金融サービスにIT技術を活用する「フィンテック」。
1つの言葉だけでは収まらないほど多岐にわたるサービスに導入されています。
現在、フィンテックのビジネス領域としては、11分野あるといわれています。それぞれの分野で代表的な企業はどのようなビジネスを行なっているのでしょうか。
今回はフィンテック業界を牽引する11分野の代表企業についてまとめていきます。
1.世界的に熱気を帯びるフィンテック革命とは
フィンテックは2010年代ごろからアメリカを中心に成長を遂げてきたビジネスでもあります。
きっかけは、2008年に発生した「リーマンショック」による世界的な不況でした。
このような状況の中で、金融機関は融資を控えるような動きをみせていたのですが、その中で、これをチャンスと捉えていたIT企業が、テクノロジーを活用した金融サービスを次々と生み出していきました。
フィンテックによるビジネスや生活の変化はかなり大規模なものとなっています。
例えば、最近では、現金を持ち歩かない「キャッシュレス」による商品やサービスの購入が活発に行われています。これもフィンテックによる新しいサービスの1つでもあります。
また、AIといった高度な分析技術を駆使することにより、投資や資産運用などに関しても顧客のハードルを下げ、より多くの人が金融サービスを受けることが可能になっています。
フィンテックはその他にも、融資サービスや企業向けサービス、クラウドファンディングなどさまざまなビジネスを展開しており、まさに「フィンテック革命」といっても過言ではないでしょう。
ビジネスパーソンとしても、生活者としても目を離すことができないキーワードとなっている「フィンテック」。積極的に投資が行われている分野でもあり、状況は目まぐるしく変わっていくことが予想されます。
2.フィンテック分野の11分野とは?
「フィンテック」が金融サービスにおけるIT活用であることをご説明しましたが、次に、具体的にどのようなビジネスが、フィンテック業界で成り立っているのでしょうか。
実は、フィンテックと呼ばれるビジネス分野は多岐に渡っており、言葉の意味だけを理解するのでは不十分でもあります。そのため、ここでは、フィンテックにおける代表的な11の分野を紹介していきます。
1 スマートペイメント
「スマートペイメント」は、商品やサービスの購入の際に、現金を必要としない決済手段を指します。
最近では、「キャッシュレス」という言葉がメジャーになってきていますが、キャッシュレスを可能とするサービスが、スマートペイメントに該当します。
具体的には、PASUMOやSUICAなどの電子マネーやLINEペイやPayPayなどのQRコード決済があります。
少し前までは、利用できる店舗が少なかったですが、コンビニなどの身近な店舗でも使えるようになっているので、現金を持ち歩く必要がなくなりますし、スマホアプリなどから利用明細を確認することで、出費の管理が簡単になります。
2 仮想通貨
2018年にビットコインの高騰などで、世間を賑わせた仮想通貨ですが、仮想通貨は国家の保証を持たない通貨を指します。円やドルといった法定通貨とは、異なる新しい通貨です。
ブロックチェーンという技術を活用することで、中央銀行のような管理機関がなくても、ひとつひとつ入出金などの取引の記録をとることが可能となっています。
本来は国を跨いだ決済や送金などで注目されたサービスではありましたが、最近では投資目的で仮想通貨を持つ方が多くなっています。
3 投資・資産運用・ロボアドバイザー
株式投資などの資産運用において、AIによる分析で金融商品などを選ぶサービスなどがこれに含まれます。
AI技術は、日ごとに進歩しているので、近い将来、AIに任せるだけで資産運用や投資ができるようになり、投資障壁が下がることが見込まれています。
4 クラウドファンディング
「クラウドファンディング」は、ユーザーが立ち上げたプロジェクトへの資金提供をネットサービス上で行うことを指します。
クラウドファンディングには、大きく分けで「寄付」と「購入」の2つのタイプがあり、寄付型は支援に対してリターンがないもの、購入型は支援することで何らかの商品やサービスを受けられます。
クラウドファンディングの登場によって、個人でもプロジェクトを立ち上げて不特定多数から資金を集めることが可能になりました。
5 ソーシャルレンディング
「ソーシャルレンディング」は、貸付型のクラウドファンディングです。
「お金を借りたい人」と「お金を貸したい人」を結びつける融資仲介サービスを指します。
資金提供に対して、元本や利息が返ってきます。投資家個人が融資先を探して選ぶことができ、本来、銀行などが行う融資審査を投資家個人に委ねるので、資金調達の新しい形として注目されています。
6 融資(レンディング)
レンディングサービスは、インターネット上による融資サービスを指します。
オンライン上で融資を受けることができるので、より手続きなどが簡易化されています。
中には、物を担保に融資を受けるようなサービスも存在しています。
7 法人向けサポート
こちらは法人向けに活用されるサービス全般を指します。
福利厚生、経理、事務手続きなどをネットサービス、クラウドなどを活用して行うサービスで、先ほどご紹介した、クラウド会計サービスなどがこれにあたります。
8 PFM
「PFM」は「個人財務管理(Personal Finance Management)」を指します。
具体的には、家計簿アプリなどに代表されるサービスです。
個人の収入・支出管理が簡単に行えるようになっています。
9 送金・割り勘
paymoやKyashなどの個人間での送金や飲み会での割り勘などをネットサービスやアプリなどがこれにあたります。
割り勘などの際に、1円単位できっちり分けにくいなどのデメリットがありましたが、キャッシュレスにすることで1円単位できっちり分けることが可能になります。
10 保険
保険業界もフィンテックによるサービスが続々と登場しています。
膨大な量のビックデータを駆使することによって、年齢や年収などの条件によって、その人に合った保険選びが自動で可能となります。
11 金融情報
ビジネスパーソンにとって、金融情報は効率よく収集し、分析を行うべきものでもあります。
フィンテックによって、膨大な量の情報を分析し、短時間で質の高い情報を取得できるサービスが生まれています。
3.11分野の代表的なサービスについて
フィンテックには、このような11分野があります。ここでは、この11分野の中で、代表的なサービスを挙げていきます。使ったことがあるような身近なサービスもあります。
1 スマートペイメント
→LINE Pay、ORIGAMI、ROYAL GATE、BASEなど
2 仮想通貨
→bit Flyer、coincheck、GMOコイン、DMMBitcoinなど
3 投資・資産運用・ロボアドバイザー
→FOLIO、One Tap BUY、finbee、あすかぶ!、お金のデザインなど
4 クラウドファンディング
→CAMPFIRE、Makuake、VALU、さとふるなど
5 ソーシャルレンディング
→SBI Social Lending、AQUSH、Crowd Bankなど
6 融資(レンディング)
→CASH、LENDY、楽天など
7 法人向けサポート
→enigma、MISOCA、MFクラウド、Paidなど
8 PFM
→Money Forward、Dr.Wallet、zaimなど
9 送金・割り勘
→paymo、kyash、よろペイなど
10 保険
→SmartDrive、justinCase
11 金融情報
→SPEEDA、NUUなど
フィンテックには、個人向けサービスだけではなく、事業者向け、企業向けなど多岐に渡ります。IT技術が発展すればするほど、多様なサービスが生まれてくることが予想されるので、今後も注目です。
4.fintech(フィンテック)の未来について
フィンテックによってさまざまなサービスが生まれており、生活やビジネスが大きく変化しています。
今後成長を続ける分野でもあるフィンテック。これからはどのような変化が予想されるのでしょうか。
既存の金融市場は国内だけでも50兆円と言われており、フィンテックが参入できる市場規模は膨大です。
既存企業のシェアをフィンテック企業が奪っていくことも、既存企業がフィンテックに参入する動きも活発化し、競争が激しくなっていくでしょう。
大手IT企業が銀行などの既存金融企業を飲み込んでいく可能性も考えられますし、生活レベルであれば、個人がもっと気軽にビジネスを展開することができる未来も予想されます。
まとめ
フィンテックは今後間違いなく拡大していくビジネス領域です。
お金の使い方が大きく変化していくことで、私たちの生活やビジネスも様変わりしていくことでしょう。ビジネスパーソンであれば知っておかないと恥をかくキーワードでもあるので、よく理解しておきましょう。