2020.06.30 [火]

メガIT企業、マイクロソフト社が手掛けるブロックチェーン活用術

 

近年、様々な業界でブロックチェーンが活用されています。その中で、マイクロソフト社が提案するものは一風変わった特徴を持っています。世界ではこの技術を使ってさらなる発展を遂げようとしている企業も存在しており、今回はその実態に迫りたいと思います。

マイクロソフト社と従来のブロックチェーンの違いとは?

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現在、情報やデータの新たな管理方法として、ブロックチェーンというものが活用され始めています。少しブロックチェーンについて説明をすると、ブロックチェーンというものは、電子署名技術を使用して作った信頼のあるデータを、複数の個人や企業で複製したり、共有することで、データを改ざんせずに保管する方法のことです。この方法は、従来のデータ管理方法に比べてメリットが多いことから、世界の大企業がこの技術を使い独自のサービスを提供しようとしています。例えば、Facebookはリブラというブロックチェーン技術を使ったデジタル貨幣の導入を進めています。

そして、今回紹介するマイクロソフトのブロックチェーン技術を活用したサービスは、Microsoft Azureと呼ばれるものです。これは、皆さんが知っている暗号資産とは少し異なる種類のブロックチェーンを利用しています。

従来の暗号資産というものは、いわばだれでも参加できるパブリックブロックチェーンと呼ばれます。一方で、 Microsoft Azureは、特定の複数企業が参加するコンソーシアムブロックチェーンと呼ばれるものを利用しています。

このコンソーシアムブロックチェーンでは、その人の職歴情報、学歴情報など人材に関する様々なデータの証明情報をブロックチェーン内に記録し、ユーザーがデータの所有権とその内容について自分自身で証明情報を確認できるようです。つまり、マイクロソフト社が手掛けるブロックチェーンは、参加者が特定のものだけに限られるという点で従来のものとことなるのです。

 

一味違う、コンソーシアムブロックチェーンとはいったい?

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ここからは、マイクロソフト社のコンソーシアムブロックチェーンについて詳しく説明していきたいと思います。先ほど暗号資産はパブリックブロックチェーンという種類だと説明しましたが、ブロックチェーンというものは大きく3つの種類に分類されます。

1つ目は、暗号資産などで利用される誰もが参加可能なパブリックブロックチェーン。

2つ目が、1つの組織内でデータの保存をするときに使われるプライベートブロックチェーン。例えば、1つの会社内で共有したいデータがあった時に、このプライベートブロックチェーンを利用し、他の会社には見られないようにデータを共有して、会社の活動の効率をあげることが可能です。そして、3つ目がマイクロソフト社のコンソーシアムブロックチェーンです。これは、先ほども軽く説明しましたが、特定の複数企業の間でデータを共有するときに使用されます。そしてこの技術は産業面で大きな役割を果たすことが期待されています。

このコンソーシアムブロックチェーンには主に4つの使用方法があるといわれています。1つ目は、異なる企業間で行われるビジネスを管理するケース。2つ目は、複数の企業が1つのデータを処理するケース。3つ目は、取引証券所など、信頼できるひとつの情報源を中継するケース。4つ目が、手作業のデータ検証を自動化するケースです。

使用例をあげると、学歴を認定する教育機関、資格を認定する資格認定団体や免許団体、就職希望者を紹介する人材紹介企業、採用を行う企業がこのコンソーシアムブロックチェーンを利用して、就職のビジネスを行っていくといった例があげられます。

また、製品の製造業者から小売業者までがコンソーシアムブロックチェーンの中でデータを共有して製品の追跡を可能にして、ビジネスの効率化をはかることもできるのです。

 

スターバックスのMicrosoft Azure活用方法とは

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では、実際にマイクロソフト社のMicrosoft  Azureを利用してビジネスを行っている企業として、スターバックスコーヒーを紹介します。

世界的にも有名なスターバックスは、全世界に約30,000店舗を展開し、コーヒーを調達する農園の数は世界で38万ともいわれています。このように圧倒的な店舗数と農園を抱えながらも、99%の数字で倫理的にコーヒーを調達しています。これまでは、スターバックス内で農園から店に届くまでの工程を管理し倫理的な調達に取り組んできましたが、世間へより会社の安全性を示し、倫理的な事業を継続的にさせるため、リアルタイムでサプライチェーンの情報をお客様と共有していくことを発表しました。サプライチェーンというものは簡単に言うと、農園から店舗に届くまでの道のりです。

つまり、農家、流通業者、焙煎業者、スターバックスがコンソーシアムブロックチェーンによりデータを共有するということです。コーヒーのカップのコードを読み込むと、そのコーヒーで利用された豆が、カップに注がれるまでどういう経路をたどったかがわかるというわけです。

これにより、消費者へスターバックスコーヒーの倫理観を提示することが可能になり、また農家の方にとっても、自分の農場の豆がどこの店舗のコーヒーになったかを確認でき、モチベーションの向上にもつながると考えられているのです。

 

これからのビジネスとブロックチェーン

今回は、マイクロソフト社のMicrosoft Azureについて説明しました。
スターバックスをはじめとする、世界の企業が今この技術を利用し始めているようです。今後、スターバックスのように製造者から消費者までがビジネスに関わっていくことが多くなりそうです。

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