独特な目をしたキャラクターが注目を浴び、壁面や店頭ディスプレイなど様々な場で作品を発表し続けるアーティストColliu。
モデルとしても活動する彼女は、独自の生き方、作風を貫いている。
アート系プロジェクトチーム〈ArtHub.jp〉代表の野呂 翔悟氏が、Colliuの制作スタイルと作風、そして評価の関係性について訊ねる。
ー制作を始める際、どのようにテーマを設定していますか?
一番大きなベースとなるのは媒体や空間がどのようなものか、です。
Webなのか、空間なのか、平面なのか。または、お店なのか街頭なのか。そういうことを頭に置きながら、ベースに一番合う制作方法を考えていきます。
ー外部環境に合わせて作るということですね。
外部環境は、完全に100%自我だけで作るっていうことはあまりないですよね。
その環境が創作にどう生かされるのか、というのは作品を作る際の動機として常に重要視してます。
ー環境を考慮しながら作る感覚を大事にしている。
そうですね。絵そのものだけでコンセプトを考えることはありません。与えられた条件も含めて最大限に魅力的で、おもしろい作品を作るという感覚です。
そのときにキャラクターがいるととても便利なんです。どんなものを作っても、あのキャラクターがいれば、これはColliuの作品だとわかりますから。
ー前編の冒頭におっしゃっていた「自分の能力をお金にする」視点について聞かせてください。それは評価=お金になるという考え方なのでしょうか?
そうですね。それがすべてだとは思いませんが、わかりやすい形で自分の評価が数値になったのがお金だと思っています。
自分が作っていいと思ったものを他人もいいと思ってほしいし、その結果がお金になる。誰もいいと思わなかったら、自分の中でも評価は下がるし、報酬には繋がらない。誰か一人だけでもいいと言わないと、制作したものにGOが出ません。
100人中100人は無理だとしても、一人はいいと言ってくれている人がいる、とわかる目安として報酬が存在していると考えています。
ーブロックチェーンを活用すれば、「いいね」がお金になる未来もあるかもしれません。そうした未来について、どう感じますか?
私自体は新しく何かを開発することは向いていないので、ブロックチェーンが広まってきたときに初めて、自分がどう使うか考えると思います。
それまでは、自分ができることをやってるのではないでしょうか。まさに、外部環境に対して、どう対応できるかっていうところですね。
ブロックチェーンが浸透した環境の中で、何ができるか。
ーブロックチェーンによって、何か新しい外部環境が生まれるのでは、という期待はありますか?
ブロックチェーンが浸透すれば、新しい物流が生まれるだろうと思っています。
例えばSNSが普及して、海外からも気軽に問い合わせがきたり、コラボの依頼がきたりして、いろんなアーティストに影響を与えていますよね。
周囲でも、Instagramの影響で作品の販売方法や制作スタイルが変わった人はいます。
ブロックチェーンによって作品の物流がどう変わっていくのかについては興味深いですね。
ー活動の幅が広いですが、今後はどのような作品を残していきたいと考えていますか?
空間的に作用できるものは、物としてとても強いと思っているので、そうした創作は続けていきたいですね。
いくらテクノロジーが進化しても、人間は物理的な3次元の環境からは逃れられませんから。ダビデ像は、いまだに誰が見てもすごいと思う作品です。
そうした物理的な強さがあるものを作り続けていきたい。あとは、空間そのものにも興味がありますね。
ー空間ですか。
空間の力は強いなって、教会や寺院に行くと改めて思うんです。空間は、あるコンセプトの中に人を包み込めるので、与える影響がとても強い。
教会や寺院は人に対して、宗教のコンセプトをわかってもらうための宗教施設であり、その(目的と結果の)究極にシンプルな形に心惹かれます。
工芸品も空間の中でどう配置されるかによって、すごみは変わってきますよね。同じ価値のあるものでも、家の蔵にあるのと、美術館で荘厳な雰囲気の中で飾られているでは、感じ方がまったく違う。
空間でどう演出するかによって作品の見え方は変わってくるので、どんなにいいものを作ってもそれを演出する空間が悪ければ、魅力はなくなる気がするんですね。
技術が進歩している今だからこそ、特に感じていることです。
ー立体物や空間などColliuさんが感覚的にいいと思うものを軸に、創作したものが価値になる。それは、ブロックチェーン以降の時代でも不変かもしれませんね。
自分はそう信じています。だから、これからも自分がいいと思うものを軸に、活動していきたいと思っています。