情報信託機能「情報銀行」の認定開始!経済産業省による指針の内容とは?

2019.06.22 [土]

情報信託機能「情報銀行」の認定開始!経済産業省による指針の内容とは?

日本における情報信託機能に関する政策動向は?

経済産業省は、2018年6月に「情報信託機能の認定に係る指針ver1.0」を公表しました。

日本においても、情報信託機能いわゆる「情報銀行」を中心に、健全にデータを流通させる仕組みを作ろうとしています。

 

日本の情報信託機能に関する検討会等の開催状況

日本政府において、情報信託機能に関する議論が始まったのは、2016年6月に閣議決定された「日本再興戦略2016-第4次産業革命に向けて-」内の提言だとされています。

同年9月には、内閣官房高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)の「データ流通環境整備検討会」において、情報信託機能に関しての内容が継続的に議題に上っています。

2017年11月より、経済産業省は宍戸常寿、東京大学大学院教授を主査とし、「情報信託機能の認定スキームの在り方に関する検討会」を開催し、官民合同で「情報信託機能の認定に係る指針ver1.0(案)」を取りまとめました。この検討会は、主に情報信託機能の認定スキーム(計画)がどうあるべきかということが主題に置かれました。

2017年11月20日に指針案のプレスリリースがなされ、総務省と経済産業省は、諸外国でのデータポータビリティ(個人データを本人の意思で他のサービスに移転できるようにすること)の検討状況等を調査し、日本の主要産業分野(医療、金融、電力等)でのデータポータビリティをどのように推進すべきかについての検討会を全4回開催しています。

指針案に対し、2018年5月には17件の意見が寄せられ、その内容も盛り込んで決定されたのが、2018年6月に公表された「情報信託機能の認定に係る指針ver1.0」です。そして、同年10月に、総務省と一般社団法人日本IT団体連盟が合同で主催し、情報信託機能の認定に関しての説明会が開催されました。

「情報信託機能の認定に係る指針ver1.0」で示されていること

情報信託機能事業「情報銀行」を希望する事業者に対しては、「一般社団法人 日本IT団体連盟」に設置した情報銀行推進委員会によって認定を行うとのことで、これはいわゆる「認可」とは違い、任意で提供されます。

認定基準には、事業者の適格性、情報セキュリティ、ガバナンス体制、事業内容などについて、指針となる内容が詳細に記載されており、「情報銀行」のモデルとしてのあるべき姿が示されているのです。

特に、情報信託機能が情報提供者となる個人に対して、保証すべきである2点が明記してあります。

1つ目は、個人情報を第三者に提供するのにあたっては、個人の主体的な意思によるものでなくてはならないこと。

2つ目は、提供先の第三者により個人が損害を被った場合であっても、情報信託機能が個人に対し、損害賠償責任を負う必要があることです。

 

情報信託機能が認知されていくのはまだこれから

情報信託機能のサービスは、現在のところ希望する事業者の認定受付が始まったばかりです。情報提供者の不安を解消するとともに、提供先の第三者にはどのようなメリットがあるのかなど、周知すべきことはたくさんあります。

情報銀行に事業内容に対してより一層の理解が得られるよう、官民一体となったさらなる努力を期待したいところです。

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