機械学習を用いた活用事例を知りもっと身近に

2019.04.15 [月]

機械学習を用いた活用事例を知りもっと身近に

そもそも機械学習とはどのような技術で、どんな場面で活用されているのでしょうか。

今回は、機械学習について人工知能との関係性などにも触れながら解説していきます。

機械学習とはどのようなものなのか?

機械学習とは、世の中に存在する特定の事象についてデータ解析を行い、その結果から機械やコンピューターが学習をして法則化や判断基準の抽出を行い、アルゴリズムを展開させる技術のことを指します。

情報科学やデータ処理、高速CPUやGPUなどのコンピューター計算能力の発達によって発展し、この技術を活用することで、さまざまな事象に関する膨大なデータ解析により、それらの特徴や法則を捉えられます。

この行為をモデル化と呼びます。モデル化した機械学習を用いて解析を行う対象のデータを「説明変数」と呼び、そこから得られる予測や結果のことを「目的変数」と呼びます。

機械学習では、この説明変数から目的変数を割り出すプロセスがモデルにより自動化されています。それにより、未知の問題の解決にも応用することができるようになります。

機械学習をより高度に発展させた技術がディープラーニングです。

従来の機械学習では人間が特定の事象の特徴についてあらかじめ定義しておく必要がありましたが、ディープラーニングではその作業を必要としていません。

より複雑な特徴を機械やコンピューターによって表現することが可能となります。そのため、ディープラーニングは画像処理や音声処理、言語処理の分野で活用されることが期待されています。

ただし、ディープラーニングでは学習の方向性を人間がコントロールすることができないため、想定外の方向で学習が進むケースが散見されます。

どのような問題の解決に取り組んでいくのとかという点やデータの基となる説明変数、解析によって得られる予測や結果である目的変数によって、従来の機械学習とディープラーニングの両者を使い分ける必要性が出てきます。

 

機械学習と人工知能の違い

機械学習と人工知能には、どのような違いがあるのでしょうか。人工知能についても簡単に説明していきながら、解説していきます。

人工知能

人工知能とは、言語能力や認知、推論や問題解決などの人間の知的な行為を、コンピューターなどを用いて人工的に再現しようとしているものを指します。

現時点では、人間と同レベルの人工知能の開発には至っていません。

これまでは人間にしかできなかった知的行為を、どのようなアルゴリズムとデータを用いれば機械的に実行できるようになるかという点に焦点が当てられ、日々研究が進められています。

機械学習と人工知能の違い

人工知能は人間の知的行為を再現するという包括的な概念を持っているのに対し、機械学習は事象のデータ解析からアルゴリズムを抽出する特定の技術のことを指しています。

この二つは包括的な概念を指しているものであるか、特定の技術のことを指しているものであるかという点について違いがあります。

機械学習は人工知能の研究開発にも深く関わっており、人工知能の研究を進捗させるための一分野と言い換えることもできるでしょう。

 

人工知能と機械学習の関係性

先程、人工知能は人間の知的行為を再現するという包括的な概念を持っているのに対し、機械学習は事象のデータ解析からアルゴリズムを抽出する特定の技術のことを指していると説明しました。

人工知能はあらゆる人間の知的行為を指しているのに対し、機械学習は数多くのデータから法則や特徴を掴む行為を機械的に行うことを指しています。

そのため、機械学習は人工知能に包含されているという関係性があります。

機械学習が得意としている分野を人間の行為に例えると、自動車の運転や健康診断などが挙げられます。

自動車の運転では、さまざまな具体的な情報から最適なルートを抽出して運転していきます。健康診断も、診断によって得られるデータからその人が健康かどうかの判断を行います。

これらの行為は、得られたデータを基に、法則や特徴を見つけていきながら問題解決を行おうとする行為となります。こうした行為は、人間の行為の一部に過ぎません。機械学習は、人工知能の一部の構成要素となっているのです。

 

機械学習の活用事例

機械学習の技術はさまざまな分野で導入されており、積極的に活用され始めてきています。

2019年現在行われている機械学習の活用事例について分野別に紹介していきます。

マーケティング分野での活用事例

マーケティング分野での活用事例としては、ECサイトのレコメンド機能やウェブサイトのパーソナライズ機能、顧客評価のフィードバックなどが挙げられます。

ECサイトのレコメンド機能では、すべての顧客の購買履歴からさまざまな行動パターンを見つけ、特定のパターンに当てはまる購買行動を行っているユーザーに対して、最適な商品の紹介を行います。

ウェブサイトのパーソナライズ機能では、あるユーザーが閲覧した記事やニュースなどを基に、そのユーザーの興味や好みを見つけて、おすすめの記事を表示することができるようになります。

これらの機能を活用することによって、多数のユーザーの行動パターンをデータ化し機械が学習を行うことで、各ユーザーに最適な提案をすることができるようになります。

また、顧客から得られるフィードバックを機械学習により特徴づけを行うことで、今後の課題を見つけやすくすることもできるようになります。

今後も、マーケティング活動における機械学習の重要性は増していくことが予想されます。

製造分野での活用事例

機械学習の技術は、製造の分野でも広く利用され始めています。

製造分野での活用事例としては、不良品探知や設備保全、製品の需要や売り上げの予測立案などが挙げられます。

機械学習の技術を活用することで、製造ラインの品質検査工程において製品のデータを基に不良品の選別を自動で行うことができるようになります。

また、生産設備の異常などを機械学習により読み込むことで、不良原因を特定したりメンテナンス作業に役立てたりすることも可能です。

機械学習の技術を用いて、各種データにより製品の需要や売り上げ予測を立てながら、生産計画を立てることもできます。

製造分野における機械学習の技術によって、生産性の向上や省人化を目指すことも可能となります。

・金融分野での活用事例
金融業界の分野では、大量のビッグデータからさまざまな洞察を行い、投資機会の選定や不正の防止などに機械学習の技術を役立てています。

株式市場でも、アルゴリズム取引と呼ばれる機械学習の技術を用いた取引が盛んに行われています。

資産運用の部門でも、さまざまなデータを解析して最適なポートフォリオを作成しています。また、相場操縦などの不正な取引の兆候を捉えることも可能です。

金融サービス部門においても顧客をデータベース化して、最適な金融サービスの提供に役立てています。

金融工学の分野でも、機械学習によりユーザーに最適な投資商品を提案するロボアドバイザーなどが話題となっています。

・情報セキュリティ分野での活用事例
コンピューターウイルスや有害なプログラムなどのマルウェアの検出に、機械学習の技術が活用されています。

過去に検出されたマルウェアの情報を大量に機械に学習させて、未知のマルウェアの発見にも役立てられています。

また、スパムの対策にも機械学習の技術が利用されています。迷惑メールや有害な情報の投稿などを機械学習によって検出することで、スパム判定を行っています。

マルウェアやスパムなどは今後もますます巧妙化し複雑になることが予想されますが、情報セキュリティの分野において機械学習などの技術による対応が進んでいくことになるでしょう。

・医療分野での活用事例
医療の分野でも、機械学習の技術が積極的に活用されています。

医療の現場では、CT画像や血液検査データ、レントゲン画像や各種症例など、溢れている膨大なデータを選別し、適切に運営してく為には非常にハードな仕事が要求されます。

このような状況の中で、機械学習による医療データの選別は、医師の診断にも大きく役立っています。

機械学習の医療分野での活用によって、死亡率の減少やヒューマンエラーの除去、診断プロセスの合理化や治療効果の向上などが期待されています。

 

まとめ

今回は機械学習について、人工知能との違いを定義していきながら解説していきました。

機械学習とは、事象のデータ解析からアルゴリズムを抽出する技術のことを指しており、人間の知的行為を再現することを目的としている人工知能の研究において非常に重要な地位を占めています。

機械学習の技術は、さまざまな分野で活用されており、今後もますます発展していくことが予想されます。

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