仮想通貨ローンとは、仮想通貨を担保にできるローンサービスのことです。
この記事では、市場が拡大している仮想通貨ローンの概要とメリット、ヨーロッパを拠点に仮想通貨ローンサービスを行っている「Nexo」について解説します。
※注 現在は「仮想通貨」を「暗号資産」に呼称変更されておりますが、本記事では一般に定着・浸透している名称の仮想通貨で記載しております。
仮想通貨ローンが実現へ
仮想通貨ローンとは、仮想通貨を担保に入れることで、現金や別の仮想通貨を借りられるサービスです。
仮想通貨保有者にとっては、仮想通貨を売却せずに現金を手に入れられるメリットがあります。また貸し出す方にとっても、仮想通貨を担保にとりますので損失が出るリスクを防げます。
仮想通貨ローンは個人の信用力調査を行わないところが多いため、基本的に誰でも借りられることが特徴。仮想通貨ローンを行う企業は2018年ごろから増加しており、今後も市場が拡大すると見込まれています。
仮想通貨ローンのメリット
メリット1. すぐに融資を受けられる
担保となる仮想通貨は仮想通貨交換所でリアルタイムのレートがわかるため、貸し出す側が評価額をいちいち計算する必要がなく、ほとんどの場合自動的に融資額が決定され、24時間以内に融資を受けられます。
一方一般的な担保である「土地や不動産」の場合、貸し出す側が不動産価値の鑑定を行うため、融資を受けられるまでに時間がかかります。
メリット2. 信用力が低い人でも借りられる
通常ローンを組む場合は、確実に返済してくれる人物かどうかを審査するため、借主のさまざまな情報を調査します。
例えば年収や勤務先、勤続年数、クレジットカードや携帯電話などの支払いが滞ったことがあるかどうかなどです。
過去にクレジットカードの支払いが滞ったことがある場合などは、信用力が低いとみなされ、多くの場合融資を受けられません。
返済が滞った場合は担保で預けた仮想通貨を回収されてしまいますが、どんな方でも融資を受けられるのは大きなメリットだと言えるでしょう。
メリット3. 金利が安い
仮想通貨ローンを行っている企業は、返済にさまざまな条件があるものの、10%未満で金利を設定しているところが多いです。この金利は不動産を担保に入れる「担保付きローン」と同等で、低金利と言えます。
不動産を持っていない方はそもそも担保付きローンを組めませんので、お金を借りたい場合は銀行系の「カードローン」かクレジットカードの「キャッシングサービス」を利用することが多いでしょう。
ただ銀行系のカードローンの金利は年1.8%~14.6%、キャッシングサービスは約15~18%と高金利です。
一般的なローンと比べると返済する金額を安く抑えられますので、仮想通貨ローンは利用者にとってメリットが大きいです。
メリット4. 担保となる仮想通貨を手に入れやすい
担保となる仮想通貨を手に入れるハードルが低いため、いつでも誰でも融資を受けられる点です。
一方、融資を受けるときに保証として差し出す不動産は、取得するために必要となる金額が大きいので、誰もがかんたんに手に入れられるものではありません。
さらに仮想通貨取引所は365日24時間取引が可能ですので、思い立ったらいつでも仮想通貨を手に入れられます。
仮想通貨ローンサービス「Nexo」
母体はフィンテック企業Credissimo
Nexoは、2007年に設立し、ヨーロッパで事業を行っているフィンテック企業「Credissimo」が母体となっています。
2018年までに2億7千万ドル(約268億円)の貸付を行っており、融資申し込み件数は140万件となっています。10年以上の融資経験を活かし、2018年に仮想通貨ローンサービス「Nexo」を開始しました。
仮想通貨ローンサービス概要
・サポート対象国
Nexoのサポート対象国は200カ国以上となっており、ほとんど国を対象としています。
・金利
2019年3月現在の金利は、次のとおりです。
・通常16%
・NEXOトークンを利用した場合は8%
Nexoが発行している独自トークンNEXO(NEXO)を、担保に入れる通貨として利用したり、返済に使用したりすると、金利が割り引かれる仕組みになっています。
・入金できる仮想通貨
担保として入金できる通貨は、次の7種類です。
・ビットコイン (BTC)
・イーサリアム (ETH)
・リップル (XRP)
・バイナンスコイン (BNB)
・NEXOトークン (NEXO)
・TrueUSD (TUSD)
・Tether (USDT)
このうちNEXOトークンを担保として使うと、金利が50%割引されます。
・貸し出せる法定通貨
貸し出せる法定通貨は、米ドルやユーロ、日本円など45種類以上あります。
・貸し出せる限度額
貸し出せる限度額は、担保に入れる暗号資産の50%です。例えば担保に入れた暗号資産の評価額が100万円だった場合、最大50万円の融資を受けられます。
ただし担保に入れた暗号資産は、リアルタイムに評価されています。つまり担保に入れた暗号資産の価値があがると、貸し出せる限度額も引き上がります。
反対に、担保の価値が急激に下がったとき、具体的には「担保」対「貸出限度額」の比率が140%以下になると、追加で保証金を差し入れなくてはなりません。
・返済に使える法定通貨と仮想通貨
返済する際に利用できる仮想通貨と法定通貨は次の10種類です。
<仮想通貨>
・ビットコイン (BTC)
・イーサリアム (ETH)
・リップル (XRP)
・NEXOトークン (NEXO)
・USDステーブルコイン
<法定通貨>
・米ドル (USD)
・ユーロ (EUR)
・英ポンド (GBP)
・豪ドル (AUD)
・NZドル (NZD)
返済にNEXOトークンを利用する場合は、金利が50%に割引されます。なお担保にNEXOトークンを利用したときの割引とは併用できないため、金利の割引率は最大50%となります。
・Nexoを利用する方法
NEXOで融資を受ける手順は、次の5ステップです。
- アカウント登録し、KYC認証を済ませます
- Nexoウォレットへ暗号資産を入金します
- 信用調査なしに、瞬時に融資が可能となります
- NEXOカードに使える現金をチャージするか、銀行振込を行います
- 最低返済額はありませんので、いつでも返済できます
・NEXOトークンで配当を貰える
NEXOが発行するNEXOトークンは、融資に利用することで金利が割り引かれますが、他にもメリットがあります。それは、配当を受けられることです。
具体的にいうと、NEXOトークン保有者は、NEXOサービスの純利益の30%分をトークン保有数に応じてもらえます。
・セキュリティ
NEXOは、仮想通貨交換所並みの高いセキュリティとなっています。
担保に入れた仮想通貨は、インターネットから切り離されたコールドウォレットへ保管されています。
さらに、通貨を外へ出すときには複数人の署名が必要となる「マルチシグネチャ」を搭載しており、内外の不正アクセスに対処しています。
またロンドンに拠点をおく、世界的な保険会社であるロイズと提携し、最大1億ドルの保険金をかけています。そのため、万が一ハッキングなどで保管している仮想通貨が流出してしまっても、企業が倒産するリスクは少なく、安心して融資を受けられます。
まとめ
仮想通貨ローンは、融資の新たな市場を切り開き、今後ますます拡大していくと期待されています。
利用者にとっては、だれもが簡単に、即座に融資を受けられるメリットがあります。
日本における仮想通貨ローンは、金融庁の規制があるので、すぐに発展していくのは難しいとされていますが、世界規模では今後広がる可能性が高いとされています。