大躍進するオープンプラットフォーム「99EX」。新興取引所の生き残り戦略

2019.07.03 [水]

大躍進するオープンプラットフォーム「99EX」。新興取引所の生き残り戦略

世界最大級の取引所「OKEx」傘下のオープンプラットフォーム「99EX」は、スタッフ全員が金融と投資業界出身。OKExの高い知見を活かして安心・安全で信頼性が高いデジタル資産取引サービスを提供している取引所だ。

積極的にグローバル展開し、日本のブロックチェーンコミュニティからも注目を集めている。

今回、AIre VOICE編集長の大坂氏が、OKオープンプラットフォームの総合業務を担当する劉宸宇氏、99EX商務部門の総責任者である張瑞東氏と対談。後編では、張瑞東氏に新興取引所がブロックチェーン業界で生き残るための戦略を伺った。

 

大手傘下に入り、2400万ユーザーを即獲得

張総経理:99EXは、全オープンプラットフォームの中でも最大級のユーザー数を誇るOKEx傘下のオープンプラットフォームです。

99EXの基盤技術はすべてOKExがサポートしていて、主に分散型アルゴリズム、検索エンジンの媒介、スマートコントラクト技術、デジタル通貨などのシステムなどを利用しています。

 

──99EXの規模はどれくらいですか?

張総経理:今年の5月に、99EXのプラットフォーム登録者数は30数万人を超えました。さらに2400万にも及ぶOKExユーザーともつながっているので、OKExユーザーは99EXプラットフォームにわざわざ登録、認証せずに利用できます。

大躍進するオープンプラットフォーム「99EX」。新興取引所の生き残り戦略

──2400万のOKExユーザーも99EXをすぐに利用できる状態だということですね。99EXのビジョンについて教えてください。

張総経理:信頼できる透明性と拡張性を持つ、革新的なグローバル取引所になることを目指しています。

そして、現在の取引所が抱える新人不足、効率の低下、製品の単一化、流動性の制限という4つの問題を解決したいです。

 

──グローバル取引所を目指すとのことですが、どれくらいの言語に対応しているのですか。

張総経理:現在は中国語、英語、ハングル語の3バージョンをリリースしていて、今後は日本語、ロシア語バージョンも追加する予定です。プラットフォーム登録者数は現段階だとわずか30万人ですが、OKExの1000万人規模のユーザーを共有しています。

これからは取引の深度と流動性を高めてアクティブユーザーを増やしていきたいですね。中日韓、東南アジア、アメリカでサミットを開催し、今後はヨーロッパでも開催する予定です。

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──日本語バージョンもリリース予定とのことですが、日本側に提携の意志がある場合、どのような条件をクリアすれば提携できるのでしょうか?

張総経理:OKExの技術サポートを提供できるERC-20、TRC-20およびパブリックチェーンのプロジェクトであること、そしてコミュニティユーザーが10万人以上であることです。

100万人規模であれば問題なく提携できます。また、掲げているビジョンが私たちの文化とマッチしていると理想的ですね。

 

──なるほど。プロモーションはどのように行っていますか?

張総経理:自社メディアと約1000社の外部メディアを通じて行っています。

オフラインイベントでは小規模のミートアップを開催したり、海外のサミットで提携パートナーを招待したりしていますね。コミュニティの運営チームでもオペレーションを行っています。

 

──オンラインコミュニティの運営では、広告代理店が必要ではないのですか?

張総経理:はい、広告代理店のスタッフもいます。運営チームにも、広告代理店出身者が多いですね。

 

技術サポートによりセキュリティ・人材コストを大幅削減

──99EXはOKExのサポートによって、どんな恩恵を受けていますか。

張総経理:小規模取引所が抱えがちな流動性の問題を解決できます。さらに、99EXウォレットとOKExウォレットは手数料ゼロで資金互換ができ、アカウントに即時反映される点もメリットです。

OKExが1兆米ドルかけて構築したセキュリティ技術によって取引を管理しているので、ユーザーも安心して利用できるでしょう。

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──セキュリティ構築には莫大なコストがかかるので、ユーザーだけでなく99EXにとってもかなり大きなメリットだと言えますね。次に、99EXの成長ビジョンについて教えてください。

張総経理:99EXのエコシステムコミュニティを構築することです。グローバルパートナー、投資家、スーパーノード、マーケティングプロモーションスタッフなど誰でも参入できて、自分のエコシステムを構築できるコミュニティになれば、参加しているメンバー全員が99EXのチームになります。

結果として、最小限のスタッフで運営できるようになるでしょう。実際、99EXは研究開発など含めてOKExの技術サポートを受けているので、技術スタッフを多く採用する必要がありません。現在のメンバーは十数人のみで、最小限のメンバーで回しています。

 

──それはすばらしいですね。99EXとOKExのプラットフォームでユーザーを共有したのは、取引の利便性を高めるためですか?

張総経理:そうですね。特に、小規模取引所が新しくユーザーを獲得するのはとてもハードルが高く、苦戦するポイントです。すでに多くのユーザーを抱えているOKExと提携すれば一気にたくさんのユーザーとつながれるので、ユーザーを獲得しやすくなるでしょう。

 

プラットフォームの共有はユーザーの利便性を上げる

──取引所が審査を行い、上場する取引所が責任を負うIEOは投資家のリスクが少ないため人気が高く、ブロックチェーン業界でブームになりつつあります。99EXでも自社ブランドとしてIEOプロジェクト「Space Station」を立ち上げていますよね。「Space Station」について詳しく教えていただけますか?

張総経理:「Space Station」は3つのプロジェクトから好きなプロジェクトを選んで投票することで、プロジェクトの質を保証します。ユーザーはプラットフォームに登録して私たちのKYCを認証し、USDTを所有するだけで投票に参加できます。

 

──ユーザーが登録、認証すると投票できるようになると。コインを所有したり、使ったりして投票を行うわけではないのですね。

張総経理:ええ、OKEx上でコインを所有していなくても、プラットフォームに登録して認証さえすれば投票できます。投票は1回のみです。

 

──99EXプラットフォームとOKプラットフォーム、どちらに登録してもいいのですか?

張総経理:どちらでもいいです。ユーザーが共有されているので、OKプラットフォームに登録すれば99EXプラットフォームのユーザーにもなりますし、その逆もしかり。両方に登録する必要はありません。ただ、OKExと99EXのIEOプロジェクトは独立しており、別物です。

 

──OKExのプラットフォームを共有することで、ユーザーの利便性を高めていますね。すでに成熟している取引所のサポートを受けることで、新しい取引所の成長速度が上がり、新しく参入する企業や小規模取引所にも大きな可能性が生まれることがよくわかりました。
今後、競合が増えてレッドオーシャンになるだろうブロックチェーン業界において、有用な生き残り戦略になりそうです。貴重なお話をありがとうございました。

 

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ライター/萩原かおり 編集/YOSCA 撮影/倉持涼

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