ブロックチェーンというと暗号資産をイメージする人が多いのではないでしょうか。
ブロックチェーンはそのセキュリティの高さから様々産業で応用することができます。
そんなブロックチェーンの活用事例を紹介していきます。
独自の暗号資産を発行し管理する
独自の暗号資産を発行することで、ネットワーク上で利用者同士の決済が可能になります。
地域や自治体、企業にとっても、コミュニティの活性化を図れたり、資金調達ができるというメリットがあります。オンラインゲーム内の独自通貨として利用されることもあります。
三菱UFJフィナンシャル・グループでの活用事例は、デジタル通貨「coin(コイン)(MUFGコイン)」の発行です。実際に実用化を目指しています。MUFGコインは利用者が預金口座の預金をコインに変換します。加盟店での買い物で使えるほか、利用者同士の送金にも使用できます。暗号資産のレートの変動が大きいというデメリットを考慮し、価格の変動を抑えるため、1コイン=1円に設定されます。
岡山県の西粟栗村での活用事例はNishi Awakur Coin(NAC)という独自通貨の発行です。西粟栗村は消滅可能性都市に指定されるほど人口減少が続いています。それを受け、地域活性化のための資金調達手段としてNACを発行しました。NACはEthereum(ETH)を活用しており、集めたETHを現金化し、村にあるローカルベンチャー企業や新事業に投資します。
ブロックチェーンを活用した契約処理
スマートコントラクトという技術により、ブロックチェーン上に契約内容をプログラミングしておくことで、その条件が満たされれば自動で契約処理を実行することができます。ブロックチェーンの強固なセキュリティにより契約内容の改ざんは難しいので、安心して取引を行うことができます。仲介者が必要なく、当事者同士で取引ができるので、取引にかかるコストを抑えられるというメリットもあります。
国内不動産テック企業の株式会社GA technologiesの活用事例は不動産デジタルプラットフォームの構築です。GA technologiesはアナログな不動産業界に対し、オンライン上で物件を「探す」「契約する」「購入する」などの取引ができるようなデジタルプラットフォームの構築を目指します。不動産業務は従来デジタル化が難しいとされてきましたが、ブロックチェーンを活用することで、安全かつ低コストにデジタル化ができます。
Cryptokittiesというキャラクターを繁殖したり収集するゲームでもブロックチェーンを活用した契約が実用されています。このゲームではマーケットプレイスでユーザー同士のキャラクターの売買ができますが、ブロックチェーンによる売買契約処理によって見ず知らずの人とも安全な取引が可能となります。
ブロックチェーンを活用して情報を追跡
ブロックチェーンには取引履歴が改ざんできないようになっているため、製品情報の追跡ができます。具体的には、偽装が多い食品について、産地や原料についての情報をブロックチェーンで管理することで、食の安全を確保できます。製品に張り付けられたタグやQRコードで、改ざんが難しい製品情報を確認できれば消費者に安心をもたらすことができます。
アメリカの小売最大手のウォルマートは食の安全性の確保のため、IBMと組んで食品の情報を記録するブロックチェーンプラットフォームを構築しました。これにより食品に関する情報の追跡が可能になり、食品の安心・安全に関わる問題が発生した際に、すぐに原因の追跡ができるようになります。
ベンチャーの電力事業者であるみんな電力株式会社はブロックチェーンを活用した電力流通プラットフォーム「ENECTION2.0」を開発しました。これにより「顔の見える電力」として、発電所と需要家である企業を直接マッチングさせることが可能です。具体的には発電量と需要量を30分ごとにマッチングさせ、取引として約定させます。約定した情報は改ざんができないため、どの発電所からどれだけ電力を購入したかという情報が追跡できるようになります。
ブロックチェーンで権利や資産を管理
ブロックチェーンを活用することで、権利や資産の管理を安全に行うことができます。ブロックチェーンの情報の透明性によって、作品や音楽、動画などのコンテンツが二次的に利用される際に、適切に権利処理されたものかどうかを証明することも可能になります。
アートの業界でブロックチェーンの実装を進めているスタートバーン株式会社は、アート作品の登録・売買ができるプラットフォーム「Startbahn.org」を運営しています。アーティストが作品を売るだけでなく、購入者が二次販売することができ、作品が売買されるたびにアーティストに還元金が払われる仕組みです。
株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントはブロックチェーンを活用したデジタルコンテンツの権利処理システムを開発します。著作権情報をブロックチェーンで管理することで情報管理の安全性が向上するだけでなく、著作権管理の業務の効率化も図れます。関係各社がブロックチェーンネットワークに加わることで、情報登録や共有の効率化や、情報の信頼性の向上が見込めます。
様々なシーンで活用可能なブロックチェーン
ブロックチェーンの活用事例を紹介しました。
ブロックチェーンが暗号資産だけではないということが分かっていただけましたでしょうか。
産業を問わず様々なシーンで活用可能なので、ブロックチェーンにあなたのアイデアを活かしてみてはいかかがでしょうか。