投資家も起業家も得する信用システムをブロックチェーンで構築する方法

2019.08.19 [月]

投資家も起業家も得する信用システムをブロックチェーンで構築する方法

ブロックチェーンによって、ベンチャー企業でも上場しやすい社会が実現するかもしれない。現在、中国の投資状況は芳しくなく、ベンチャーキャピタル投資は国の扶助のうえで成り立っている。しかし、立ち上げたばかりで信用されにくいベンチャー企業でも、ブロックチェーンにより投資を受けやすくなる可能性がある。
上海錆賀镪企業コンサルティング有限公司は、財務管理を中心に上場前企業のコンサルティングを行っている。今回、AIre VOICE編集長の大坂氏が代表の胡敢新氏と、投資に精通するパートナーの張卫東氏と対談。ブロックチェーンが投資を活発化させ、企業にチャンスを与える理由について伺った。

ブロックチェーンで企業投資が活発化する

大坂:おふたりのご経歴と仕事内容を教えてください。

胡:21年間、さまざまな分野で会計審査を担当し、会社の業績考課を含めた運営管理にも携わりました。そこで「中国の企業は財務管理に疎い」という課題を発見し、2018年に会社を立ち上げまして、企業権益の贈与、コンサルティングを行っています。
具体的には企業の財務諸表のコンプライアンスをチェックするなど、上場前のコンサルティングサービスを提供し、企業が市場進出する際のサポートをしています。

張:私は主に投資分野を担当し、胡さんのパートナーとして事業展開しています。ビッグデータが専門分野なので、データの権利問題にも取り組んでいます。
アプリのダウンロード時に同意ボタンをクリックすると個人情報が取られてしまうことがありますが、これは深刻な問題です。これからブロックチェーンに関する法律を整えて、ブロックチェーンでデータの権利所属を管理したいですね。

投資家も起業家も得する信用システムをブロックチェーンで構築する方法

胡:ブロックチェーンの特性は、脱中心化と非改ざん性です。私たちが行う企業コンサルにおいては、ブロックチェーンを活用して改ざんできない財務データを提供し、市場進出した時に信頼性のある企業へランクアップさせたいと考えています。

大坂:ブロックチェーンで信用システムを構築できたら、投資状況も良くなりそうですね。

胡:去年の投資状況はあまり良くありませんでした。まだ信用システムが構築できていないため、現在のベンチャーキャピタル投資は国の扶助を受けて成り立っています。

信用システムが構築できれば、投資者は投資先の企業を慎重に審査する必要がなくなり、今より投資しやすい環境を作れるでしょう。こうした信用システムの構築に一番必要なものがブロックチェーンだと思います。

大坂:そう感じたきっかけはありますか?

胡:決済アプリ「アリペイ」を活用して実感しました。毎日忙しくて買物に行く時間もなかった時、ネット通販で買ったカメラが届かなかったことがあったんです。利用した電子商取引プラットフォームには保障がなく、どうにもできませんでした。その後、ECサイト「タオバオ」でアリペイが利用できるようになり、取引が終わったタイミングでお金が売手に支払われる仕組みが導入されました。

プラットフォーム側に信用システムがあることで、消費者は安心してネット通販を利用できるようになります。もちろん、アリペイやタオバオのサービス開発には大きな人力や資金の投入が必要ですが、これからはブロックチェーンによって信用問題を解決できるだろうとイメージできました。
アリペイは消費者向けの信用システムですが、ブロックチェーンは企業向けの信用システムを構築できるでしょう。

投資家も起業家も得する信用システムをブロックチェーンで構築する方法

政府へのアプローチが今後の課題

大坂:ブロックチェーンを活用して実現したい計画はありますか?

胡:すでに電子商取引のプラットフォームを構築していまして、利用企業のデータから投資前の事前調書を作成し、出資者に提供する予定です。そのプラットフォームを利用した会員企業様は、ポイントを利用して会員企業間で取引できます。会員企業様の数が一定数に到達すると、ブロックチェーン上にあるすべてのトークンが弊社の計算システムに入り、全データを管理できるようになります。
このデータは企業経営管理の分析レポートとして使い、権益型や消費型などに分類して第三者与信レポートのような形で出資者に提示する、という流れです。

弊社のバックには大きな投融資プラットフォームがあるので、集めたデータを見せて「どの企業がどのタイミングで投融資の需要が出てくるか」「どの企業の取引状況が良いか」「どの企業にポテンシャルがあるか」といった与信レポート情報を提供できます。

大坂:ブロックチェーンを通して、投資前の事前調書を完成させるようなイメージですね。

胡:さらに、投資のアフターウォッチングも実施します。投資したユーザーの生活環境にトークン・ブロックチェーンを付随させることで、投資資金の使用状況が自動的にデータベースに記録され、その都度把握できるようになります。さらに、企業に対して定期的に運営分析レポートを提供できるのもメリットですね。

投資家も起業家も得する信用システムをブロックチェーンで構築する方法

大坂:ブロックチェーンとAIを企業コンサルに活用すると、どんなことができると思いますか。

胡:会計士が入手する財務レポートにブロックチェーンを導入し、AIIoT化することで、だれも改ざんできない資料を自動的に作れるようになると思います。社会的な不正問題を完全に防ぐことができるわけです。それを実現するまでには長い時間がかかりますが、必ず実現できるでしょう。

張:問題なのは、中国政府がブロックチェーンや仮想通貨を歓迎してるわけではないということです。もともと中国にあったブロックチェーン企業の多くは、カンボジアやモンゴル、中央アジアなどの別国に移転してしまいました。

最近の仮想通貨市場の景気はあまり良くないため、ビットコインやイーサリアムはすべて値下がりしています。
法律面の問題を解決できればブロックチェーンや仮想通貨が信頼されるようになり、市場が活発化して業界も発展することでしょう。そのためにも、政府と積極的にコミュニケーションしてブロックチェーンに対する理解を深め、ブロックチェーンでより良い社会を実現しようとする価値観を普及させるべきだと思います。

AIre VOICEではブロックチェーンの最新ニュースはもちろん、さまざまなバックグラウンドを持った方へのインタビュー・コラムを掲載しています。ぜひご覧ください。

ライター/萩原かおり 編集/YOSCA 撮影/倉持涼

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