「ギャルも電子工作する時代」をスローガンに掲げる、現役女子大生ギャルのまおと元ポールダンサーのきょうこによる電子工作ユニット・ギャル電。
ギャルによるギャルのためのテクノロジーを提案している彼女たちに、アート系プロジェクトチーム〈ArtHub.jp〉代表の野呂 翔悟氏が、活動のきっかけと目指す先について訊ねた。
ーそもそもギャル電ってなんですか?
ギャル電 きょうこ(以降、き):「ギャルによる、ギャルのためのテクノロジー」を提案するため、日々電子工作をしているユニットです。
ーギャル電を始めたきっかけを教えてください。
ギャル電 まお(以降、ま):電子工作を作ってブログを書く、というところから活動はスタートしていました。「インターン先で光るピアスを作ったよ」ってブログを書いたりとか。
き:もともとはポールダンスをやっていて、ポールダンスの衣装を電飾で光らせたいと思ったのがきっかけで電子工作に興味を持って。
その頃から「ファッションと電子工作」というテーマは自分の中にありましたね。
ま:大学生のとき、暇でハッカソンとかにめちゃめちゃ出てたんです。
大学ではファッションとテクノロジーの勉強はしてましたが、モノを作ったことはなかったので、ハッカソンに行けば何かできるようになるだろう、っていう軽いノリで参加して。
そこで私のことを面白がってくれた、某Web制作会社の方に声をかけてもらって、電子工作に関する記事を書くようになりました。
そのぐらいの時期に、知り合いを通じてきょうこと出会ったんです。
ーそれぞれで、ファッション、電子工作という共通項を持ちながら活動していた2人が偶然出会ったんですね。
き:不思議ですよね。まおと私は経歴が全然違うんですけど、そういう差を感じない。フィーリングがすごく合うんです。
2人とも根が割とネガティブで、外に出てるときはアッパーなんですけど、家ではナイーブ(笑)。
ーそんな出会いを経て、なぜ “ギャル”というコンセプトで活動を開始しようと思ったのでしょうか?
き:ギャルが電子工作をするって、めちゃめちゃフォトジェニックじゃん!っていうひらめきから(笑)。
私、ビジュアルの組み合わせからアイデアが降りてくるタイプなんですよ。「ギャルがすごくだるそうにくわえタバコでハンダ付けをしている」という光景を想像したときにすごくいい!と思ったんです。
「ヤンキー 電子工作」でググってみたらヒット0件だし「これで世界を変えてやる!」って、まおを誘いました。
ーギャル電が活動を始めた2016年頃にギャルは存在していたんですか?
き:いや、絶滅していましたね。オリジナルのギャルカルチャーがもうなくなってるから、これを勝手に復活させて全然違うものにすればめちゃくちゃ面白いし、むしろ(ギャル自体が)ブルーオーシャンじゃん!っていう考えがありました。
ま:私はその考えはなかったんですけど、もともとギャルのことは超好きで。
タイにいた頃から(※まおさんはタイ人とのハーフ。19歳で日本に移住)SNSでフランス人のギャルサークルみたいなのに入って、ギャル友達を作っていました。
日本でも「前略プロフ」(※2004年に開始したSNSの先駆けとも言われるサービス。複数の質問から好きな項目に答えることで、プロフィールのページを作成することができる)とかがあったんですけど、私はそこには入れなかった。
だからフランス人と日本のギャルになりたいという思いを共有しながらコスプレみたいな感じで、格好を真似しながら動画を撮りあったりしてました。
ーギャル文化やストリートとテクノロジーを結び付けたいというのは?
き:ギャルとかストリート、ヤンキーといった “伸びしろ” のあるジャンルは、もっとテクノロジーに出会っていったほうがいいと思っているからです。
不良が誰よりもモテるためにだとか、ギャルが盛れるためにというモチベーションから、全力でテクノロジーに取り組んだ世界を見てみたいんですよ。
ギャルやヤンキーの文化にIoTが入ることで、世界が大混乱するのを見たい。自分が世界の常識から外れてるから、もっと混乱してくれたら(生きやすい)なと(笑)。
社会におけるノイズとかバグ、エラーをもっと増やしたいんです。
ーこの先、ギャル電はどうなっていこうと思っていますか?
き:インターネットミームになろうって思っています。これはギャル電の活動を始めたときからの目標です。
ーミームとは?
き:例えば見えないピンクのユニコーンだったり、404 Not Foundの女性とか、 Nyan Catとか…インターネット上でジョークとして流行った画像、ネタみたいなものです。そのジャンルの中に「ギャルの電子工作」が入ってほしいなと。
ま:でも実際、ミームとしてはちょっとずつ広がってるんじゃないかって思っています。
全然知らない界隈の人が、光ってる仏像を見て「ギャル電や!」って表現していて。変に光っているものに対する形容詞のようになっているのかな、と感じました(笑)。
(後編へ続く)