ブロックチェーンを歴史の記録に使ってみては? 知らんけどー!!

2019.08.22 [木]

ブロックチェーンを歴史の記録に使ってみては? 知らんけどー!!

日本人も薄々気づいている変な文化を、外国人の視点から「ホワ~イ! ジャ~パニ~ズ、ピーポー!!!!!!!!」と絶叫しながら指摘して笑いを誘う芸で一躍有名になり、現在は教育番組などでも活躍する厚切りジェイソン氏。

彼は、IT企業で役員も務めるという二刀流芸人としても知られている。現在は、その会社で投資関連の仕事をして、最新技術にも明るい。そんな彼に日本のキャッシュレスを巡る話、ブロックチェーンについて聞いてみた。

 

日本円で8円くらいの支払いでもカードで払った

今秋には芸歴5年目を迎える厚切りジェイソン氏。実は、IT企業で投資を担当するという顔を持ち、キャッシュレスやブロックチェーンなどの動向にも精通している。

いま日本では政府がキャッシュレス比率を40%にする数値目標を掲げているほか、消費税率引き上げに伴い、キャッシュレス・消費者還元事業を行なうこと、さらにはマイクロマーケティングの布石を睨み、通信サービス会社やネット通販業者など、いわゆるプラットフォーマーもキャッシュレス戦線参入し、混戦模様となっている。

厚切りジェイソン氏は、そんな日本の“キャッシュレス狂想曲”をどのように見ているか?

「日本は、カードが使えない店が多いですよね。僕はアメリカで、う~ん、日本円で8円くらいでもカードで払ったことがありますよ。100円OFFみたいな割引券があって、残りをカードでお願いしますって。それでも、問題ないんです。でも、日本で8円をカードでお願いしますって言ったら、『現金でなんとかお願いできませんか?』とか、逆に変な外国人、勘弁して、と思われるでしょ。

でも考えてみて下さい。消費者から見ればポイントも付くし、後で何を買ったか分析できるから、できればカードに統一したいんですよ」

日本に住んでいても、買い物をするときにはカードを優先するというジェイソン氏。ポイント分を差し引きして割安ならば、支払い時に多少余計に払ってもカードを使うという。

会社役員もやっていることなどから資産家ゆえ、記者が「ジェイソンさんのようなお金持ちでも、そんな風に感じるんですか?」と聞くと、「そういう感覚だから、お金がたまるんだよね」という答えが返ってきた。

その後のやり取りを一問一答で再現してみよう。

ブロックチェーンを歴史の記録に使ってみては? 知らんけどー!!

厚切りジェイソン:お金を管理しているからお金がたまる。発想が逆よ。だから、お金を管理していない人はお金が貯まらない。現金だと、何を買ったかはわからないでしょ? 10万円があったら、使っているうちにお金がなくなり、メモをしておかないと、何を買ったかがわからなくなる。

でも、カードなら1円単位で、何を買ったかが全部わかる、で、あとで振り返って、これはそれほど必要なかったので、次はカットしよう、と考えられる。でも、現金だとそういうお財布の管理はムリ。全部、いちいち書いていかない限りは。カードだと自動的に書かれているんだよ」

 

編集部:でも、節約術なんかでは、現金だとやり取りが見えるし、レシートを整理して、見える化ができて、お金の管理ができるなんて言われますよね?

厚切りジェイソン:それは、すごい作業をして、手間をかけて見える化するわけだけど、カードなら何の作業もなく見えるんだよ。

 

編集部:わかります、わかります。でも、テレビを見ているとそういうことを言う人を見かけませんか?

厚切りジェイソン:もう、ビンタ。ビンタだよ。

 

編集部:こうした文化的なギャップは、どうすると変わりますかね。やっぱりビンタですか?(編集部は、暴力は反対ですよ~!)

厚切りジェイソン:どうなのかなぁ、本当にやらない人はやらないからね。多分カードを使っていても、それがわからない人もいるし、見ない人もいる。そういう人は、専門家が、(現金にして、家計簿をつければ)見えるんです、というと、オオって、なるのかもしれない。

でも、もし僕が(オオっていう人の)横にいたら、「それはカードで出来ていますよ」と言うよ。そうすれば、オオっがなくなる。これ、「WHY JAPANESE PEOPLE!?」だね。

 

編集部:でもテレビだと、オオっていうウケを狙っているわけじゃないですか

厚切りジェイソン:少し補足すると、カードを使いすぎないための節約術で、カードを現金に切り替えて、家計簿をつけてオオってなるんでしょ。ならば、逆に、カードでもまったく同じことができるどころか、レシートを整理したり、家計簿をつける手間がないんだよって、僕が指摘したら、オオってなると思いますよ。

WHY JAPANESE PEOPLE!? そんな簡単なことがわからんのかよ! 知らんけどー!!

ブロックチェーンを歴史の記録に使ってみては? 知らんけどー!!

ブロックチェーンの可能性はまだ判断できない

このように日本のキャッシュレス事情を客観的に見ている厚切りジェイソン氏。投資家として、ブロックチェーンをどのように見ているか?

「ブロックチェーンを使っているから投資しますか? という質問は、クルマに投資しますか? というくらい漠然としていて大まかすぎ。もうブロックチェーンをやってから投資してくれというのは詐欺師のようなもので、そういう時代ではない。また、ICOでコインを発行するというところの話も興味ないです。

いまブロックチェーンは、量子コンピュータと似ているところがあるかもしれません。すごい技術で、すごいことができると言われているけれど、実際に、どんな問題を解決しているのか事例が少ないから判断がしにくい。将来、もしかしたら、うまくいくかもしれないね、というところで、止まっている印象ですね。ちなみに、うちの会社では量子コンピュータの子会社を作りましたよ」

そのほか、ブロックチェーンの活用の場として、次のようなアイデアを持つ。

「書き換えができない台帳なのだから、国の歴史のように、必ずしも正しく残るかどうかわからないものに使うといいかもね。これだと、ずっと残るから。そして、あとで書き換えたとしても、その書き換えたところが見える。その意味では、面白い技術だと思います」

お笑い芸人として活動しつつ、実は、日本の新しいテクノロジーの動きにも関心が強い厚切りジェイソン氏。普段テレビで彼のことを笑いながらみているが、外国人の彼の視点から見た「Why?」というポイントにこそ、新しいビジネスのヒントがあるのかもしれない。

ブロックチェーンを歴史の記録に使ってみては? 知らんけどー!!

厚切りジェイソン氏
1986年4月9日生まれ。ミシガン州立大学卒業(入学は17歳で飛び級!)後、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校大学院終了。NHK-Eテレ「えいごであそぼ with Orton」、「Why⁉プログラミング」にレギュラー出演。

取材・文/編集部 撮影/干川 修

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