2020.04.17 [金]

価格が安定する ステーブルトークンとは?今更聞けない基礎知識編

 

価格のアップダウンが激しい暗号資産ですが、この価格差が大きな魅力のひとつでもあります。
ただ、リスクが高く、より安定した値動きの「ステーブルトークン」にも注目が集まっています。ステーブルトークンがどのような特徴を持ったトークンなのか、解説します。

ステーブルトークンとはどのようなトークンなのか

ステーブルトークンとは、価格が安定しており、価格変動が小さい・変動が起こりにくいトークン(通貨)のことをいいます。
ステーブル(Stable)とは「安定」という意味があることからもわかるように、ビットコインなど値幅(ボラティリティ)の大きな暗号資産とは異なる特徴を持っています。

また、ステーブルトークンと似た意味で使われる言葉として「ペッグ通貨」があります。
ペッグとは「釘で固定する」という意味。ステーブルトークンは価格が安定したトークンですが、ペッグは何かの資産価値に裏付けされていることをあらわしています。
たとえば、ドルペッグ通貨であればドルの価値に裏付けされている通貨であり、ドルの価格に連動します。

 

ステーブルトークンを使うメリットとは

ボラティリティ(値幅)の大きな暗号資産は、投資を行う人にとってハイリスク・ハイリターン。
他の投資商品に比べると価格変動が大きいため、リスクが高くても大きな利益を得られることが魅力でもあります。ただ、これではリスクを嫌う投資家がいつまでも参入できない状態に。
そこで、ステーブルトークンの出番です。価格が安定したステーブルトークンは、暗号資産の特性を持ちつつも大きなボラティリティがないため、投資家が積極的に売買できます。

また、暗号資産という特性を活かした国境のない取引が可能。
銀行を介した送金は時間がかかってしまいますが、ステーブルトークン(暗号資産)であればスマホひとつで送金完了、手数料も安く、速いという特徴があります。

ステーブルトークンの種類「法定通貨担保型」

ステーブルトークンには大きく分けて3つの種類がありますが、特によく知られているのが、円やドルなど法定通貨の価値を裏付けしてあるタイプ。

たとえば、法定通貨担保型のステーブルトークンはこのようなものがあります。

  • Tether(USDT)(テザー)
  • USD Coin(USDC)(ユーエスディーコイン)
  • Gemini Dollar(GUSD)(ジェミニダラー)
  • True USD(TUSD)(トゥルーユーエスディー)

どのステーブルトークンも広く利用されており、特にテザーはビットコインに大きく関わったドルペッグ通貨として知られています。
ドルなどの法定通貨を担保にすることで発行でき、一般的に「ステーブルトークン」と言われる際には法定通貨担保型のステーブルトークンを指します。

ステーブルトークンの種類「暗号資産担保型」

次は、暗号資産担保型のステーブルトークン。法定通貨担保型と同じように、特定の暗号資産の価格に連動する仕組みとなっています。
暗号資産の価格を担保にした暗号資産(トークン)と考えると少し混乱してしまうかもしれませんが、ブロックチェーン上で取引の記録をチェックできるメリットがあるため、透明性の高いステーブルトークンとして扱われます。
ただ、ステーブルトークン最大の特徴である「価格変動の少なさ」においては疑問を呈する声も。暗号資産を担保にしたこのタイプは基軸となる暗号資産の価格変動が大きく、ステーブルトークンのメリットとなる安定性が薄れてしまっているとも言えるでしょう。

ステーブルトークンの種類「無担保型」

特に裏付けされる資産がないため、担保が不要なタイプのステーブルトークンです。
市場に出回っているトークンの量を確認し、新たなトークンを発行する際にはスマートコントラクト(契約機能)によって価格が安定するように調整するという仕組み。
法定通貨も暗号資産も関係なく、ただ需要と供給のみに忠実なステーブルトークンと言えるでしょう。

 

ステーブルトークンが退避先になる理由

ステーブルトークンはビットコインの暴落時に「退避先」として利用されることもあります。
ビットコインを保有した状態で大きく下落すると損失が大きくなりますが、ステーブルトークンにしておけば価格変動が抑えられ、損失を最小限に食い止めることが可能です。
この場合、法定通貨担保型のステーブルトークンが退避先として当てはまります。

また、どこかの国で紛争が起こったり、批判的な政治が行われたりという場合。
瞬く間にそのニュースは広まり、その国の法定通貨の価値が下がってしまうおそれが。しかし、ビットコイン暴落の退避先と同様に、資産をステーブルトークンにしておくことで大きな損失が出るのを免れることができます。

 

生き残るのはどのステーブルトークンか

ステーブルトークンには法定通貨担保型、無担保型、暗号資産担保型という3つの種類があり、暗号資産取引時の退避先のほか、投資家への参入間口を広げたトークンとしても注目されています。

日本でも独自のステーブルトークンを作る動きが見え隠れしていることも知られており、今後ステーブルトークンに関する規制が発表されたあと、どのステーブルトークンが伸びを見せるか必見です。

 

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