan:結構大変ですね。セキュリティの部分はアウトソーシングしていて、セキュリティの専門家がアドバイザーに入っています。

大坂:なるほど。ポイントツリーの収益はどうやって出しているのですか?

Eric Chan:店舗にポイントサービスやデータ分析を提供して、年会費を受け取っています。あとはポイントのマージンですね。LINE ポイントやUUPONなど、ユーザーが提携したポイントで支払った時にマージンを得ています。

大坂:提供しているデータ分析はどんな内容ですか?

Eric Chan:顧客の来店頻度などです。頻度を分析することによって、足が遠のいている顧客には割引クーポンを送って呼び戻すなど、リピーター獲得や優良顧客の維持につなげられます。来店期間が空いたタイミングでクーポンを自動送信することもできます。

大坂:広告みたいな使い方ですね。店舗運営でも、来客数などのデータをきちんと集めて販促プランに反映するのが主流になっているので、マーケティングに利用できるのは魅力的です。これからは店舗も全てデジタル決済になっていくと思うので、データや広告などが全部連携するシステムはかなり需要があります。

ポイントの7割は未消化。ポイントサービスを優良顧客育成につなげる顧客管理システム「ポイントツリー」

増えるポイント、消化できないユーザー

大坂:今後、日本への展開予定はありますか?

Eric Chan:実は楽天と話を進めています。将来的には日本を含め、ポイントサービスが流行っている国に展開したいですね。ポイントサービスは特に飲食店の導入率が高く、東南アジアには台湾のドリンク店がかなり進出しているので、それに合わせて展開していこうかと考えています。

大坂:日本でも台湾のタピオカミルクティーが大ブームになっています。ほとんどの店舗がポイントを導入していますね。

Eric Chan:ポイントツリーを展開して気づいたのが、ポイントの未消化問題です。ポイントツリーは現在1,400店舗と契約していますが、当然1,400種類のポイントがあり、なんと70%以上のポイントが未消化のまま活用されていませんでした。そこで、ポイントにちょっとしたトランザクションフィーをかけ、我々のユニバーサルポイントに変換して他店のクーポンに替えられる仕組みを作りたいと考えています。

ポイントの7割は未消化。ポイントサービスを優良顧客育成につなげる顧客管理システム「ポイントツリー」

大坂:それはかなりニーズがありますね。日本でもポイント未消化問題が起きていて、ポイントを使わせるための割引キャンペーンを行うなど、施策が二重三重になり複雑化してしまっています。ブロックチェーン上でポイント発行してインセンティブ設計を行い、消化を促すシステムはとても優秀です。

Eric Chan:とはいえ店舗数がなければ成り立たないので、過去2年は店舗数を増やすことに注力しました。最近ようやくLINE ポイントなど他社と提携したので、メジャーなポイントサービスとも連動できるようになり、軌道に乗ってきました。

大坂:ポイント未消化問題を解決できるシステムができたら、日本でも爆発的に流行ると思います。最後に、日本の読者へメッセージをいただけますか?

Eric Chan:私はブロックチェーンとポイントは相性がいいと思い、後先考えずすぐに創業しました。アプリ開発もデザイン設計も何も知りませんでしたが、とにかく強い衝動に突き動かされたんです。当時はほとんどの人がブロックチェーンがこれほど広まるとは考えておらず「なんでそんなビジネスを立ち上げるんだ」と言われたのですが、あの時やらなかったら今頃後悔していたでしょう。みなさんもブロックチェーン業界にピンとくるものがあれば、自分の直感を信じて飛び込んでみてください。

AIre VOICEではブロックチェーンの最新ニュースはもちろん、さまざまなバックグラウンドを持った方へのインタビュー・コラムを掲載しています。ぜひご覧ください。

 

ライター/萩原かおり 編集/YOSCA 撮影/倉持涼

 

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