仮想通貨(暗号通貨)とトークンの違い

2019.04.18 [木]

仮想通貨(暗号通貨)とトークンの違い

インターネット上にのみ流通する仮想通貨とトークンは同じと考える人が多いですが、2つは別物です。仮想通貨なら何となくわかる人でも、トークンとは何かあまり知らない人もいるのではないでしょうか。

仮想通貨やトークンの初心者向けに各々の定義やその仕組みを解説し、仮想通貨とトークンの違いを明らかにしていきます。

 

仮想通貨の仕組み

仮想通貨とはインターネット上で資産として利用できる通貨の意味。別の呼び名に「デジタル通貨」、「暗号通貨」があります。

最も人気なのはビットコインですが、ビットコイン=仮想通貨ではなく、ビットコイン自体も仮想通貨の一種にすぎません。昔からある現金や電子マネーとは全く異なります。

仮想通貨の仕組みは以下の3つです。

仮想通貨に中央管理者がいない

仮想通貨には、運営や管理を一手に引き受ける人や組織がいません。世界中のユーザー全員により運営や管理が行われています。ハッキングなどの不正もユーザーたちでセキュリティシステムを作りながら監視。

日本円などの法定通貨は、国が発行し、中央管理者として動向をチェックしています。 他の国に行ったらその国の法定通貨に換えるなどのルールも、各国により定められています。

しかし仮想通貨の単位はビットコインのBTC、イーサリアムのETHなど世界共通なので国に合わせて両替する必要がありません。それが仮想通貨のユーザー全員の同意で決めたルールです。

日本円などへの換金は可能

仮想通貨は日本円に換金可能です。換金は日本円からドル、1000円札から100円玉10枚などといった通常の両替とは違います。また電子マネーは入金キャンセルはあるものの、換金はできません。

仮想通貨の場合は、日本円や米ドルなどで仮想通貨を買ったり、売って現金に換えたりなどを自由にすることが可能です。しかし、場合により手数料がかかりますので気をつけてください。

発行数に上限あり

仮想通貨は発行数にキャパシティが設けられており、変動の可能性も低いです。ビットコインの場合は2100万BTCが上限。

日本円などの法定通貨なら中央機関が流通量を増減させ、貨幣価値のバランスを守りますが中央管理者のいない仮想通貨にはそうしたルールが存在しません。

また、発行上限に関しても、仮想通貨のシステムは法定通貨と比べ物にならないぐらい複雑なので、上限を引き上げるのは簡単ではありません。

 

トークンとは何なのか?

トークンはインターネット上で取引できる仮想通貨資産の一種です。

しかしその役割には仮想通貨と異なる部分もあります。

トークンは人気仮想通貨取引所「Zaif」や、そこから事業を引き継いだ「フィスコ仮想通貨取引所」で多く取り扱われたことなどで世間の一部に知られています。

トークンの仕組みを3つにわけてみていきましょう。

商品やサービスなどの対価で利用される

トークンは、商品やサービスの対価として使われます。これは株式やポイントカードに近い役割です。

特定のネットショップや飲食店での代金をトークンで払ったり、特定のサービスをトークン払いで受けたりできます。一定以上のトークンの保有量で会員優待を受けたり、割引が発生したりという特典が受けられるケースもあります。

誰でも発行できる

トークンは企業や個人構わず、誰でも簡単に発行できます。

代表的なパターンがICOです。発行者がここでトークンを売り出し、参加者が購入します。ICOは発行者側、参加者側ともに一切の資格や制限が設けられておらず、トークンの単価も100円を下回るほど安い場合もあり、誰でも簡単にトークンを手に入れられることからICOは人気となりました。

発行側のサービス範囲内でしか使えない

トークンを使えるのは発行した人や企業がサービス展開する範囲内だけです。そのため、グローバル展開していない企業が発行したトークンだと、企業の本拠地の国以外では役に立たない場合が多いです。

トークンを手に入れるなら、それが利用できる場所はどこか事前にチェックする必要があります。

 

仮想通貨とトークンの違い

仮想通貨とトークンの違いについてみていきましょう。

発行プロセスが異なる

仮想通貨とトークンは発行されるプロセスが異なります。

仮想通貨はマイニングと呼ばれる、仮想通貨の存在を膨大なデータ計算処理で本物と証明する作業を受け、発行を認められます。この作業を特殊な機械を使って行うのがマイナーです。

トークンは既存の仮想通貨のブロックチェーン技術をベースにして生まれます。技術を応用しているだけで、あくまでも仮想通貨から分裂したわけではありませんが、トークンは仮想通貨の子どものようなイメージ。ベースとなる技術が、誰でも容易にトークンを生み出せる点で仮想通貨と異なります。

用途が異なる

仮想通貨とトークンでは用途が異なります。仮想通貨は投資資産や代金決済など、さまざまな用途があります。しかし、トークンにあるような株式やポイントカードに相当するような特典はありません。

仮想通貨をいくら持っているからといって、株主のような優待を受けられるわけではありませんし、仮想通貨を見せて代金を割引してもらえるサービスも見当たりません。

発行上限が異なる

仮想通貨とトークンはともに民間人でも発行が可能ですが、発行上限が異なります。トークンは発行数に上限が設けられていないものが多く、仮想通貨は発行上限があるものがほとんどです。

ビットコインは最大で2100万BTCしか発行できず、限界を迎えた瞬間に発行が不可能になります。 トークンはこのルールが設けられていないため、発行者が状況に応じて総数を増やしたり減らしたりできます。

使える範囲が違う

仮想通貨はどの国に行っても単位が変わらず、両替なしで使えます。仮想通貨での決済さえ認められていれば、日本のレストランでも、海外のショッピングモールでも決済可能です。

しかしトークンは発行者が施行しているサービスの範囲内でしか使えません。トークンの主である人や会社と全く関係ないところに持って行っても使い道がありません。

 

仮想通貨・トークンの2つの種類

仮想通貨とトークンにはそれぞれ2種類が存在します。仮想通貨はユーティリティトークンとセキュリティトークンにわかれ、トークンはアセットタイプとカレンシータイプにわかれます。

それぞれの特徴について説明します。

セキュリティトークン

セキュリティトークンとは、 SEC (米国証券取引委員会) により有価証券と認定された仮想通貨を意味します。セキュリティ (Security) が英語で「証券」と訳されることから名前がつきました。

有価証券と認められたことにより、インターネットだけでなく、現実世界でも財産的価値のあるものとして扱われます。セキュリティトークンにはパソコンやスマートフォンを用いずして資産としてのやり取りができる可能性を持っています。

ユーティリティトークン

ユーティリティトークンとは、SECによりサービスの対価に利用できると認定された仮想通貨を意味します。ユーティリティ (Utility) が「有用性」を意味します。

商品や食事などの代金を現金に代わって決済できたり、保有していることでクラウドストレージにアクセスできたりします。

ただしセキュリティトークンとは違い、現実世界に財産的価値として存在はできず、やり取りは常にインターネットを介することになります。

アセットタイプ

アセットタイプとは、 ICO で発行されるトークンです。このとき、発行者により発行枚数などの条件を決定できます。発行者が中央管理者となってトークンの運営・管理を行っています。性質が株と似ており、アセット (Asset) は「資産」を意味します。

ICOは株式の未公開株に相当するため、アセットタイプのトークンは発行元となる会社やブランドの株を売買するようなものです。ICOを通じてアセットタイプのトークンが話題になれば活発に取引が行われ、価値も上昇します。

カレンシータイプ

カレンシータイプは仮想通貨と同じくマイニングにより発行されます。発行枚数に上限があること、中央管理者の不在などの特徴があります。カレンシー (Currency) は「通貨」を意味します。

トークンのプログラミングに基づいて供給量の増減も調整されます。ICOで売買することも可能ですが、アセットタイプのように人間の意志だけで発行枚数を決められません。

 

まとめ

仮想通貨とトークンはともにインターネットで流通した資産ですが、仮想通貨が主にマイニングという技術で発行されるのに対し、トークンは主に既存の仮想通貨のブロックチェーン技術の応用で発行されます。トークンは仮想通貨にとっての子どものような存在です。

ほかにも仮想通貨とトークンには、発行上限の有無、利用可能範囲が異なるなどの違いが見られます。

仮想通貨にはインターネットではない現実でも財産的価値を持った資産として存在できるセキュリティトークンとインターネットのみで財産として存在するユーティリティトークン、トークンには発行者が自由に発行枚数を決められるアセットタイプと、トークンのプログラムに従って発行枚数がコントロールされるカレンシータイプがあります。

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