人工知能(AI)の発達を牽引するNVIDIAとは?

2019.03.19 [火]

人工知能(AI)の発達を牽引するNVIDIAとは?

現在、人工知能(AI)が世界中で注目されています。

AIの利用方法は多岐にわたり、それによって私たちの世界はより便利になると予想されています。そんなAIの業界で最も注目されている企業が、NVDIAです。NVDIAとは一体どんな企業なのか、NVDIAによってAIがどのように進化していくのかをかいていきたいと思います。

 

人工知能(AI)コンピューティングカンパニーNVIDIAとは

NVIDIAとは、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララにある半導体メーカーです。

1993年にLSIロジックを退社したジェン・スン・フアンがクリス・マラコウスキーらと共に『PCはいつに日か、ゲームやマルチメディアを楽しむためのごく一般的な家庭用品になる』という信念が掲げて、NVIDIAを設立しましたNVIDIAはGPUを開発する会社です。

GPUとはグラフィックプロセッシングユニットの略であり、画面表示の頭脳となる部分となります。

GPUを開発する企業は1996年に70もありました。しかし2006年にはそのほとんどの企業がなくなっています。そんな中で、NVIDIAは2006年までに当時からGPUを開発し続けている唯一の企業です。

NVIDIAは多くの製品を開発しました。

NVIDIA初の製品である「NVIDIA NV1」はSEGAの「バーチャファイター」という格闘ゲームで利用されました。

それまで2Dゲームが主流だった中、初めての3Dゲームとして人気となりました。「NV1」は導入可能な方法が多くなかったため、そこまでの売上を伸ばさなかったものの、1997年に開発された3Dプロセッサの「RIVA 128」は最初の4ヶ月で100万台以上が出荷されました。

そして1999年には初めてのGPUとして「GeForce 256」を発売し、業界に確固たる地位を築きました。その後もGPUを開発し続け、業界を引っ張ってきたNVIDIAですが、NVIDIAはいつからAI企業となったのでしょうか。

NVIDIAがAI企業となったきっかけは、2011年にAI研究者がNVIDIAのGPUに注目したのが始まりです。

当時のAIの技術としては、YouTubeの映画を見ることで猫と人間を区別できるようになったという成果をあげました。

しかしその成果を出すためにはGoogleのサーバを使い、2000個ものCPUで処理する必要がありました。これほどの設備を一般的に使うことはできません。

そこで活用されたのがNVIDIAのGPUです。ディープラーニングの技術にNVIDIA GPUを適用してみたところ、12個のNVIDIA GPUで2000個のCPUに匹敵するパフォーマンスを挙げられることがわかりました。これがきっかけでNVIDIAはAI企業として注目を集めるようになり、AIの爆発的な普及へと大きく貢献していくこととなりました。

 

NVIDIAのGPUとは何?

GPU(グラフィックプロセッシングユニット)とは、電子機器の画面表示の性能を司る部分です。

1999年にNVIDIAにとって初めてのGPUである「GeForce 256」に開発しました。GPUは「1秒で最低1000万のポリゴンを処理することができる、集積型座標変換、光源処理、トライアングルセットアップ・クリッピングおよびレンタリングを有するシングルチッププロセッサ」と定義されています。

しかし実は、「GeForce 256」以前にもGPUは開発されていました。NVIDIAのGPUが他と比べて人気となった理由として、安価であることと、性能が高かったことが挙げられます。「GeForce 256」は業務用のGPUで作るようなハリウッドの映画レベルの3DCGを個人のPCで実現可能とし、技術革新といっても過言ではありません。

NVIDIAはその後もGPU業界のトップを走り続けました。一般的によく知られている製品であれば、2001年にテレビゲームのハードウェア、XboxにてMicrosoftと共同開発をしました。

さらに2005年にPlayStation3のグラフィックであるGPUがNVIDIAのものが利用されており、2008年にAppleのMacbook、Macbook ProのGPUにNVIDIAのGPUが採用されるなどされています。

私たちが利用していた画面がある製品、PCやゲームのハードウェアなどに利用されてきました。それらの発売当初は美しいグラフィックが話題になったことから、NVIDIAのGPUがその当時の最先端を走っていたことがわかります。

PCでは多くの処理が必要となります。そのため演算能力が低いGPUを使うと、画面が遅くなるなどの問題が生じます。

NVIDIAのGPUが使用されたPCは、その処理能力の高さから、多くの計算が必要となる科学者や動画編集者、デザイナー、ゲーマーといった方々から利用されていました。

他の企業のGPUに比べても、その処理能力は圧倒的に高かったのです。2010年には当時世界最速のスーパーコンピュータである中国の「Tianhe-1A」にて、その動力としてNVIDIAのGPUである「Tesla GPU」が使用されたということがあります。NVIDIAがコンピュータ業界の発展を引っ張ってきたといって間違い無いでしょう。

NVIDIAのGPUは軽量でありながら性能が高く、そのため今では多くの分野で利用されています。

自動運転自動車のAI、ロボットのディープラーニング、ヘルスケアにも利用されています。どの分野においても、高い演算能力が求められる分野です。

自動運転であれば、人なのか物なのかの判断に計算が必要ですし、ディープラーニングでは何千、何万回といった数を学習させる必要があります。そうしたことにNVIDIAのGPUは適しているのです。NVIDIAのGPUはITに置いて必要不可欠なものであることがわかります。

 

人工知能(AI)でNVIDIAのGPUが使われる理由とは

そもそもGPUはCPUと異なり、画像を画面に表示するために大量の計算を必要とします。

NVIDIAのGPUは単純にその演算能力が他社よりも高いからこそ、AIで利用されているのです。AIにて必要とされる能力は高い演算能力です。

AIが学習をしていくには、ディープラーニングで多くの情報を取り込む必要があります。早く学習するために計算処理の能力が高くなければいけないのですが、NVIDIAのGPUを用いる以前は、そのレベルの機能を実現するにもかなり大きな設備が必要でした。

NVIDIA GPUがディープラーニングで用いられて結果を出したものとして、2012年のコンピュータによる画像認識制度を競うImgeNetという大会の功績があります。

そこではコンピュータビジョンの専門家が作り上げたソフトウェアに大差をつけて、トロント大学のアレックス・クリジェフスキーが優勝しました。

クリジェフスキーはソフトウェアを作るためのコードを書いていません。NVIDIAのGPUを使ったディープラーニングにより、コンピュータ自身が画像の認識方法を学んだのです。

その結果、クリジェフスキーが、専門家が作り上げたプログラムを大きく上回って優勝しました。こうして、NVIDIA GPU の性能が、AIに有用であることが証明されました。

NVIDIAのGPUのおかげでAIの研究が大きく進歩しました。低コスト、軽量、高性能であることで、AIで用いられ、それによってAIの新しい技術は開発され続けています。

NVIDIAのGPUがAI業界へともたらした功績はとても大きいと言えます。その低コスト高性能のGPUを作る技術は現在も他の企業は真似することはできていません。そのため、NVIDIAのGPUを利用せざるを得ないのです。あと何年かは、NVIDIAのGPUはAIに欠かせない重要な役割を担っていくでしょう。

 

NVIDIAなどのGPUが進化していく未来について

NVIDIAのGPUは現在、業界一番の性能を誇ります。しかしそこに待ったをかける企業が複数あります。

まずはIntelです。Intelは「Xeon Phi(ジーオン・ファイ)」の最新版を発表しました。その最新版はディープラーニングに最適だと主張しています。

実際にXeon PhiはNVIDIAの最新版GPUよりも処理能力が遅かったものの、以前に比べたらその技術進歩のスピードは計り知れません。いつかNVIDIAの技術に追いつくということもおかしくないでしょう。

Intelだけではなく、GoogleやMicrosoftも開発を進めています。

Googleは新しくTPUと呼ばれる半導体を開発しました。これはディープラーニング特化型の半導体で、NVIDIA GPUの消費電力あたり対して、20倍の性能を発揮すると発表しました。

しかし、現在のAI業界は新しい技術が開発され続けています。毎日2、3本のペースで新しい論文が発表される中、特化型ではその度に適応させていかなければいけません。

そのため、Googleの特化型のTPUではなく、NVIDIA GPUの方が汎用性があり、利用されやすいようです。

一方で、MicrosoftもFPGAと呼ばれる半導体に力を入れています。

実際にFPGAを使ったパフォーマンスを行った際、英語版Wikipediaの全記事(約50億ワード)を0.1秒でロシア語に翻訳して見せました。

これはスーパーコンピュータの10倍の処理能力だそうですFPGAはGoogleのTPUと同じく一定の条件下ではかなりの性能を見せますが、MicrosoftはNVIDIAと協業を発表するなど、まだNVIDIAのGPUが有利であることがわかります。

以上より、他の企業がNVIDIAの技術に追いつこうとしていますが、まだNVIDIA一強となっていくことがわかります。しかしこれから技術が発展していくにつれて、その状況は変わっていくかもしれません。

 

まとめ

AIコンピューティングカンパニーとしてのNVIDIAはAIの技術を大いに進歩させました。

NVIDIAのGPUがAIの革新スピードを大きく早め、そのため今AI業界ではビックバンが起きています。そんなAI業界トップの技術を持つNVIDIAに追いつこうと、IntelやMicrosoftといった世界トップの企業が開発を進めています。

私たちの生活はAIによって変化をし、さらに豊かになっていくと思われますが、しばらくはNVIDIAが業界のトップである状況が続くと思います。

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