進化する人工知能(AI)。AIによるフェイク画像は見破れるか

2019.04.23 [火]

進化する人工知能(AI)。AIによるフェイク画像は見破れるか

近年、アメリカ大統領選で大々的に取り上げられたこともあり、フェイクニュースやフェイク画像という言葉を聞く機会が増えています。

人工知能(AI)技術の急進展でフェイク画像の自動生成が可能になっており、偽情報の拡散は国民一般の論議や政治的安定性に重大な影響を与えかねず、AIフェイク画像はこの懸念をいっそう高めています。

ここでは、AIのつくるフェイク画像やその見破り方、活用方法に迫ります。

 

本物そっくりのフェイク画像

フェイク画像とは、フェイクニュースの画像版です。

フェイクニュースは、SNS等で事実と異なる若しくは全く存在しない事実をあたかも、その(虚偽の)事実が存在するかのように発信されるニュースのことです。

そして、フェイク画像は、実際にある写真を改変したり、異なる写真を合成したりすることであたかもその写真が本物であるかのように発信される画像のことです。

フェイク画像は、多くの場合文章と一緒に発信されるため、フェイクニュースの一種といえます。

これまで、フェイク画像は、人の手によりフォトショップを使用し加工したものや、複数の写真を合成したものがありました。

しかし、現在、人工知能(AI)の発達により、AIによるフェイク画像が作成されるようになりました。

これにより、フェイク画像の作成の手間が省略され、フェイク画像作成のスピードが格段に上がり、非常に多くのフェイク画像が発信されるようになりました。

 

人工知能(AI)がつくる「フェイク画像」にはどんなものがある?

AIがフェイク画像を作るということは、コンピュータが人間のように画像を認識し、人間がまるで本物であると理解するような画像を作成するということです。

最近では、AIでフェイク画像を自動生成するWebサイトまであります。

ここでは、多くの画像を学習したAIがどのようなフェイク画像を作成するかご紹介します。

(1)人物の顔を自然に入れ替える画像

これは、政治家や有名人の顔を入れ替えた画像が有名です。

特に、アメリカの前大統領バラク・オバマ氏が現大統領のドナルド・トランプ氏を汚い言葉でののしる動画は皆さんの記憶にも新しいところだと思います。また、ポルノ映画の女優の顔をハリウッド女優の顔にすり替えた動画もSNSで反響が大きかったフェイク画像といえます。

(2)景色を偽る画像

ある道路の晴れた日の通常の景色を、真冬の大吹雪に変えたり、夜の画像を真昼に撮影したかのような画像に入れ替えたものもあります。

(3)実在しない人物の画像

AIは人間が自然なものであると認識する程度の虚偽の画像を作ることができます。そのため、(1)の応用版のようなものですが、全く実在しない人物の顔画像を生成することもできます。

(4)実在しない景色の画像

(3)の景色版ですが、AIはまるでどこかの海岸であるかのような風景画像を生成することもできます。

以上のように、人間の脳のように知的作業ができるコンピュータプログラムを生成し、これまで挙げた例だけでなくあらゆる画像を生成することができます。

 

人工知能(AI)がつくる「フェイク画像」を見破る方法

AIがつくるフェイク画像を見破る方法は、複数の方法があります。

1.AIが生成する画像のクセに着目

AIがつくる画像は、多くの場合、規則正しすぎるものであったり、顔に混ざったようにぼやけていたりすることがあります。

そのため、髪の毛の再現や人間の顔の対称性を再現することが苦手です。目や耳、眉毛といった部分に不自然な個所があれば、比較的容易にフェイク画像であると判断することができます。

 2.画像検索を使用

フェイク画像かどうか確かめたい画像を画像検索すると、画像の発信元やフェイクを暴くブログ記事等が存在すれば検索結果に表示されます。

それらの検索結果内の記事を読み、画像の真偽を確かめることができます。

3.フェイク画像見破りアプリ

画像データに埋め込まれている情報や画像のクセを解析して判定する方法により画像が本物か偽物かを判定します。

4.AIでフェイク画像やフェイク動画を見破る

AIによる画像や動画の改変の跡をAIによって分析し、判定するというものです。

 テクノロジーが進歩し、フェイク画像を見破るツールもこれから増えていくことは容易に想像がつきます。

しかし、フェイク画像やフェイク動画を作成する技術も日々進歩するため、それを見破る技術が常に追いつけるとは限りません。

また、これらのツールを使用し、フェイク画像や動画の真贋を見破れるとしても、最初に自分自身で違和感(この画像はフェイクかもしれないという感覚)を感じ、これらのツールで画像の真贋を確かめるという作業が必要になります。

 まずは、自らの感性で目の前の情報(ニュース、画像、動画等)が本物かどうかということを判断できる(偽物の情報に触れたときに違和感を覚える)ことが重要となります。

また、情報の原典にあたるというクセ(習慣)を身に付けることも重要です。

SNS等で誰でも気軽に情報を発信できる時代においては、情報の質を見極め、真の情報だけを吸収できる習慣を身に付けることが一番のフェイク画像を見破る方法ともいえます。

 

人工知能(AI)がつくる「フェイク画像」の活用方法

さて、これまでAIが生成するフェイク画像やそれを見破る方法といったフェイク画像の負の側面にスポットを当ててきましたが、AIが生成するフェイク画像の正の側面、活用方法についてご紹介します。

1.カメラで撮影した写真の補正・加工

夜間に撮影した写真をまるで昼間に撮影したかのように明るく鮮明な写真へと加工することができます。

2.欠陥のある画像素材を使える画像に変換

モノクロの画像をカラー画像に変換したり、一部が欠けている写真の欠落部分を補正し、欠落のない写真のように返還することができます。

3.画像の印象を変える

インスタグラムなどに投稿する写真のいわゆるインスタ映えをAIが実現するものです。自分で写真の加工編集を行うことなく、インスタ映えの写真を作ることができます。

4.スタイル返還を行う

通常の写真を、有名な画家の作風に返還するといったようなことができます。これにより、写真の表現の幅が広がります。

 AIはそのコンピュータに何を学習させるかでその機能が全く異なるものになります。

そのため、同種の機能を備えた2つのAIが同じ精度で画像を変換できるというものでもないですし、それぞれ得意分野が異なったりします。

ここに挙げたものを参考にご自身でAIのフェイク画像の活用方法を調べると多くの活用方法が見えてくるものと思います。

 

まとめ

AIという技術の発達により、人が手作業で行っていたことの多くが自動化されますが、フェイク画像や動画を見破るためには自分自身の情報リテラシーを高めないといけませんし、AIのフェイク画像(を生成する技術)を活用するためにも、さまざまなAIの機能に触れる必要があります。

AIによって世の中が便利になりますが、AI任せにすることは決してできないので、自分自身の情報リテラシーを高め、フェイク画像に騙されず、積極的に活用できるようになることが大切です。

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