デジタルアセットに新たに追加された7分類

2019.04.08 [月]

デジタルアセットに新たに追加された7分類

暗号通貨の内容が豊富になり、様々な用途に活用が検討されることで分類が可能になってきました。

BTCのように決済機能を有し、価値保存通貨として機能するコインや、ETHのようにプラットフォームとして活用され、契約やDAppsへの利用が進められているコインもあります。

本記事ではデジタルアセットについての解説や、暗号通貨の登場による新しいデジタルアセットの分類について紹介します。

 

デジタルアセットを理解しよう

電子上で使用権を持つ資産

アセット(asset)とは資産を意味します。つまりデジタルアセットとは電子上の資産のことをいいます。

暗号通貨が登場する前にもデジタルアセットという言葉は存在しており、「使用権を持つバイナリソースに変換した文章またはメディアのすべてのアイテム」とWikipediaで紹介されています。

映像制作やシステム開発、ゲーム開発の現場では画像や音源などの素材を指してデジタルアセットとよばれます。それそれの素材ごとに分別でき、文章をデジタルアセット、画像や音楽などをアートアセットとよびます。

また一般的にパソコンを使って作成した書類や、CDから取り込んだ音源や映像など、有用と判断されるものはすべてデジタルアセットとして扱われます。

ブロックチェーンとデジタルアセット

暗号通貨に関するデジタルアセットは、暗号通貨を実現する技術のブロックチェーンがあることで成り立ちます。

ブロックチェーンでは、取引データであるトランザクションをマイナーが承認することで、不正がきかないブロックとして過去のブロックにつながります。不正がきかないので安全性と信頼性が保証され、デジタル上でも代えがたい資産ということができます。

またブロックチェーン技術によって、新しいデジタルアセットの形が生まれたことで、デジタルアセットの種類も豊富になっています。

 

新たに追加されたデジタルアセット7分類

純暗号通貨

BTCなど純粋に価値保存や取引手段として機能している暗号通貨を「純暗号通貨」といいます。

時価総額は708億ドル(7兆8千億円)を記録しており、また一日の取引量も88億ドル(9877億円)と、取引量時価総額ともに暗号通貨の中で最も多い取引量を記録していることから、基軸暗号通貨として機能しています。

世界の企業では、JPモルガンやバンクオブアメリカなどの起業が、暗号通貨が自身のビジネスに与える影響を危惧している一方で、ゴールドマンサックスといった企業が暗号通貨の取引を開始する発表をおこなっています。

プラットフォームトークン

純暗号通貨のような本来の価値保存や取引手段から発展し、独自のトークン発行やアプリケーション開発に利用できて、さらに各種の契約情報をブロックチェーン上に乗せることが可能な暗号通貨を「プラットフォームトークン」といいます。

プラットフォームトークンにはETHやXEMなどがあります。

プラットフォームトークンでは、ブロックチェーン技術を利用することで簡単に独自トークンの発行が可能になり、Dappsと呼ばれる分散型アプリケーション開発に利用できます。

またブロックチェーン上に様々な契約情報を載せることを可能にした、スマートコントラクトの機能もあります。

スマートコントラクトはブロックチェーン上で契約の自動化と簡略化を実現し、さらにブロックチェーンの性質により不正改変を防ぎます。

ブロックチェーン技術を活用したプラットフォームトークンの登場により、今後のインターネットの基盤として活躍することが期待されています。

ユーティリティトークン

ユーティリティとは利便性や有用性を表す言葉で、利便性のトークンという意味です。

便利なサービスを使用するために支払われるトークンになります。ユーティリティトークンの中には「Usage Token」という利用分の使用量料支払うトークンと、「ワークトークン」という利用サービスに価値ある働きをおこなった人に対して、報酬を払う仕組みを持つトークンがあります。

「Usage Token」の具体例として以下があります。

1.STORJ
Google Driveのようなクラウドストレージサービスになります。ブロックチェーン技術を使ってストレージを容量を確保でき、STORJでは使用分に応じた使用料を支払います。

2.OmiseGO
OmiseGOはETHのブロックチェーンをプラットフォームとして発行された、決済をおこなうトークンです。タイのバンコクで利用されており、従来のクレジットカードによる手数料を大幅に抑えることを実現しています。

「ワークトークン」の具体例ととして以下があります。

1.Everipedia
Wikipediaのような百科事典サービスを、ブロックチェーン技術で実現しています。

Wikipediaでは誰でも言葉の内容を編集できますが、間違った情報が書き込まれることもあります。

それに対してEveripediaは、ブロックチェーンの活用で「正当性が担保されたWikipedia」と呼べます。編集者はIQトークンを手数料として編集をおこない、さらに正しい情報を記載した人には手数料からさらに上乗せした報酬が支払われます。

2.0x
分散型暗号化交換を実現するサービスです。通常では取引所を利用することはハッキングによる資産の流出がある一方で、分散型取引所を利用することで手数料やハッキングによる被害を防ぐことができ、効率よく取引をおこなえます。

0xでは取引所で取引という有益な行動をとることで報酬が手に入ります。

証券トークン

デジタル株式や債券、その他の証券を証券トークンといい、金融会社を仲介せずに利用者のパソコン同士で通信をおこなうP2Pで取引されます。

分散型取引所では株式取引が仲介者がいない状態でも即時におこなえるようになっています。カナダ証券取引所は証券トークンを活用した市場の実現を試みており、証券トークンによってカナダの金融市場が大きな発展をすることが期待されています。

ナチュラル資産トークン

原油やガソリン、金や温室効果ガスなどの現物資産を、P2Pでの取引を実現しているトークンです。

英国の王立造幣局はシカゴのマーカンタイル取引所との提携で、王立造幣局に保管される金塊価値を裏付たトークンの発行に取り組んでいました。

このようにエネルギーや金などの貴金属、温室効果ガスと紐づけられた、ナチュラル資産トークンの開発がおこなわれています。

コレクション系トークン

DApps内で育成したキャラや、トレーディングカード系のデータなど、DAppsで獲得できるトークンを指します。

通常のゲームでは育てたキャラやものは、実際にお金に換えることはできません。

しかしDAppsではブロックチェーン上に情報が記載されることで、価値を持つデータとして記録されます。実際にETHと交換することもできるため、今後も交換できる分散型取引所が増えるかもしれません。

有名なDAppsとしては「MyCryptoHeros」や「CryptoKitties」などがあります。

仮想法定通貨

国や中央銀行によって管理される暗号通貨です。国が正しい管理をおこなうことで各種金融危機にも対応でき、価値を保つことになりますが、国への信頼が前提となります。

2017年南アメリカのベネズエラで、埋蔵資源の石油によって価値が裏付けられた暗号通貨トークンである「Petro」が発表されました。

しかし石油価格は掘る油田によって変わっており、ベネズエラによって発表された紐づけする油田は稼働していないようです。またベネズエラが発表する石油埋蔵量も偽装しているとささやかれています。

「Petro」のように、国によっては信用が難しい暗号通貨も存在します。

 

まとめ

暗号通貨の登場は金融の形を大きく変える出来事になっています。初めての暗号通貨のBTCに始まり、ETHや多くの暗号通貨が発行されることで、暗号通貨の形や果たす役割も多様になり、細分化されるようになりました。

インターネット登場期からの用語であったデジタルアセットも画像や動画、文章などに限られていたころから意味が広がり、暗号通貨の役割が多様になることで広く分類できるようになっています。

特にETHのようなプラットフォーム系の暗号通貨によって、スマートコントラクトによる自動契約の推進やトークンの発行、DAppsの開発基盤になるなど既存のシステムになり替わるような仕組みも登場しており、今後の暗号通貨市場からどのように世界に広まっていくのか注目です。

また国が既存の法定通貨に代わり新しい暗号通貨を発行することも、今後の流れになると考えられます。

国の経済を盛り上げる新しいきっかけになりそうですが、べネズエラの「Petro」のように国が信頼に足りにくい例もあるので、動向を監視することも必要でしょう。

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