SDGsの達成にブロックチェーンはどう活用できるのか?

2019.07.26 [金]

SDGsの達成にブロックチェーンはどう活用できるのか?

持続可能な世界を実現するために、先進国と途上国とが一丸となって達成すべき目標として掲げられたものが「SDGs」です。

「エスディージーズ」と読み、「持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals」の略称です。

達成すべき目標とは例えば、貧困問題、環境汚染、働きがいの向上、差別問題などの解決です。これらの問題を企業が、事業を通じて解決しようという目標がSDGsなのです。

ところでSDGsを実行するために必要なITソリューションにはブロックチェーンがよく馴染みます。それはなぜか解説していきましょう。

SDGsの達成にブロックチェーンはどう活用できるのか?

https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_logo/)より引用。全部で17あるそれぞれの目標に注目すると、社会課題として一度は聞いたことがある項目が並んでいます。

 

ブロックチェーンの2つの特徴がSDGsのソリューションと親和性が高い

まずブロックチェーンの特徴をおさらいしましょう。ブロックチェーンは取引データを記録するためのデータ管理の仕組みの一つで、以下の2つの特徴があります。

 ①価値の記録と移転が非中央集権でできること

ブロックチェーンのネットワークに参加している人が互いにデータを保持し合っているので、データの中央管理者が不在で、価値を表現できます。また取引相手同士が直接価値のやり取りができます。ここでいう価値はネットワーク上で表現したお金のことです。

②データの改ざん耐性が高く、かつ取引データの透明性の確保ができる

ブロックチェーンにデータを記録するとそのデータは修正できません。また万が一、悪意のある人に改ざんされてしまった場合にも改ざんに気づくことができます。

また記録したデータはネットワーク参加者が参照できるので、取引データの透明性を確保できます。逆にいうとデータを隠すことができませんので個人情報などを記録する場合は暗号化するなどの対応が必要です。

これらの技術を活用すると銀行口座を持たない人に対する金融サービスや、パスポートなどの身分証明書を持たない人に対するIDサービスなどの提供が、ブロックチェーンを使わない場合に比べてより簡単に提供できます。

どういうことかというと、ブロックチェーンに取引データさえ記録できれば、特定の銀行の口座を開設せずとも、預金やローンなどの金融サービスが安心して利用できるからです。

金融サービスで使用するデータをブロックチェーンに記録すれば、そのデータそのものが預金の証明や、ローンの残高の証明になるからです。身分証明サービスも同じで、政府に頼らなくてもブロックチェーンに記録したデータそのものが自分の身分を証明してくれるデータとなります。

銀行や政府という中央管理者が不在でも、自分が持つ金融データ、身分証明データの確からしさを保証することができます。

SDGsの達成にブロックチェーンはどう活用できるのか?

実際にWFP(国際連合世界食糧計画)ではブロックチェーンを活用して飢餓を無くそうというプロジェクトを推進しています。

引用元:国連WFP(https://innovation.wfp.org/project/building-blocks

 

その他には例えば、家電製品などの製造工程をブロックチェーンに記録することで環境汚染をしていないことの証明をしたり、漁業で捕獲した魚の情報をブロックチェーンに記録することで乱獲をしていないことを証明をしたりすることも、ブロックチェーンを使ってSDGsに貢献できます。

 

日本ではブロックチェーンの通貨機能を使ったSDGsの取り組みの実例がある

ブロックチェーンを使ったSDGsの取り組みで、日本での実例を見てみましょう。ここでは2つの例を紹介します。

富山県の地域経済活性化を目指す「Yell TOYAMA」プロジェクト

SDGsの達成にブロックチェーンはどう活用できるのか?

地域応援通貨YELという電子マネー型の通貨を発行し、加盟店登録した企業で支払いができる仕組みです。地域経済活性化のための手段としてブロックチェーンを活用しています。

引用元:Yell TOYAMA(https://yell-toyama.org/

SDGsの達成にブロックチェーンはどう活用できるのか?

地域通貨として決済に使うだけでなく、通貨と一緒に加盟店へのメッセージを送る機能が特徴的です。利用者から地域を応援する仕組みです。

ブロックチェーンで社会貢献の可視化を行う「actcoin」

SDGsの達成にブロックチェーンはどう活用できるのか?

ビットコインと同じような仮想通貨「actcoin」を発行しています。

利用するために1actcoin=1円で交換して寄付に使うのではなく、利用者が社会貢献を行ったときにactcoinが付与されます。どのくらい社会貢献をしたか客観的に知ることができます。https://actcoin.jp/

SDGsの達成にブロックチェーンはどう活用できるのか?

プロフィール登録では興味のあるSDGs項目を選択する画面があり、社会課題を解決しようとする意識を高めてくれます。

 

まとめ

当然のことながらSDGsのためにブロックチェーンがなければならないというわけではありません。しかし、ブロックチェーンを使うことでより合理的にSDGsへの取り組みができます。

投資家が企業の評価をするときの一つの尺度にもなっているSDGsへの取り組み。財務情報を良くするだけでなく環境や社会への責任を果たした結果、長期的な利益を得て新たな価値を創造する取り組みが必要です。

 

取材・文/久我吉史

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