イーサリアムの機能強化を目指す「Enigmaプロジェクト」とは
アメリカのマサチューセッツ工科大学の研究室から生まれたEnigma(エニグマ)プロジェクトは、仮想通貨イーサリアム(Ethereum)が抱えている「プライバシー」と「スケーラビリティ」、2つの問題を解決させることを目的としています。
イーサリアムのブロックチェーン(取引処理の仕組み)に、プロジェクトで開発した「Enigmaプロトコル」を付け加えることで、それが可能になるのです。Enigmaプロトコルの特徴や仕組みについて、詳しく解説します。
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※注 現在は「仮想通貨」を「暗号資産」に呼称変更されておりますが、本記事では一般に定着・浸透している名称の仮想通貨で記載しております。
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プライバシーを守る暗号化技術
Enigmaプロトコルの技術を使えば、ユーザーのプライバシーを保ちつつスマートコントラクトを行える「シークレットコントラクト」を実現することができます。
スマートコントラクトはすべての取引は自動処理されるのと同時に、その契約内容までもが管理されているのが特徴。それらの情報は全てブロックチェーン上に公開されています。
Enigmaプロトコルでは、最初と最後の取引処理以外を暗号化させた上で、オフチェーンと呼ばれるメインのブロックチェーンの外に移し、計算処理を行います。暗号化されたままの結果がブロックチェーンに記録されることになる「シークレットコントラクト」は、スマートコントラクトが暗号化されたまま処理されているともいえるでしょう。
取引データを計算が可能なように暗号化する技術は、sMPC(Secure Multi-Party Computationの略)と呼ばれており、Enigmaプロトコル2.0に実装される予定となっています。
イーサリアムが抱えるスケーラビリティ問題を解決可能
Enigmaプロトコルではオフチェーンを利用するので、取引速度を高めることも可能です。オフチェーンを利用した取引は、メインのブロックチェーンのみを利用したオンチェーン取引に比べ、1分間に処理できる量を数千倍にもすることができます。
従来のイーサリアムのブロックチェーンにおいて、膨大な量の取引処理を行うことが難しいことを「スケーラビリティ問題」と呼ぶのですが、Enigmaプロトコルのオフチェーンを利用することでそれも解決することができるでしょう。
「21世紀の石油」個人データの活用はEnigmaで可能になる?
Enigmaプロトコルが実現できるシークレットコントラクトを利用すれば、データ元の個人のプライバシーを守りつつ、そのデータを第三者に販売し、活用してもらうことが可能になります。
多くの人の医療データを活用して新薬を開発したり、クレジットカードやパスポートのような機密性の高い個人データも、第三者が活用したりできるようになるのではないでしょうか。様々な可能性があるEnigmaの技術に、今後も注目しましょう。