ブロックチェーンの代わりにDAG(Directed Acyclic Graph)と呼ばれる技術を採用した仮想通貨「Obyte(Byteball)」。
Obyteは先日、ブロックチェーン技術を活用したプロダクトやサービスの提供を行うIFA社との業務提携を行った。
そこで、提携のために来日したObyte社のスティーブ・サフロノフ氏、ルーク・エンジェル氏、ベンジャミン・クレーゼ氏にインタビューを敢行。後編では、IFA社との提携を通して日本で実現したい目標や、技術面についても伺った。
Obyteは日本で何を目指すのか
――先日、IFA社との業務提携が決定しました。これを機に、日本で達成したい目標はありますか。
スティーブ:私たちは日本のことをよく知りませんでしたが、来日してIFA社の方々と話し、私たちのテクノロジーが日本でも必要とされる可能性を実感しました。IFA社の力を借りれば、私たちの技術はきっと日本に受け入れられると期待しています。
(写真:ルーク・エンジェル氏)
ルーク:プラットフォームである私たちは、すべてのすばらしいプロジェクトをプロトコルとしてサポートする使命があります。
DAGをベースとしたプロトコルを使えば、すでに世の中で評価されているどのプロジェクトにも負けないものがつくれる。
私たちは、課題の解決に取り組む人々に新たな手段を与えたいと考えているんです。
Obyteが多くの人々に広まってたくさんのプロジェクトが生み出されるたびに、Obyte自体も進化していくでしょう。
――今後は広告にも力を入れていきたいと考えておられるそうですね。
スティーブ:はい。これまではプロダクトの改善や価値の向上に重きを置いており、プロモーションとしての広告に注力したことはありませんでした。
現在はプロジェクトが成熟し、リブランディングも緩やかに進み、チームも成長してきています。これからもプロダクトそのものを第一とする考えは変わりませんが、このタイミングで質の高い技術に裏打ちされているObyteという新しい仮想通貨を知ってもらって知名度を高め、導入してもらえるよう力を入れる必要があると感じました。
日本はその中心とするにふさわしい場所だと考えています。
(写真:左からスティーブ・サフロノフ氏、IFA取締役桂城、IFA CRO阿部、ルーク・エンジェル氏、ベンジャミン・クレーゼ氏)
――ありがとうございます。
今後、ほかのチェーンとの互換性は
――先ほどプロジェクトが成熟しているとのお話がありましたが、ほかのチェーンとの互換性についてはいかがですか。
ルーク:これから数年間は、互換性が間違いなく重要なテーマになります。
問題は、私たちのチェーンとほかのブロックチェーンの間でどのようにデータを行き来させるか。現在は外部の取引所を利用することなくビットコインをGbyteに両替できるアプリケーションを一つ持っています。
それを踏まえれば、ほかのチェーンとの互換性を持つアプリケーションの開発も可能でしょう。
実際にどのようなアプリケーションを開発するかはマーケットのニーズによりますが、それが何であれ、リソースさえあれば解決策は必ず見出せるでしょう。
――同じく技術面での質問になりますが、ObyteはOをopenessから取るなどオープンであることを大切にしていますよね。
その一方で、Blackbyteと呼ばれる匿名性の高い通貨も扱っています。それにはどのような意図があるのでしょうか。
スティーブ:Blackbyteにおける取引の匿名性は個人にも評価されていますが、もっとも可能性があるのは企業ビジネスでの活用です。
当たり前ですが、ビジネス上の情報はすべて開示できないため、一部の情報は公衆の目に触れないようにすることが必要不可欠です。
ルーク:分散型台帳の基本は、匿名性とユーザー自身がデータをコントロールできること。
もちろん、ユーザーが自ら情報を開示するのは自由ですが、テクノロジーを利用する際に個人情報をすべて譲渡するのではなく、ユーザー自身が意志を持って判断できるようにするべきだと考えています。それはビジネスにおいてもまったく同じです。
ベンジャミン:つまり、Blackbyteは公と私のバランスを保つことを目的としたオプションとして活用できるということです。
2019年、目指すはインフラ化
――最後に、2019年のObyteの目標をお聞かせいただけますか。
スティーブ:リブランディングを完了させたいです。
新たなネーミングについては考え方も含めてコミュニティに受け入れられていると感じるため、次はそこにメッセージを入れ込みたいですね。
今後はもっと多くの人々とコミュニケートする必要がありますし、Obyteの背景についてもコミュニケートしていく必要があると考えています。そのほか、教育面やマーケティングにも取り組まなければなりません。
ビジネスにおける事例も、Obyteの技術が見せかけではなく実際に役立つものであることを証明するために必要です。
先ほども言いましたが、Obyteには処理スピードの速さや低コストなどの利点があります。経済に貢献できるポテンシャルを持っているのです。
ルーク:スティーブの言うとおり、最後のピースとなるのは間違いありません。
Obyteは私たちの技術を使って新たなビジネスを成功させた好事例です。私たちの技術を喜んで使ってくれる顧客を増やしたいですね。
一部の人はアプリケーションに分散型台帳技術が使われていることなど知らず、ただ便利な機能だと感じるだけかもしれませんが、それが理想です。
私たちは、インターネットのようなインフラの一つになりたい。そして、その上にアプリケーションやビジネスをつくり上げてほしいのです。
次なるAmazonや次なるFacebookの基盤となれたら、2019年最大の成功と言えるでしょうね。
――貴重なお話をありがとうございました。
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ライター/三ツ井香菜
カメラマン/重松善樹