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「情報信託制度」の創設に伴い情報銀行が誕生
総務省が個人の情報を活用する「情報信託制度」という仕組みを作ろうとしており、それに伴い情報を専門的に扱う「情報銀行」というものが生まれようとしています。
「情報銀行」といっても、実際にどのようなデータを扱い、どう活用して利益を得るものなのかよくわからないという方もいるでしょう。
情報銀行の仕組みや個人と企業がどう関係するのかといったことや情報銀行に参入する企業について説明します。
情報銀行とは個人のデータを保管・管理し企業に販売する銀行のこと
情報銀行とは、一言でいえばたくさんの人たちの個人情報を保管・管理し企業に販売する役割を担っている銀行のことを言います。
具体的には、購買履歴やサイトの訪問履歴といった日常生活に関することから、疾病の治療歴といった踏み入ったことまで含みます。
情報銀行に信託するデータは自分で選ぶことができ、個人が特定されないように運用されているため、企業に個人の情報全てが行くことはありません。
さらに、情報銀行はどんな企業でもなれるということはなく、情報セキュリティに対しての実績や技術力がある、信用力があり倒産リスクなどが極めて低いといった条件がなければなることができません。
情報銀行に個人のデータを預けることのメリットは?
情報銀行にデータを預けることのメリットは、情報銀行から運用益を得ることができるという点です。
情報銀行からデータを購入した企業は、情報銀行に報酬を支払います。個人には、情報銀行から運用益が還元され、現金やポイント・ギフトカード・サービス利用料の割引等を得ることができます。
もし、情報の分析やサービスのリコメンドを希望していた場合、最適に個別化されたサービスを利用することができる可能性があります。
提供企業に個人のデータを提供することで、提供企業は健康診断の情報を元にした食事レシピのアドバイスができるといったように、より個別化したサービスの提案を行うことが可能になるのです。
情報銀行に参入するのは銀行といった大手企業が中心
現在、情報銀行に参入すると表明しているのは銀行をはじめとした大企業が中心で、中には実証実験をすでに始めている企業もあります。
例えば三菱UFJ信託銀行は2019年に情報銀行を開始する予定です。まずは自社や提携企業の社員で実証実験を行うとされています。
個人の報酬として、1企業当たり500~1000円程度を受け取ることができる可能性があるとすでに報道されました。
官民で取り組まれることも公表されており、KDDIやシャープ、セコム、コニカミノルタといった民間企業と経済産業省が予防医療の分野で連携することが発表されました。
まだ実証実験の段階ですが、将来的には情報銀行に預けられ、病気の予防などに役立てられる予定です。
情報銀行や信託するデータは自分で選択できることが魅力!
情報を提供する個人にとって、利用する情報銀行を自由に選ぶことができるばかりではなく、活用したいデータを選択することができるというのは大きなメリットです。
自分が企業に渡しても良いと思うデータを選択することで、運用益を得るばかりではなく企業から個別のサービス提案を受けることもできるようになるのです。