2020.06.05 [金]

暗号資産の半減期とは!?価格高騰の可能性が有り、保有者は注目必須

暗号資産には、半減期と呼ばれるイベントが存在します。半減期は、暗号資産のマイニングの報酬が半分になる時期を意味していますが、単なる節目ではなく、暗号資産の価格上昇要因となると言われています。

2020年内の半減期は、ビットコインが5月に迎えるほか、アルトコインでは、モナコインが7月、ジーキャッシュが10月に予定しています。いずれも目が離せませんが、なぜ半減期が起こり、価格高騰の要素となるのでしょうか。マイニングの仕組みを踏まえながら、その理由を解説していきましょう。

マイニング(採掘)は、暗号資産の取引を検証、承認する作業

マイニングを理解する前に、ブロックチェーンの仕組みを理解しておく必要があります。

ブロックチェーンとは、分散型ネットワークを構成する複数のコンピュータに、暗号技術を組み合わせ、取引情報などのデータを同期して記録する分散型台帳技術です。ビットコインをはじめとした大部分の暗号資産の管理・運用に適用されています。

ブロックチェーンの具体的な仕組みを言うと、トランザクションと呼ばれる取引データをブロックというものに生成してまとめ、鎖のように各ブロックを繋げていきます。さらに、取引データは、ホストコンピュータなど中央集権的な組織に保存されるのではなく、ユーザー同士がつながったネットワーク上に保存されます。リスクを分散化させる仕組みを構築することで、データの改ざんや不正を防いでいるのです。

ブロックチェーンを構成する行程のうち、ブロックが生成される際に、暗号資産の取引の正当性を検証して承認する手続きを、マイニング(採掘)と呼びます。マイニングは、関数化された取引データから特別な値(ナンス)を見つけ出す作業で、膨大な計算処理が伴う過酷なものですが、処理を完了させた暁に成功報酬として暗号資産が貰えるというシステムになっています。

 

半減期とはなにか。なぜ存在し、価格上昇の要因となるのか。

文頭でも述べたように、半減期は、マイニング報酬として貰える暗号資産が半分に減らされるタイミングのことを指しています。1回ごとのマイニング報酬は決まっていますが、半減期が訪れると、この報酬額が半分になります。もともと、暗号資産には「ブロックが何回発生したらマイニング報酬が半減する」というプログラムが、組み込まれており、半減期は言わば、暗号資産の維持に必須な宿命みたいなものでしょう。

ただ、マイニング報酬が減れば、マイナーが離れ、ブロックチェーンのセキュリティが弱くなる恐れもあります。なぜ半減期がシステム上、存在するのでしょうか。

主な理由は、マイニング報酬を半分に減らすことで、通貨の希少性を高めるためです。発行上限が設定されている暗号資産では、通貨の発行量が増えれば、通貨当たりの希少性、つまり価値が下がります。中央銀行が法定通貨の発行量をコントロールしてインフレを防いでいるのと同様に、暗号資産も半減期などで通貨の発行量を制御する必要があるのです。

詰まるところ、暗号資産の供給量が減ることは、暗号資産の付加価値が向上することとイコールであるため、半減期は価格上昇の1つのきっかけになり得るのです。

過去2回あった半減期ではいずれも大幅な価格上昇が見られたビットコイン

ビットコインは、1ブロックが生成される度にマイニング報酬が付与されます。ブロック生成時間は、約10分に1回ですので、1日当たりの報酬機会は約144回です。

なお、半減期は21万ブロックに1回と設定されており、10分に1回のブロック生成時間に当てはめると、3〜4年ごとに訪れることが決まっています。

2009年に誕生したビットコインのマイニング報酬は当初、50BTCでした。現在価格に換算すると、マイニングが成功するごとに約5300万円が手に入る計算になります。また、報酬機会は1日144回ですので、ビットコインは当時、1日当たり7200BTCが新たに生み出されていました。

1回目の半減期は2012年11月、生成されたブロック数が初めて21万ブロックに到達したタイミングに訪れました。この時の半減期で、マイニング報酬は50BTCから25BTCに減少。米経済メディア・ブルームバーグによると、ビットコインの価格は半減期前後の1年間で8,200%上昇しています。

2回目の半減期は2016年6月で、マイニング報酬は25BTCから12.5BTCになりました。この時の値上がりも著しく、半減期発生から18ヶ月で2,200%を超える価格上昇を記録しています。短期的な乱高下はありましたが、12、16年いずれの半減期も中長期的な価格上昇に繋がっています。

次の半減期では、ビットコインの価格が上昇するのか。

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2020年5月を予定し、マイニング報酬が12.5BTCから6.25BTCに低下する3度目のビットコイン半減期。過去の値動きを見ると、価格上昇を確約するものになるのでしょうか。この問いに対する答えは有識者によって分かれているものの、概ね「イエス」と言えるでしょう。肯定派の意見では、半減期を見据えた価格上昇は半減期の120日前からボラティリティが高まり、上昇傾向が見られ始めると言います。

一方で、過去2回の半減期と比べ、金融当局の規制が厳しくなっており、今回の半減期は大幅な価格上昇が抑制されるとの見方があります。また、2019年8月に半減期があったライトコインのように、市場が半減期自体を織り込み済みで、投資家の買い圧力がかからず、想定以上の値上がりがない可能性も示唆されています。ただでさえ、暗号資産はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)と価格の相関が不明確な点も多く、「無闇な期待は禁物」と念頭に置いておくべきでしょう。

 

半減期は影響が大きく、早期の準備が必要

半減期は、価格の上下という狭い尺度に止まらず、広範な影響を及ぼすとも言われています。例えば、マイニング投資。半減期でマイニング報酬よりも、マイニングにかかる電力コストなどが上回る事態になれば、投資回収ができず、大きな損失が生まれることになります。現在、代行会社を通じ、マイニング投資を実行している個人投資家は、どのタイミングで損切りるするか、注意を払う必要があります。

暗号資産やマイニングの投資家であれ、マイナーであれ、半減期が大きな影響を及ぼすのは必至。早期の準備を行い、捻出可能な利益は出し、無駄な不利益の発生を防ぎましょう。

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