日本でも普及しはじめた「キャッシュレス」のメリットに迫る

2019.03.24 [日]

日本でも普及しはじめた「キャッシュレス」のメリットに迫る

日本政府は、2025年までにキャッシュレス決済の割合を40%まで引き上げる目標を立てています。

日本は現金で買い物をする人が多い国ですが、キャッシュレス決済にはどのような特徴やメリットがあるのでしょうか。

キャッシュレス決済のメリット・デメリットに加え、基本情報や海外と比べた普及状況についても併せてご紹介します。

  

キャッシュレスを理解しよう

まずはキャッシュレスの定義や代金の支払いタイミング、ニーズが増えている「コード読み取り型」のキャッシュレス決済について解説します。

キャッシュレスとは何か

キャッシュレス(Cashless)とは、その名の通り、現金を使わずに支払いを行うことを指します。

クレジットカードや電子マネー、スマートフォンでの決済などを利用し、電子決済を行うことがキャッシュレスにあたります。

さらに家賃や水道・ガス・電気などの代金を口座から引き落しで支払っている場合、これもキャッシュレスの一部ということになります。

支払うタイミングから分けるキャッシュレスの3つの方法

キャッシュレスでの決済は支払いのタイミングから前払い、即時払い、後払いの3種類に分けることができます。

前払いに代表されるのは、事前に入金しておき、支払いを行うプリペイドカードです。Suicaなどの電子マネーも同じように前払いで利用します。

支払いと同時に口座から代金が引き落とされるデビットカードは、キャッシュレスの中でも即時払いに分類されます。デビットカードは銀行口座に入っている金額が利用限度額となり、審査も必要ありません。

そして、クレジットカードは後払いに分類されます。財布に現金が入っていないときでも、モノやサービスが購入できるので便利ですが、使いすぎに注意が必要です。

コード読み取り型のキャッシュレス決済

今、注目が集まっているのが「コード読み取り型のキャッシュレス決済」です。

消費者がスマートフォンでコードを提示し、それを店舗が専用端末で読み取ることで支払いが完了します。

2019年現在、日本でもコード読み取り型の決済を導入している店舗が増えてきました。

コンビニエンスストア各社でも導入されたため利用しやすくなった印象があります。店舗側は専用の端末が他の決済方法に比べて比較的安価に導入できる点も魅力です。

 

日本はキャッシュレスが遅れている?

日本では現金での支払いが主流です。しかし海外に目を向けると現金払いが主流ではない国が増加しています。

諸外国のキャッシュレス決済事情

日本でも、キャッシュレス決済が少しずつ広がりを見せている印象を受けますが、実は他の国と比べると、まだまだ普及が遅れています。

2018年4月に発表された経済産業省のデータによると、諸外国のキャッシュレス決済の利用率は、アメリカ45%、イギリス55%、中国60%、韓国ではなんと89%の決済がキャッシュレスで行われています。

これらに比べて日本は18%となっています。日本のキャッシュレス決済は、諸外国と比べて大幅な遅れをとっている現状が浮き彫りになっています。

なぜ日本では普及が遅れているのか

どうして日本は「キャッシュレス後進国」と呼ばれてしまっているのでしょうか。日本でのキャッシュレス決済の普及を阻んでいる一つの理由が、日本人が現金払いへのこだわりが強いという点が挙げられます。

日本は他の国と比べ、とても治安が良いと言われています。治安が良いこと自体は喜ばしいことですが、治安が良いゆえに現金を持ち歩くことのリスクが低く、また偽札が流通することが少ないため、多くの日本人は現金払いのこだわりが強いのです。

さらに、街中のいたるところにATMが設置され、現金を引き出すための設備も整っており、現金決済の不便がありません。

こうして、現金払いへのこだわりが強い文化が育っています。

それに比べ、海外では治安や設備の問題で安心して現金を持ち歩くことができない点や、あまり現金で支払いをする文化がない国が多い点から、日本と比べてキャッシュレスの浸透がスムーズに進んだと言われています。

 

キャッシュレスのメリット・デメリット

ここからは、キャッシュレス決済のメリットとデメリットをご紹介します。

 <メリット>

・お金の動きを見える化できる
キャッシュレス決済を利用することで、インターネット上で自分が何にいくら使ったかの履歴を確認できるようになります。

現金で決済した場合には、自身で記録をしなければならないために抜け漏れが発生することがありますが、家計簿アプリとクレジットカードやスマートフォン決済サービスを連動させれば、自動的に抜け漏れなく使用履歴を記録・管理できるのでとても便利です

・手間がかからない
ネットショッピングを利用する人が増えていますが、料金の支払い方法で銀行振込や代引きを選択すると、手数料や手間がかかってしまいます。

しかしこの際、クレジットカードで決済をする方法を選択すれば、手間も手数料もかかりません。

さらに店舗での買い物の際にも、クレジットカードやスマートフォンでの決済を利用することで、手間がかからない上にミスも起こりにくくなります。

現金決済の場合、お金を数えたりお釣りを渡したりするプロセスでミスが発生してしまうことがありますが、キャッシュレス決済の場合は機械にカードを通すだけで、手間がかからないほか、人為的なミスを減らすことにもつながります。

・支払われる側も管理が容易になりコスト削減が期待できる
店舗側からしても、現金管理よりもキャッシュレス決済で履歴が残った方がお金の計算に間違いがなく、管理がしやすくなるというメリットがあります。

管理に手間がかからないということは、コストの削減にも繋がります。

また、年金や税金などをクレジットカードで支払うことができますが、クレジットカード支払いだと履歴が残るため、納付を受ける国や市区町村もより管理がしやすくなります。

・海外からの観光客の消費を促すことにつながる
先ほどご紹介しましたが、海外ではキャッシュレス化が進んだ国が増えてきています。

これらの国々の人が日本へ旅行に来た際、キャッシュレス決済の導入が進んでいなければ、買い物をしたくてもできない状況になりかねません。

逆にキャッシュレスが十分に浸透していれば、訪日観光客の消費を促すことにつながります。

日本国内では、東京都中心部でも、スマートフォンでの決済だけではなく、クレジットカード決済ができない店舗も存在しています。

2020年の東京オリンピックで日本を訪れる外国人が増えると期待されている中、海外からの観光客の消費を取りこぼさないため、政府はキャッシュレスの導入に力を入れています。

・犯罪を防ぐことができる
キャッシュレス決済により、透明性が高い中でお金の動きが管理できるようになれば、犯罪を減らすことが期待できます。

お金の動きが不透明で匿名性が高いものとなっている場合、脱税やマネーロンダリングなどを引き起こしやすい状況となってしまいます。

履歴の残る電子決済が普及すれば、これらの犯罪を防ぐことに繋がるでしょう。

さらに現金を持ち歩かないことで、強盗や窃盗が起こる可能性も下がります。実際にキャッシュレスが普及している諸外国では、犯罪件数が減少しているというデータが出ています。

<デメリット>

・停電や通信障害に対するリスク
キャッシュレス決済の弱点として、災害時の停電や通信障害などに弱いという点が挙げられます。

二次元コードの決済アプリは、通信障害が起きてしまうと利用ができなくなってしまいますし、多くのキャッシュレス決済は、電気がない場所では決済を行うことができません。

キャッシュレス決済サービスを展開する企業は、これらの課題を認識していますが、まだ対策を検討している段階です。

・必要以上にお金を使ってしまうことも
人によっては、キャッシュレス決済にしたことで必要以上にお金を使ってしまうことに注意が必要です。

現金管理の時にはいくら使ったか把握ができていた人でも、クレジットカードを使うと、お金の流れが手元で見えないために気づかぬ間に使い込んでしまってしまった、ということもあります。

複数のキャッシュレス決済を併用している場合には、自分がどれくらいのお金を使っているか把握しにくくなるので、さらに注意が必要です。

お金の管理が不安な人は、家計簿アプリと連動して、随時お金の動きを確認できるようにしておくと良いでしょう。

・導入に際して初期費用がかかる
企業や店舗がキャッシュレス決済をこれから導入する場合、専用端末を準備するために初期費用がかかってしまいます。

その場合、クレジットカードにはクレジットカードの決済端末、スマートフォンでの二次元コード決済であればコードでの決済端末と、複数の端末を導入していく必要があります。

初期費用がかかってしまうのは、特に個人商店や中小企業にとっては大きな負担となることもあるでしょう。

 

キャッシュレスの経済効果

キャッシュレスの浸透で、世の中には様々な恩恵があります。取引記録がビッグデータ化されることで新しいビジネスや価値が生まれていくこともその一つで、日本に大きな経済効果をもたらすことが期待されています。

キャッシュレス決済は、そのすべての取引記録をデータとして残すことができます。

決済取引の記録はビッグデータとして大きな価値を生み、ここから新しいビジネスも生まれていくでしょう。

すでにキャッシュレスが浸透している海外の例では、決済取引のビッグデータが企業のマーケティングに生かされていることはもちろんのこと、政府がそのデータを行政に活かすことを進めようとしている国もあります。

このように、キャッシュレス決済はそのビッグデータの活用によって、大きな経済効果、そして行政での活用も期待値が高いのです。

 

まとめ

日本でも、徐々に広がりを見せてきているキャッシュレス。

オリンピックに向けて、政府主導で積極的に普及のための対策がとられているため、今後はさらに浸透していくことが期待されています。

停電時に弱いなどのデメリットもありますが、キャッシュレスは個人にとってもメリットも多いため、適切に取り入れていきたいですね。

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