次世代のグローバル人材へ。言語の壁を超えるブロックチェーン業界の魅力

2019.09.02 [月]

次世代のグローバル人材へ。言語の壁を超えるブロックチェーン業界の魅力

1ヶ月で約26億円を調達したDADIは、次世代インターネット系サービスを展開するイギリス企業だ。イーサリアムブロックチェーンを活用したクラウド型のサービスプラットフォームを提供し、90%のコストカットにも成功。イギリスの大手企業や有名ブランドも多く利用しており、速くて安全なロバストネス(robust)インターネットの構築を目指している。
今回、同社CTOのArthur Mingard氏とAIre VOICE編集長の大坂氏が対談した。Arthur氏は「近い将来、ロンドンがブロックチェーンのハブになる」と予測する。ブロックチェーン業界の先駆者に、ヒット製品の裏側やブロックチェーン業界で働くメリットについて伺った。

イーサリアムで9割のコストカットと効率化を実現

Arthur:DADIは、イーサリアムブロックチェーンを採用して効率化した分散型ウェブサービスを提供しています。グローバルなクラウド型のサービスプラットフォームで、ユーザーは無駄なコストを削減し、高いセキュリティのもとでウェブを利用できるのがメリットです。現在はイーサリアムブロックチェーンで展開していますが、今後はDADIチェーンなどオリジナルチェーンに移行する予定もあります。

大坂:イーサリアムブロックチェーンのメリットは、ブロックチェーン上に契約内容を記録して、契約を自動実行できることですね。わざわざユーザーが手動で契約実行しなくても、システムが自動で行ってくれる。いわゆる契約の自動化、スマートコントラクトが可能になります。中央管理者がいなくても稼働する分散型システムとして機能する点も特徴ですね。

Arthur:契約を記録できるので透明性が高くなりますし、スマートコントラクトによって効率化できます。個別デバイスを相互接続するDADIのネットワークを使うと、顧客サポート時に従来のクラウドサービスと比較して最大90%のコストを節約できるというデータもあります。コストカットと効率化によって、よりスピーディーなサービス提供が可能になるでしょう。ウェブサイトだけでなく、API、ECサイト、モバイルアプリケーションなどにも対応しています。

次世代のグローバル人材へ。言語の壁を超えるブロックチェーン業界の魅力

大坂:DADIは高い技術力に定評があり、すでに多くの顧客を獲得していますね。BTやGRAZIA、MONOCLE、KISSなど大手企業や有名ブランドも利用しています。どんな顧客が多いですか?

Arthur:基本的に出版業のお客様が多いです。他社とどうやって技術的な連携をとっているかというと、提供するサービス、ウェブサイトのサーバーなどをクライアント側に置いています。それによってユーザーに密着したネットワークが提供できる。私たちが提供しているのは、サーバーとコンピューター計算力とストレージの3つです。

大坂:なぜこういったサービス提供を志したのですか?

Arthur:現代のエンドユーザーに密着したサービスを展開したかったからです。イギリスにはテレビが400~500万個普及しているそうですが、1日約2時間しか稼働していません。今やテレビではなくパソコンやスマートフォンが主役になっているのでしょう。

ブロックチェーンは言語の壁を超える

大坂:DADIはコインではなくトークンを利用していますが、DADIトークンについて詳しく教えてください。

Arthur:イーサリアムERC20のブロックチェーンをベースにしていて、売り出し前からかなり注目されました。400万ドル(約4億円)相当の1000万DADIを売り出したプレセールでは、たくさんの投資家が購入するために集まりましたね。カスタマーからサービスを購入する際はトークンを買い、提供者にもトークンを付与しています。取引記録にも使われていますよ。

次世代のグローバル人材へ。言語の壁を超えるブロックチェーン業界の魅力

大坂:トークンによる資金調達、ICOはしましたか?

Arthur:2018年の1月29日からICOをスタートし、1ヶ月以内に終わりました。発行数は5000万DADIで、2500万ドル(約26億円)を1ヶ月以内に調達したことになりますね。

大坂:すばらしいですね。ICOの取り扱いは各国で違っていて、日本だとICOはできません。イギリスではICOのサポートはありますか?

Arthur:ICOを推進する環境は整っています。政府側で特別な部署は設けられてはいませんが、いわゆる税務署や金融庁など、既存の省庁から明確なガイドラインが出されています。

大坂:ロンドンではブロックチェーン企業が盛り上がっていると聞きます。ロンドンの企業には、新しいブロックチェーン技術を積極的に取り入れようとする風潮がありますか?

Arthur:熱気がありますね。ロンドン発のサービスやプロダクトはまだ少ないのですが、法律面でのサポートも手厚いので、ロンドンは確実にブロックチェーンのハブになっていくはずです。エージェンシーを通して人をつなげるサービスをよく見かけるようになり、今後増えていくだろうという実感があります。求人には困ったことがありません。

大坂:求人を出すと応募が集まるんですね。日本はブロックチェーン業界の人材不足が深刻なので、とてもうらやましいです。日本でもブロックチェーン技術は話題なのですが、日本人は新しいテクノロジーに保守的で人材が集まりません。将来ブロックチェーン業界で働きたいと考えている人に向けて、メッセージをもらえますか?

Arthur:分散型の概念を持つブロックチェーンは、複数のステップを壊す力があります。弊社のチームも9か国に分散していて、言語の縛りがありません。ブロックチェーンは言語すら超えるのです。言語にこだわらず仕事ができるブロックチェーンであれば、ビジネスチャンスを大きく広げられるでしょう。新しいテクノロジーのリスクを見るのではなく、ビジネスパーソンとしてどんなチャンスを得られるかに着目してください。

次世代のグローバル人材へ。言語の壁を超えるブロックチェーン業界の魅力

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ライター/萩原かおり 編集/YOSCA 撮影/倉持涼

 

 

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