有向非巡回グラフ(DAG)型仮想通貨を支えるP2Pネットワークとは

2019.06.03 [月]

有向非巡回グラフ(DAG)型仮想通貨を支えるP2Pネットワークとは

新時代の仮想通貨に求められるのはユーザー間の高速データ通信

有向非巡回グラフ(DAG)を用いた仮想通貨のことを、DAG型暗号通貨といいます。

DAG型暗号通貨は高速に取引できることがメリットのひとつであり、それを支える技術がP2Pネットワークです。ユーザー間の高速データ通信を叶えるP2Pネットワークについて、詳しく解説します。

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※注 現在は「仮想通貨」を「暗号資産」に呼称変更されておりますが、本記事では一般に定着・浸透している名称の仮想通貨で記載しております。
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有向非巡回グラフ(DAG)とは

有向非巡回グラフ(DAG)は、グラフ理論またはそのグラフで示される理論技術です。

有向非巡回グラフを用いる仮想通貨は、DAG型暗号通貨と呼ばれます。取引データは、他の複数の取引データと前から後ろへの一方方向でのみ繋がり、出発地点に戻って来ない図で示されます。

 

DAG型暗号通貨を支える技術のひとつがP2Pネットワーク

DAG型暗号通貨の成り立ちは、大きく3つの技術に支えられています。

取引データを管理するための有向非巡回グラフ、仮想通貨の改ざんを防ぐ暗号技術、そして管理者を挟まずに取引を行うユーザー同士で通信を行えるP2Pネットワークです。

P2Pネットワークとはどういったもの?

P2Pとは「Peer-to-Peer」の略です。不特定多数のユーザーが扱うネットワーク端末(パソコンやスマートフォン)が、サーバーを介さずに直接データファイルを共有できる通信ネットワークをP2Pネットワークと呼びます。

P2Pネットワークでは、データファイルを個々のネットワーク端末に分散させて管理するので、端末にかかる負荷を軽減させることが可能です。

対して従来からあるクライアント・サーバー型のネットワークでは、サーバー端末にデータファイルをまとめて保管しておき、ユーザー(クライアント)はサーバーを介してデータファイルを共有。

データファイルの所在が明確で、紛失リスクが少なく済むメリットがありますが、ユーザーからのアクセスがネットワークに集中すると、サーバーダウンしてデータファイルにアクセスできなくなるデメリットがあります。

 

NANO(旧:RaiBlocks)でもP2Pネットワークが活用されている

DAG型暗号通貨のひとつ、NANOの有向非巡回グラフ構造は、取引を行うユーザーがそれぞれにブロックチェーン(取引データが一定量入ったブロックが繋がっている構造)を持っています。

このチェーンはアカウントチェーンと呼ばれます。

ユーザーAからユーザーBに送金取引を行う際は、Aのアカウントチェーンに出金した取引データを、Bのアカウントチェーンに入金した取引データをそれぞれ作成。

取引データ作成のためのユーザー間のやり取りは、P2Pネットワークで行われます。

個々のネットワーク端末が直接やり取りできるP2Pネットワークと、アカウントチェーンの仕組みによって、取引時のデータ移動をシンプルに行うことができ、取引が膨大な量であっても高速で処理が完了するのが大きなメリットです。

 

P2Pネットワークの利活用で私たちの生活はもっと便利になる

P2Pネットワークは、ユーザー同士が高速で直接やり取りをするために欠かせない通信技術です。

P2Pネットワークの広がりにより、DAG型暗号通貨の他にも、LINEやSkypeなどのネットワークサービスなど多数の活用例が登場しています。

私たちの生活にもより一層、P2Pネットワークによる便利なサービスは増えていくことでしょう。

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