意外と奥が深い音声読み上げソフトの世界

2019.04.15 [月]

意外と奥が深い音声読み上げソフトの世界

AI(人工知能)やloTなど、進化したソフトウェアが家電に取り入れられ、日常生活に利用されています。

家電の中には、自ら人間のように声を出すものがあり、最近人気のAmazonの「Echo」や、Googleの「Google Home」などの、スマートスピーカーは、天気予報やニュースを読み上げたりすることができたり、人間と会話できるコミニュケーションロボットも観光地やイベント等で展示されています。

ロボットが人間のように声を出すツールには、「音声読み上げソフト」「音声合成ソフト」が利用されています。

 

音声読み上げソフト

音声読み上げソフトは、音声合成ソフトとも呼びます。人間の声をまねて人工的な音を作り出す、もしくは、あらかじめ登録した人間の声を組み合わせるなどして、テキストで入力した文字を読み上げるソフトウェアのことを指します。

例えば「はじめまして」という言葉をテキストで入力すると、ソフトウェアはまず、「は」「じ」「め」「ま」「し」「て」とバラバラに認識します。そこから「は」や「じ」の音声を一文字ずつ呼び出し、並べることで「はじめまして」と発音させます。

機械のため、文字のつなぎ目やアクセントに違和感がありますが、ソフト内部で処理や加工が施されており、各ソフトでそれぞれ聞き取りやすさも異なります。

音声ソフトでは、目的に合わせて、声を男性か女性か選べたり、話す速度を早くしたり遅くすることもできます。

 

音声読み上げソフトの活用事例

音声読み上げソフトは、どのような場面で用いられているのでしょうか。

目の不自由な方へのサポートとして

音声読み上げソフトは、もともと目の不自由な方へ対して、文字を読み上げるサービスとして利用されてきました。

多くの官公庁のホームページでは、ソフトをダウンロードさせるだけで、視力の不自由な方、弱い方のために、テキストが読み上げられるサービスを提供、文字拡大・画面配色切り替えサービスなどと併せて、視覚が不自由な方でも情報収集できるようにと活用されています。

フォーマットが決まった文章の読み上げ

留守番電話の応答メッセ―ジ、観光地に設置されたアナウンスのボタンなど、ある程度定型されたメッセージの読み上げにも、音声読み上げソフトが活用されています。

カーナビゲーションの地図案内で聞きなれている人もいるでしょう。

緊急時のアナウンス

災害など緊急時に、住民への避難呼びかけや、被害状況を案内する際にも利用されています。

地震発生等の混乱時でも、テキストを登録すれば、音声読み上げソフトが代わりに音声を住民に届けてくれるので、スタッフが他の作業に手を回すことが出来ます。地方自治体や、実際に防災行政無線・ 全国瞬時警報システム(JALERT)で用いられています。

ながら聞き

忙しい人のために、通勤中などでもニュースが聞ける、書籍が読める、というサービスがあります。

朝日新聞の「アルキキ」は、

「ベテラン編集者が朝日新聞朝刊からピックアップした大事なニュースのサマリー約10本が5分足らずで聞けます」とあります。

引用元URL: http://www.asahi.com/shimbun/medialab/arukiki/

「時短」や「効率化」が流行する中、歩きながら、家で家事をしながら、ニュースや書籍を楽しめるITツールで、音声読み上げソフトが活用されているのです。

最近人気のAmazonの「Echo」や、Googleの「Google Home」などの、スマートスピーカーでも、音声読み上げソフトが搭載されていますが、これも「家事をしながらニュース、天気予報をチェックしたい」など、1度に2つの作業をこなしたいというニーズに、音声読み上げソフトが活用されている例でしょう。

VOCALOID(ボーカロイド)

VOCALOID(ボーカロイド)は、ヤマハが開発した音声読み上げソフトと製品のことを指します。

ボカロと略されることもあります。メロディーと歌詞を設定してあげれば、登録されている人の声を元にして、人工的な歌声を作り上げることが出来るサービスです。

VOCALOIDは、実際に人間が歌を歌わなくても、音程を調整したり、歌のテクニックである、ビブラートなども追加できるなど、表情豊かな楽曲が作成できます。「初音ミク」が一大ブームになるなど、音楽の一つのジャンルを形成するほど盛り上がり、今日では幅広く浸透している文化になりました。

動画のナレーション

社会的に幅広く認知されるようになったYouTuber。YouTuberの中には、自分が顔を出して動画に出演する人もいますが、反対に、自身は登場せず、動画のナレーション音声は音声読み上げソフトに任せている動画も多く見られます。

テレビの世界でも、番組「モヤモヤさまぁ~ず」のナレーションは、音声読み上げソフトを使った「ショウ君」という架空の人物を採用しています。「妙なイントネーションが癖になる」「番組の雰囲気にあった脱力系ナレーション」と人気を博しています。

 

音声読み上げソフトを選ぶ時のポイントや注意点

音声読み上げソフトを選ぶ際は、どんなことに注意すればよいでしょうか。

違和感が気になるなら高価格のものを

音声読み上げソフトは、ソフトウェアが作り出す音声なので、人の肉声に比べると、抑揚やアクセントが不自然だったり、つなぎ目がぎこちなかったりという違和感はあります。

違和感を消したいという場合であれば、やはり高額なソフトを利用することでソフトウェアの加工処理も高性能化するでしょう。本格的な相場としては、40,000円以上の価格帯になりそうです。テレビのナレーションで利用されるようなソフトで、80,000円程度と言われています。

読み上げられない文字がある

ソフトによっては、日本語のみ、英語不可、〇▽×などの記号は読み取れないなどの特徴がある点も、事前に確認しておくとよいでしょう。

商用利用について

ソフトによって商用利用不可であったり、何文字までなら利用可、別途有料で商用可、という場合があります。

保存ファイル形式

目的に応じて、たとえば自分が動画編集しているソフトでは、どの形式で保存しなくてはいけないかを確認しましょう。

音楽編集の場合は、音質が良いのでWAV(もしくはWAVE)形式での保存にこだわる人もいますし、データを軽くしたい場合は、MP3が良い場合もあります。

 

おすすめの音声読み上げソフト(無料版、有料版)

テキストーク(無料ソフト)

テキストークは、日本語の文書を音声読み上げ、(音声合成)することができます。

OpenJtalkという音声合成エンジンに対応しており、テキストファイルをドラッグ&ドロップすれば、読み上げた音声をWAV形式とMP3形式で保存することが出来ます。

シンプルで分かりやすい操作画面なので、初心者の人向けといえるでしょう。

今どこを読み上げているかがすぐ分かる、「読み上げ箇所強調表示機能」や、

「読み飛ばし辞書機能」で、記号など読み上げる必要がない文字を予め登録しておくことができるなど、使いやすさにも対応しています。

参考元URL:http://choppli.123net.jp/textalk/

Softalk(無料ソフト)

テキストで入力した文章や、ファイルを読み込んで読み上げてくれるソフトです。

インストール不要で、漢字かな英語混じりの文章を読むことが出来ます。 読み上げた音声の録音もしてくれます。繰り返して読み上げる「リピート再生」や、女性・男性・ロボットなど多様な声から選択することが出来ます。WAV形式で保存可能です。

参考元URL:https://www.vector.co.jp/soft/winnt/art/se412443.html

VOICEROID(有料ソフト)

VOICEROIDは高性能で有名なAI Talkという音声合成エンジンを採用しています。

文章を入力すれば、そのまま文章を読み上げてくれます。発音の速さや抑揚も調整することが出来ます。音声ファイルは、WAV形式での保存が可能です。

VOICEROIDの特徴として、さまざまなキャラクター性を持つ声を利用したシリーズを提供しています。

たとえば、「明るい女の子の可愛らしい中にも優しさあふれる声」を提供する紲星あかりや、井上喜久子、榊原ゆい等実在の声優を元にしたソフト、人気アニメ「秘密結社 鷹の爪」登場キャラクター吉田くんの声が利用できるソフト、関西弁と標準語の2バージョンが利用できるなど、多彩な音声のバリエーションを提供しています。

価格は数千円~1万8000円程で、ソフトによって異なります。キャラクター性を持つソフトには、商用利用の場合におけるガイドラインおよびライセンスが設定されているので確認が必要です。

参考元URL:https://www.ah-soft.com/product/

音読のプロ (有料版)

「音読のプロ」は、テキストを入力する、もしくはコピーすると、自然な音声で読み上げてくれる音声読み上げソフトです。

高品質と評価されている音声合成エンジン「AITalk」を利用しているので、人間の声に近い自然な読み上げが出来ます。テキスト形式であれば、webサイトやWord、PowerPoint、Excel、PDFを、1度の操作で読み上げてくれます。

最大の特徴は、有料版の中では良心的な価格設定でしょう。4,298円で購入することが出来ます。

そのため、「他の作業をしながらニュースや電子書籍の内容を把握したい時」「画面の文字が読みづらく、目を休めたい時」など、個人でも利用しやすい価格と品質になっています。

参考元:https://www.sourcenext.com/product/pc/use/pc_use_002052/

 

まとめ

各種音声読み上げソフトでは、無料のものはすぐに利用できますし、有料のものは、ほとんどすべての商品案内画面で、自分で文字を入力して「サンプル音声」を試すことが出来ます。

商用で利用したい、YouTubeにアップする動画につける音声にこだわりたいという人にも、一度各社のサンプル音声を試してから、音声読み上げソフトを活用するのが良いでしょう。

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