世界最大級の取引所「OKEx(オーケーイーエックス)」は、中国の三大仮想通貨取引所の一つ。100種類以上の仮想通貨で取引でき、多種多様なアルトコインを扱うのが特徴で、レバレッジ取引も可能。
ビットコインの先物取引では、毎日約1.5億ドルの取引量がある。
OKExのサポートを受けている取引所「99EX」は、OKオープンプラットフォームを基盤とし、安心・安全で信頼性が高いデジタル資産取引サービスを提供している。
今回、AIre VOICE編集長の大坂氏が、OKオープンプラットフォームの総合業務を担当する劉宸宇氏、99EX商務部門の総責任者である張瑞東氏と対談。前編では、劉宸宇氏にオープンプラットフォームをどう活用するべきか伺った。
オープンプラットフォームで参入障壁を打破
劉宸宇:ブロックチェーン技術が持つ分散型の理念は非常に大きな可能性を持っていますが、取引所には大きな参入障壁があります。それは、高い技術力が求められること。参入障壁があると、ブロックチェーン技術が社会に浸透しにくくなってしまいます。
──これまでは、すでに高い技術力を持っている一部の大手取引所に集中しがちでしたね。そうすると中央集権型の運営になってしまって、分散型の理念が生きてこない。
劉宸宇:ええ。そのため、OKオープンプラットフォームは分散型にしたいと考えています。
そうすれば取引所開設のハードルが非常に低くなり、運営力のあるパートナーが迅速に取引所業界やブロックチェーン分野に参入できるようになるでしょう。
OKオープンプラットフォームはブロックチェーン業界のリーディングカンパニーとして、ブロックチェーンの分散型の精神を実践することを目指しています。
──なるほど。OKオープンプラットフォームについて詳しくご説明いただけますでしょうか。
劉宸宇:OKオープンプラットフォームは、2018年後半に取引所業界に誕生した新しい開設方法を採用しており、標準化サービスとAPI方式サービスの2つを提供しています。
標準化サービスは短期間・低コストで迅速に開設できるのが特徴で、高い技術コストは必要ありません。API方式サービスは、カスタマイズされたビジネスシーンの要求がある場合、API方式で私たちのベースサービスにアクセスし、自社製品によってユーザーにサービス提供を行います。
──なるほど。OKオープンプラットフォームにはどんなメリットがありますか?
劉宸宇:最小のコストでデジタル通貨取引市場に参入し、配当を共有できることです。
現在のブロックチェーン業界は、公認の取引所少数による成功したブロックチェーンにのっとった形になっており、大手プラットフォームが基準です。
しかし、成長段階のブロックチェーン業界は、大手企業だけでなく起業家やスタートアップ企業にもチャンスがあるはず。
そのチャンスを潰さないために、OKプラットフォームを通じて最小コストでデジタル通貨取引に参入できるようにしたいのです。
──これまでのブロックチェーン業界では、自社の取引所を開設したり自社の技術チームを立ち上げたりするのが一般的でしたが、それではコストが高くなり参入しにくいですからね。
劉宸宇:ええ。開発期間も長くなります。私たちは取引所のシステムをSaaS化方式で標準化することで、たった数分で開設できるようにしました。対象ユーザーは、デジタル通貨取引業界で一定の能力を持つ企業ユーザーです。
──取引所の運営も行っているのですか?
劉宸宇:いいえ、私たちが提供するサービスは全面的な技術サポートと取引所の安心・安全な動作保証であり、取引所を代わりに運営することはありません。
ただ、運営のサポートなら行っています。運営に詳しく、取引所をうまく回せる提携パートナーに多く加入してもらい、高品質の取引所を作ることを目指しています。
強者の他社支援によりイノベーションが生まれる
劉宸宇:OKプラットフォームは、優秀な提携パートナーを何社も誕生させました。99EXだけでなく、CoinAllやFloat SVも私たちのプラットフォームで成長した取引所です。
──99EX、CoinAll、Float SVはいずれも優秀な取引所ですが、対象ユーザーや市場ニーズ、ポジションはそれぞれ異なっています。提携パートナーを選ぶ基準はありますか?
劉宸宇:基本的には運営の意志と能力の二点から資質を判断して提携します。
また、取引所が持つニーズやユーザーが異なっているからこそ支援する意味があります。
OKExは世界最大級の規模を誇り、高い知名度と多くのユーザーを有しているので「なぜわざわざ他の取引所を支援するのか」と疑問視されることもあるのですが、異なるニーズとユーザーを持つ取引所をサポートすることで、対象とする市場や発掘できるプロジェクトの幅を広げられます。
──支援することで新しい方法やプロジェクトが生まれ、イノベーションにつながるかもしれないということですね。反対に、99EXはOKオープンプラットフォームが提供するどんな技術と能力を使って成長したのでしょうか?
劉宸宇:OKExがデジタル資産取引領域で長年にわたり蓄積したマッチシステム、カウンターシステム、コールド・ホット ウォレットシステム、ファンズクリアシステム、グローバル多言語サービス能力、グローバルカスタマーアイデンティティ、アンチマネーロンダリングシステム、先進的なAPIなどの知見を生かして成長しました。
OKExは、OTC取引や各取引所の清算、決算のサポートも行っています。
──OKExのソリューションを開放してシステムを共有しているとのことですが、具体的にはどんなことが可能になるのでしょうか?
劉宸宇:全取引所からのオーダーを統一して共有できるようにし、投資家が取引しやすくなります。スタートしたばかりの小規模取引所は流動性を維持できずに苦戦しがちですが、アカウントシステム上でオーダーを共有するOKExであれば、これまでに積み重ねた1000万人規模のユーザーを各トレーダーに開放できます。
つまり、いちいち各取引所に登録しなくても、複数のオープン取引所ですぐに取引できるということです。
──仮想通貨、つまり現物取引をサポートでき、OTCの法定通貨取引もできるのですね。
劉宸宇:はい。OKオープンプラットフォームは共通の取引システムを利用できるので、各取引所でスムーズに取引できます。清算・決算する場合、まずは資金アカウントを分離し、それぞれの取引所で清算・決算を行い、収入・収支を保証し、それから自動取引をします。
OKExの最新Open APIを開放し、全取引所に大量の自動取引をするユーザーを誘導し、プラットフォームで自動取引をするという流れです。
オープンプラットフォームは新興取引所の起爆剤
劉宸宇:99EXはOKExの「オープンデジタルアセット取引・WinWinプログラム」を利用して最初に設立された取引所で、OKオープンプラットフォーム上で大きく成長しました。
今後はより多くの取引所の運営パートナーと提携し、多くのユーザーやマーケットにサービス提供できるようにしていきたいです。
──いまやブロックチェーン業界のイノベーションを推進している99EXは、「オープンデジタルアセット取引・WinWinプログラム」の代表的な成功事例ですね。
劉宸宇:また、一部の提携パートナーとのAPIマッチングの過程において、取引所システムの技術と能力をモジュール化してアウトプットできることに気づきました。
たとえば中国の市場動向ソフト「Coin Bull」にアクセスすると、相場を閲覧した後に直接OKEx APIを呼び出してオーダー・取引ができます。
──今後は、ユーザーのスムーズな取引を推進していく予定ですか。
劉宸宇:もちろん注力しますが、業界全体がまだ成長の初期段階にあるので、取引所の技術サービスと体験を最大化することを最重要視しています。
OKオープンプラットフォームを通じて、もっと多くの取引所に成長してほしいですね。これからブロックチェーン業界で成長したいと考えている日本企業のサポートもしたいです。
99EXのように優秀な取引所がOKオープンプラットフォームで誕生することを期待しています。
(後編へ続く)
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ライター/萩原かおり 編集/YOSCA 撮影/倉持涼