台湾美女が営む一風変わったカフェ&バー「BitHub」が話題だ。
コンセプトは仮想通貨。
仮想通貨やブロックチェーンメディアにちなんだ名前のカクテルメニューが用意されており、お酒を楽しみながらブロックチェーン知識に触れられるカジュアルな社交場として人気を集めている。
経営者のRaisy Chen氏は、見まごうことなき台湾美女。ICO上場コンサルなどで働き、ブロックチェーン事業のアドバイザーとしても活躍した経験から「もっとブロックチェーンを広めたい」と考えてBitHubを立ち上げた。
今回、AIre VOICE編集長の大坂氏がRaisy Chen氏と対談し、一般人もブロックチェーンなどの専門技術に興味を持てるサービス作りのコツや、最新技術を体験できるシステム導入について伺った。
お酒が仮想通貨を知るきっかけに
大坂:なぜ仮想通貨がコンセプトのバー「BitHub」を作ろうと思ったのですか?
Raisy Chen:もともとICO上場コンサルなどで働き、ブロックチェーン業界でアドバイザーとして活動した経験から、「もっと気軽に仮想通貨やブロックチェーンについて話せる場を作りたい」と思って作りました。
台北のローカル企業同士がつながるハブになりつつあり、まだ仮想通貨やブロックチェーンを知らない人が興味を持つきっかけも提供しています。
お酒を交えた楽しい場にすることで、仮想通貨やブロックチェーンに対する悪いイメージも取り払いたいですね。
大坂:アドバイザーというと、具体的にはどんなお仕事をなさっていましたか。
Raisy Chen:エンジニアを雇い、ブロックチェーンに関するアドバイザー会社を経営していました。たとえば、企業にICOとSTOに関する知識を教えたり、企業のバックステージをブロックチェーンにつなげるお手伝いをしたりといったことです。
大坂:なるほど。日本にはそういったアドバイザー会社がないので、日本より進んでいるなと感じます。BitHubには仮想通貨にちなんだ名前のカクテルがあるんですよね。
Raisy Chen:10種類あり、それぞれコインやサービスの特徴からイメージした味や口当たりのカクテルに仕上げています。「ブロックチェーン」という名前のショットも提供していますよ。
ICOとSTOなどセットで考案したカクテルもあります。
ウェイターがコインの意味について説明するので、詳しくない人でもブロックチェーン知識に触れられるようにしました。メニューの文章は私が考え、英語訳もつけています。
大坂:BitHubの反響はいかがですか。
Raisy Chen:オープンして約8か月経ち、客数はだんだん増えています。
隣がホテルなので、仮想通貨とは関係なく足を運んでくださる観光客やビジネスパーソンも多く、日本人の方もよくいらっしゃいますよ。
大坂:台湾の取引所の方など、ブロックチェーンに詳しい人も来ますか?
Raisy Chen:ええ。地下のイベントスペースでは、毎週月曜日に勉強会を開いています。
バーだけでなく、定期的なイベントも開催することでブロックチェーン業界を盛り上げたいと考えています。
大坂:内装にもこだわってらっしゃいますね。
Raisy Chen:仮想通貨の時価がわかるモニターや、マイニングを体験できる「マイニングプール」、さまざまな暗号にちなんだ絵画などが並んでいます。
会議や食事ができるVIPスペースや共同作業スペースもあり、ブロックチェーン書籍やネット環境も完備して、ビジネスにも取り組みやすい場にしました。
今は仮想通貨市場の景気がいいとは言えないので、ビットコインやブロックチェーンに関連したバーやイベントを通じて業界を盛り上げたいと考えています。
最新技術を体験できる支払いシステムを導入
大坂:BitHubでは、仮想通貨で会計できるんですね。
Raisy Chen:ええ、POSシステムを備えたデバイス「PundiX POS」を設置しているので、BTC、ETH、NPXS、BNBといった仮想通貨で支払えます。
手順はクイックペイやApple Payのように、レジのPOS端末に設置されたスキャン部分にQRコードをかざすだけ。画面で金額を確認して決済処理を行うと、レシートが出てきます。
大坂:POSシステムはスマートホンやタブレットで決済しますから、アプリやクラウドを利用して一元管理できるのも便利ですよね。「PundiX POS」専用のウォレットがあるということですか?
Raisy Chen:会社のバックステージにコインが届き、決済時の現金がそのまま振り込まれる仕組みなので、ビットコインの価値が上がっても下がっても影響されません。
お会計が100ドルだとしたら、ビットコインが暴落してもちゃんと100ドル入ってくるということです。
ただ、飲食業の運営としてはビットコインで月間報告書を書けないので、会計上は現金に換算して記録しければいけないという問題はあります。
大坂:「PundiX POS」はお店に置くだけで利用できるのでしょうか。
Raisy Chen:バックステージにつなげればすぐに導入できます。
BitHubでは「PundiX POS」で支払いをする人は全体の5%点度ですが、台湾で開催された音楽フェスティバルのULTRA TAIWANでは「PundiX POS」のみでの支払いを実施していました。
専用POS端末は300米ドル、日本円だと3万円ちょっとで購入できるので、比較的気軽に導入できます。
大坂:専用POS端末を買ってバックステージにつなげるだけで、即時現金で振り込まれると。会計上の面倒なやり取りがないのが魅力ですね。仮想通貨での支払いを体験できるのもおもしろいです。
Raisy Chen:難しい知識から入ろうとするのではなく、楽しい体験からブロックチェーン業界に触れていただきたいです。
いきなり仮想通貨のうんちくを語られるよりも、おいしいお酒を飲んだほうが楽しいと思いますから。ぜひビットコインカクテルを味わいにいらしてください。
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ライター/萩原かおり 編集/YOSCA 撮影/倉持涼